【PDC 2003レポート】長く険しいLonghornへの道(1) 搭載される新API「WinFX」

      [2003/11/04]

    PDCでのLonghornに関するセッションは、"野心的"というイメージを強めるものだった。リリース全体としては、堅固なセキュリティの提供、システム/アプリケーション/ドライバの安定性の向上、長期間に渡って高いパフォーマンスを維持できる効率性、デプロイメントの複雑さとコスト問題の解決などを公約として掲げている。

    Longhornがこれまでと同様のタイプのOSならば、これらの公約をある程度のレベルでクリアするだけで評価されるだろう。Windows XPを例にすれば、「ブルースクリーンと決別できる~」という点だけでも成功していると言える。だが、LonghornでMicrosoftは、コンピュータの役割を大きく変えようとしているのだ。セキュリティを例にすれば、重要な書類を守る金庫であり、セキュリティシステムであり、それらを受け渡すガードマンである。どこか一カ所にでも脆弱性があれば、とんでもない事態(集団訴訟とか…)が起こる可能性がある。誰の目にも完璧に映るようなセキュリティの実現が不可欠であり、他の公約についても、高いレベルでの実現が求められる。Longhornのゴールは見えているが、その道はずいぶんと長く感じられる。本当にそのゴールにたどり着けるのか? それを確認するために、今回のPDCには記録破りの参加者が集まったのかもしれない。

    PDCで用意された120を超えるテクニカルセッションはいずれも盛況で、場内に入れずに外に設置されたモニターにも人だかりができているセッションが多数あった。さらに20以上のセッションは2~3度と繰り返されたが、それでも足りずに、それらをまとめたDVDが提供されることになった。ここではセッションや配布されたプレビューβ版などから、現時点でのLonghorn像をまとめてみようと思う。

    ○Win32からWinFXへ

    Longhornは、ネットワークとローカル、WebとWindowsの利点を活用できる新タイプのソフトウエアが動作するプラットフォームとなる。これらのアプリケーションはインターネットまたはイントラネットなどのネットワークの中で、サーバやクライアントなど他のノードとコミュニケートすることで、サービスを主体とした巨大なアーキテクチャの一部となる。Indigoを担当するWindowsアーキテクトのDon Box氏は、「離れ小島に住むプログラムはなく、すべてのプログラムはコミュニケートするために存在する」と説明する。また、CPU、GPU、ストレージなどローカルリソースを活用して、セキュリティやパフォーマンスの効率化などを実現するのも特徴の一つだ。

    DOSからWinFXへの道
    最大のポイントは、アプリケーションソフトに標準で提供している機能セット(API)がWin32からWinFXに切り替わる点だろう。WinFXは、Win32と同様の機能を備えながら、これまでのアプリケーション開発の課題やオンラインとオフラインを柔軟に結びつけるための新機能を提供する。さらにマネージドコードが大きな特徴となっている。.NETのプログラミング規約を守って開発されたプログラムで、安全なコードの実行を実現するCommon Language Runtime(CLR)と協調して動作する。

    Longhornは、既存のアプリケーションへのバックワード互換を提供するという。ほとんどすべての既存のアプリケーションがLonghornで動作するとしており、さらに開発者が既存のアプリケーションに新たな機能を付加することが可能。レガシークライアントのために、既存のコードをベースにしたいというケースでも、必要な機能のサブセットだけを加えられる。

    PDC会場の至るところに張られていたWinFXポスターを掲げるAllchin氏
    Gates氏の基調講演でLonghorn上で「VisiCalc」を動かし、20年分のバックワード互換をアピール

    WinFXの全体像は、OSサービスの上にプレゼンテーション、データ・ストレージ、コミュニケーションが存在する構成になっている。それぞれを担うAvalon、WinFS、Indigoなどの技術はお互いに連携して、Windowsとしての一つの基本機能を提供する。これまでDirectX、Win32、.NET Frameworkとして提供されていたAPIセットが統合される形になり、プラットフォームとして開発者が接しやすくなっている。

    ○プレゼンテーションをコントロールするAvalon

    Avalon
    Avalonは、WindowsおよびWebアプリケーション、グラフィックス/メディア/アニメーションの統合プレゼンテーション・モデルである。単なるグラフィックAPIではなく、ユーザーインタフェースとドキュメントやマルチメディア・コンテンツをシームレスに結びつけるプレゼンテーション機能を提供する。ビットマップ処理に加えて、ベクターベースのコンポジットエンジンを備え、スケーラブルに美しいグラフィックスを実現している。

    重要なポイントとしてXAML(eXtensible Application Markup Language、またはLonghorn Markup Language)が挙げられる。XMLベースで、プロパティやロジックのセットと共にオブジェクトの階層を特定できる。XMLの機能をインタフェースのレンダリングにもたらすことで、Longhornアプリケーションのオブジェクトモデルに結びつけた機能が可能になり、ダイナミックなユーザーインタフェースを実現する。

    Allchin氏の基調講演で、XAMLを使ってウエブサービスと結びついたインタフェースの作成をデモ
    エクスプローラ上でマルチメディアプレビューを実現するAvalon

    もう一つの特徴は、GPUをレンダリングシステムの全体で活用している点だ。Windows GDIではテキスト・レンダリングしかハードウエアアクセラレーションの恩恵を受けていなかったそうだが、Avalonでは複雑なインタフェースをダイナミックに生成するためにWindowsシステム全体でGPUを利用できるようにデザインされている。

    (Yoichi Yamashita)

    【PDC 2003レポート】長く険しいLonghornへの道(2) 早期プレビューβの真意は?
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/11/04/18.html
    へ続きます

    【PDC 2003レポート】Longhornのための開発者会議が開幕、Windows 95以来の革新性をアピール
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/10/29/11.html

    Professional Developers Conference(PDC)
    http://msdn.microsoft.com/events/pdc/

    Microsoft
    http://www.microsoft.com/

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