【PDC 2003レポート】MSリサーチ、パーソナルマップ、マジックペーパーなどを披露

      [2003/10/31]
    「今のMicrosoftは目標の表面に傷をつけた程度だ」とRick Rashid氏

    ジェネラルセッションの最後に登場したのはMicrosoft Research(MSR)のRick Rashid氏である。以前のPDCでもっとも反響があったというセッションを行った人だ。

    以前は、コミュニケーションの統合管理、話し言葉での検索、検索機能と組み合わされたファイル管理、デジタルによる人の行動の記録などのデモを披露した。同氏はMSRを"チーム・スタートレック"と説明し、その言葉通りSFっぽい内容に感じられたのを思い出す。だが、3年が経った今、それらのアイディアの多くはLonghornの中で形になろうとしている。

    MSRの歴史はそれほど長くはなく、デジタル・メディア部門ができたのは1993年である。だが、同部門でChuck Thacker氏がVAIOを真っ二つに割って実験していたというデジタイザーは、すでにTablet PCとして製品化されている。「今日、皆さんが手にしているMicrosoft製品には、我々の研究所から誕生した数々のアイディアが組み込まれています」とRashid氏。次世代のコンピューティングに対するMSRの役割が今回のテーマであり、この日の講演は、プレゼンテーション、ストレージ、コミュニケーションというLonghornを意識した順番で進められた。

    ○プレゼンテーション

    反射し合う複雑な光と影を表現できるPre-computed Radiant Transfer、マップの転位によってテクスチャを豊かに表現するView-dependent Displacement Mappingなど、今年のSIGGRAPHでMicrosoftが発表した内容が中心となった。それらの技術も使い、自然な水面の動きや水中での微妙な影の変化を表現するWater Renderingのデモを披露した。

    「我々はグラフィックス・プロセッサのパワーに着目し、インタフェース、フォトレンダリング、スケーリング、ローテーティングなどをユーザーのビジュアルエクスペリエンス向上のために利用しようとしています。このようなGPUのパワーを、従来のプログラマーが慣れ親しんだ方法で利用できるようにするのも、リサーチグループの目標のひとつとなっています」(Rashid氏)

    ○ストレージ

    最初に、カリフォルニア大学バークレー校が発表したばかりのデータ保存に関する調査結果が紹介された。同調査によると、2002年に作られたデータ量はおよそ5exabytes(500万terabytes)。1999年(2exabites)から2002年の間に、新たに作成されたデータのおよそ90%はハードディスク・ドライブに保存されていると見ている。

    続いてデータベースの権威、Jim Gray氏が登場。航空写真を格納した大規模データベース「TerraServer」に続く取り組みとして、Sloan Digital Sky Surveyの天文データベース「Sky Server」を解説した。

    「Sky Serverが素晴らしいのは、XMLスキーマ、ウエブサービス、データベースを組み合わせて、多様な分野でのデータの共有を可能にし、科学の進歩を加速させる可能性となっている点です」とRashid氏。

    ○コミュニケーション

    パーソナルマップというコミュニケーションツールが紹介された。家族、友人、仕事上のつきあいがある人などの対人関係を図式化した上で、それぞれが運営するBlogの内容を検索できる。自分が属するコミュニティのアルバムのようなソフトウエアだ。デモを行ったLili Cheng氏は、基本的なアイディアをソーシャル・ユーザーインターフェースと呼んでいた。

    最後にRashid氏は、近未来の教育を想定したビデオを流した。全ての学生がノートPCを持って講義に参加。質問などはすべてメッセンジャーで送り、アシスタントがリアルタイムで答える。特に重要な質問は、教授の端末に送られる。講義はウエブキャストされているので、世界中のどこからでも受講でき、現地の学生と同様に質問ができる。

    さらに学生や研究者を支援するデジタルツールとして、Math PadとMagic PaperというTablet PCのアプリケーションが紹介された。Math Padは、数学や物理計算をサポートするソフトウエアである。手書きした方程式から、ワンクリックでグラフを生成するというような使い方ができる。ソリューションを考えるのは手書きの方が便利だが、計算はパソコンの方が速い。その二つの作業が一つのパッド上で可能になる。Magic Paperは、Math Padの機能をスケッチに連動させることができる。デモでは、放物線の公式を書き込んで、さらに野球場、バッター、ボールの絵を描き、ペンで公式と絵を結びつけた。そして実行ボタンを押すと、絵がホームランを打つアニメとして動き出した。

    以上、デモ全体を通じては、「ハードウエアの成長に同調したソフトウエアの進化」がMSRのメッセージだったと思う。ただ、その進化の方向性が今ひとつ伝わってこなかった。加えて、前回の「コミュニケーション」と「検索」のように、今後、MSRが取り組む大きな課題が提示されなかったのも残念だった。

    (Yoichi Yamashita)

    【PDC 2003レポート】XMLをサポートするYukon、Longhorn Serverがロードマップに登場
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/10/29/24.html

    【PDC 2003レポート】Longhornのための開発者会議が開幕、Windows 95以来の革新性をアピール
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/10/29/11.html

    Professional Developers Conference(PDC)
    http://msdn.microsoft.com/events/pdc/

    Microsoft
    http://www.microsoft.com/

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

        イチオシ記事

        新着記事

        特別企画

        マイナビニュースマガジン