【インタビュー】二足歩行ロボ「QRIO」デビュー(1) - そのルーツは産業用ロボット

「QRIO」

今から3年前の2000年11月、パシフィコ横浜で開催された「ROBODEX 2000」で初めて一般にお披露目されたソニーの二足歩行エンタテインメントロボット「SDR-3X」。その後も「SDR-4X」「SDR-4XII」とバージョンアップが図られ、今年10月1日「QRIO」(キュリオ)という愛称で改めてデビューした。同日行われた東海道新幹線の品川駅開業セレモニーを皮切りに、今後はソニーグループの「コーポレートアンバサダー(親善大使)」として、国内外で開催されるさまざまなイベントを通して活動していく計画だ。

QRIOという名前には「Quest for Curiosity」、すなわち"好奇心の追求"という意味が込められているという。スムーズで滑らかな二足歩行のほか、歌やダンスなどのパフォーマンス、人の顔や音声を認識して対話ができるなど、さまざまな機能が搭載されている。そしてそれを実現させているのが、ソニーが長年研究開発を行ってきた、エレクトロニクスからメカトロニクス、センサなどの各種デバイス、ソフトウェアに至るまでの幅広い技術資産だ。QRIOはこれらの技術が有機的に連携し、協調し合って絶妙なバランスを保っている二足歩行ロボットであり、いわば同社が世界に誇る最先端技術の集合体とも言える存在なのだ。

QRIOはさまざまな特徴を持っているが、主に次の6点が挙げられる。

  • コミュニケーション能力
    声や顔で個人を識別し、その人に応じたコミュニケーションができる
  • 空間知覚
    ステレオカメラと7つのマイクロフォンを搭載し、空間の距離や音のする方向をリアルタイムに検出できる。そのことにより、名前を呼ばれた方向を向いたり、障害物を避けながら目標地点に向かって歩いたりすることが可能
  • 動的安定二足歩行
    ソニーが独自に開発した駆動機構である「ISA(インテリジェントサーボアクチュエータ)」を搭載し、安定した動的二足歩行やダンスステップなどが可能
  • 全身運動安定化制御
    全身運動を即座に安定化する機能が装備されているため、ダイナミックなパフォーマンスを安定して実行することができる。また、外部から力を加えられた場合でも姿勢を保持することができる
  • 統合転倒運動制御
    転倒回避から転倒、転倒復帰までを制御する機能を装備。そのことにより、転倒しても前後左右の転倒方向を検出し、受身動作によって衝撃を緩和することができる。さらに自律的に起き上がることが可能
  • 安全設計
    関節部に挟み込みセンサを装備し、万が一、指などが挟まれてもすぐに動作を一時停止する。また構造自体、挟まれにくい工夫がなされている

足首のすき間にもセンサがあり、人の指などが挟まるとそれを検知して脱力する

しかし、そもそもなぜソニーはQRIOのようなロボットを開発しようと考えたのだろうか。なぜこれらの機能を搭載する必要があると判断し、それをどのような技術で実現しているのだろうか。また、すでに商品化されている4足歩行ロボット「AIBO」とのコンセプトの違いはどこにあるのだろうか。

ソニー エンタテインメントロボットカンパニー 開発設計2部 開発企画課総括課長 服部裕一氏

そこで今回は、QRIOの開発者の一人であるソニー エンタテインメントロボットカンパニー 開発設計2部 開発企画課総括課長の服部裕一氏に、QRIOの開発経緯と目的、搭載されている技術、今後の課題などについて話を伺った。

--ソニーのエンタテインメントロボットには、QRIO以外にもすでに商品化されているAIBOがありますが、QRIOとAIBOとでは開発におけるアプローチの仕方や開発目的に大きな違いはあったのでしょうか。

QRIOの開発を開始したのはAIBOとほぼ同じ1997年ですが、QRIOとAIBOでは元々開発していた部署が違います。AIBOはコンピュータ系のエンジニアが立ち上げたロボットで、QRIOは弊社製品の製造ラインに使われる産業用ロボットを開発していたエンジニアが、社内ベンチャー的に始めたプロジェクトなんです。また、ロボットを開発するエンジニアにとって、二足歩行というのはひとつの大きな夢ですので、QRIOの場合、その夢を実現すべく比較的ロングタームでの開発スケジュールが組まれていました。一方、AIBOには早期商品化とビジネスモデルの確立という任務が課せられていました。そのため、比較的ハードルが低く家庭に入りやすいという観点から、4足歩行のペットロボットとして開発が進められ、進化していったのです。しかし、現在はAIBOもQRIOも同じエンタテインメントロボットカンパニーという部署で開発されており、今後は技術の共有化なども図られていくことになるでしょう。

【動画】得意のダンスパフォーマンス。身長わずか58cmの身体から、素早くなめらかな動きが繰り出される(WMV8形式 7秒 152KB)

--QRIOには6つの大きな特徴がありますが、なぜこういった機能を搭載しようと思われたのでしょうか。

QRIOの最終目標は、われわれの身近で一緒に生活する"パートナーロボット"です。そのためには、まず人間とコミュニケーションできる能力、つまり、われわれの言うことを認識し、反応してくれる能力が必要となります。そのため、音声認識機能と画像認識機能を開発し搭載しました。現在は頭部に7つのマイクロフォンを装備することで、音がどの方向から来ているかを認識することができるほか、約6万語の言葉がインプットされていますので、人間の話す内容をある程度認識することも可能です。また、スピーカーが搭載されていますから、ある程度の対話もできます。

目の部分には11万画素CCDカメラを2台搭載し、ステレオ視ができるようになっています。CCDカメラに加え赤外線方式の測距センサを使うことで周囲の空間やランドマークまでの距離を測り、障害物を避けて歩くことなどが可能です。また、現在のところ10人まででしたら人の顔画像を記録しておくことができるので、そのデータに基づいて顔を識別したりもします。

また、人と一緒に生活するために最も重要なことが安全性です。そのため、ひざやひじなどの関節部に、人間の皮膚感覚に似た18個の挟み込みセンサを装備し、人が指などを挟んでもすぐに感知して、脱力するようになっています。さらにロボット自体の大きさも重要です。あまり大き過ぎたり重過ぎたりすると、転倒した時に危険ですから、QRIOの場合身長58cm、重量約7kgという大きさにしています。

【インタビュー】二足歩行ロボ「QRIO」デビュー(2) - ソニーの実装技術の集大成
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/10/31/09.html
へ続きます

(山田久美)

ソニー、小型二足歩行ロボットの新型「SDR-4X II」を発表 - ROBODEXに出展
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/03/24/11.html

ソニー、新二足歩行ロボット「SDR-4X」をデモンストレーション
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/03/19/19.html

ソニー、パラパラ踊る小型二足歩行ロボット「SDR-3X」開発
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2000/11/21/05.html

【レポート】第21回ロボット工学セミナー(4) - AIBO・SDRとロボットビジョン
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/09/30/29.html

ソニー
http://www.sony.co.jp/



転職ノウハウ

あなたが本領発揮できる仕事を診断
あなたの仕事適性診断

シゴト性格・弱点が20の質問でサクッと分かる!

「仕事辞めたい……」その理由は?
「仕事辞めたい……」その理由は?

71%の人が仕事を辞めたいと思った経験あり。その理由と対処法は?

3年後の年収どうなる? 年収予報
3年後の年収どうなる? 年収予報

今の年収は適正? 3年後は? あなたの年収をデータに基づき予報します。

激務な職場を辞めたいが、美女が邪魔して辞められない
激務な職場を辞めたいが、美女が邪魔して辞められない

美人上司と可愛い過ぎる後輩に挟まれるエンジニアの悩み

人気記事

一覧

イチオシ記事

新着記事

求人情報