【ハウツー】アクリル工作で世界にひとつのディスプレイ(2) 組立そして完成した"my液晶"

  [2003/10/23]

○ケース作り ~組み立て編~

さぁ、いよいよ組み立てだ。まずアクリルの接着について簡単に説明しておくと、アクリルには専用の接着剤がある(写真21)。アクリル用接着剤は木工用ボンドなどと異なり、「アクリルを溶かして接着する」という仕組みを持つ。それゆえに接着力がかなり強いというのがアクリルという素材の扱いやすさの一因である。

(写真21)アクリル用の接着剤。高水化学工業の「アクリダイン#1」と、テルモの注射器がセットになったもので、購入価格は550円

さて、これからの作業工程を大雑把にまとめてみると、

表面と液晶パネルをネジ止めするためのネジ穴を裏面に接着
メイン基板と、メイン基板をネジ止めするためのネジ穴を接着
裏面と両側面/上下面を接着
表面と液晶パネルをネジ止め

といった具合だ。

各工程で適宜必要な基板の取り付けなり、配線なりを行うわけだが、どの工程で行っても構わないOSD基板を最初に取り付けておこうと思う(写真22)。ちなみにこのスイッチは、平リベットを挟んだだけで、とくに接着などはしておらず、滑りをよくするために、丸ヤスリで多少削った程度だ(写真23、24)。リベットの平らな部分がストッパーとなり、飛び出してしまうことも沈みこむこともない。また各スイッチの機能についてラベルを貼ることも検討したが、アクリルパネルが透けていて基板に書かれた機能の内容が読めるので、敢えて何もしていない。

(写真22)まずは表面のOSDを取り付け。基板と表面の間にアクリルパイプで隙間を作っている
(写真23)その隙間を往来するように平リベットを挟み込む。これでスイッチの完成だ (写真24)スイッチは滑りがよくないと使いづらいので、丸ヤスリを使ってわずかに穴を広げている

さて、ここからが本格的な組み立て作業である、まず最初に表面と裏面の位置を正しく取るため、裏面と両側面/上下面の仮組み立てを行う。ここではセロハンテープで止めただけで、接着剤は使用していない(写真25)。

(写真25)表面と裏面の位置を正しく取るために、「箱」の部分を仮組み。この段階ではセロハンテープで固定しているだけである

続いて接着すべきネジ穴を液晶パネルと表面で挟み、上下左右の位置を確認。そのうえで接着剤を注ぎ込む(写真26)。接着剤が乾燥すればネジ穴と裏面が完全に固定されるので、ネジ・液晶パネル・表面を外せば(写真27)のようになる。

(写真26)表面と液晶パネルも仮組みし、ネジ穴を接着。接着剤は少し垂らせば表面張力を利用して伸びていくので、あとは30分ほど放置するだけである
(写真27)ネジ穴が完全に固定されたら、表面と液晶パネルのネジを外す (写真28)続いてはメイン基板の取り付けだが、ネジ穴の接着位置がズレないように、あらかじめネジ穴を基板にネジ止めしておく

続いてはメイン基板の取り付けだが、これはあらかじめ基板とネジ穴を取り付けておき、裏面に貼り付ける格好にした。もちろん接着されているのはネジ穴と裏面のみなので、ドライバー1本でメイン基板も簡単に取り外せる。

次は裏面と両側面/上下面の接着である。(写真29)のようにセロハンテープで仮止めした状態で、隙間に接着剤を流し込めばOKだ(写真30)。この作業の合間に行ったのがインバータの取り付けで、ネジ止め個所は結局1個のみにした。というのも、輝度を変えるツマミによってグラツキを抑えられるからだ(写真31)。ちなみにツマミにつかったのは、ネジ穴の作業で何度も登場しているアクリルパイプで、これを適度な大きさにカットし、ペンチで潰してはめ込んでいるだけ。安上がりなツマミである。

(写真29)そしてインタフェース類が正しく収まる位置に基板を置き、隙間から接着剤を流し込む
(写真30)一番重要ともいえる裏面と両側面&上下面の接着。これもセロハンテープで仮止めしておいてから接着剤を垂らせば、表面張力によって隙間に伸びていく (写真31)その間にインバータを取り付け。ツマミは不恰好だが、目立たない部分だし、加工の手軽さを求めてアクリルパイプを利用した

さて、裏面と両側面/上下面を固定する接着剤が乾いたら、あとは配線して、液晶パネルと表面をネジ止めし直すだけ(写真32~33)。以上で完成だ。

(写真32)液晶パネルや表面を取り付ける直前に配線を行う (写真33)最後に液晶パネルと表面をネジ止めすれば完成だ

○完成~反省~そして使ってみる

組み上がった液晶ディスプレイ。そのディテールは半透明というより完全に透明で、ちょっとクールな印象も受ける(写真34)。裏面や両側面はさらにスケスケであり、いかにも手作りっぽさが感じられる作りに仕上がった(写真35~37)。

(写真34)完成した液晶ディスプレイ。青いカラーアクリルが良い雰囲気で、シンプルながら実用的な出来栄えではないだろうか? (写真35)裏面をのぞくと液晶ディスプレイの仕組みが分かり、教材にも使えそう?
(写真36)側面はいたって普通。加工していただいたDIYショップのスタッフに感謝しなければならない (写真37)インバータのトランスなどが見える反対側。こちらもそれほど違和感のない普通の仕上がりに映る

が、しかし。写真を見ても分かるように、全体がやや後ろに傾いている。これはフロント部分を留めるためのネジ穴の位置がズレてしまって、上部に隙間が生じているからだ(写真38)。

(写真38)上部は1mm程度の隙間が生じてしまった(アクリルと合わせて3mmのズレということ)。猛省

見栄えは悪いのだが、ディスプレイの傾きはいい味を出しているので、これはこのままにしようと思う。というのも、アクリルは「溶かす」ことで接着しているために、接着面を完全に元に戻すことができない。ネジ穴の位置を変えれば、その跡が残ってしまうわけで、こちらの見栄えの悪さの方が気になるというのも大きな理由である。

さて、設計図にありながら、ここまでの過程で一切触れていなかった底面の穴であるが、これは三脚に取り付けるためのネジ穴である。実際に小型の三脚に取り付ければ場所も取らないし自由にチルトも出来る、という魂胆だ(写真39)。ただ、これも実際に取り付けてみると、あまり安定性が良くなかった……。底面が薄すぎたためで、さらなる安定度を求めるなら、底面は5mm厚以上のアクリル板を使うべきだったと反省している次第である。

(写真39)チルトを自在に行いたいなら三脚が便利。ここで使っている三脚はスリックの「S-200」で、1,480円で購入したもの

以上のとおり反省点も多い液晶ディスプレイだが、実際にどの程度使えるものなのかも見ておこう。まずは普通にWindows XPでWebブラウズをしたところだ(写真40)。800×600ドットなので、さすがに文字数も少ないが、色合いも悪くなく滲みも少ない。当然、文字の視認性は良く、十分に実用的なレベルである。

(写真40)この液晶ディスプレイでWebブラウズを試してみた。角度のあるところから撮影しているが、この角度でもそこそこの視認性。正面からだと「さすが液晶」と思われる発色の鮮やかさがある

ちなみに、横置きも簡単にできる構造なので、画面を90度回転させたらWordの編集などが便利になるのではないかと考えたのだが、今回利用したNVIDIAのグラフィックカード ドライバが800×600ドット環境での90度回転を許してくれなかった(写真41)。これはかなり残念である。

(写真41)ぜひとも縦長画面を試してみたかったのだが、NVIDIAのDetonatorXPでは、800×600ドット時の90度回転をサポートしていなかった

残念なことはもう1つある。なぜかBIOS画面が正しく表示できないのだ。原因は不明なのだが、最初のうちは表示されているものの、次第に画面が白くなっていき、最後には完全にホワイトアウトしてしまう(写真42)。Windows使用中は長時間使っても問題が起きないので実害は少ないのだが、ちょっと謎が残った。

(写真42)BIOS画面を表示させても途中でホワイトアウトしてしまう…(何故?)

このほか、OSDの内容もチェックしておこう。OSDからは輝度とコントラストのほか表示位置の変更が行え、まずは十分な内容といえるだろう(写真43)。なお、LANGUAGEについては中文と英語が選べたが、どちらを選択しても英語表記になってしまったことを付け加えておく。

(写真43)OnScreenDisplayメニュー。OSDの表示位置などの変更も行える

最後にビデオ入力の映像のチェックだ。大きさも適度であり、ゲーム専用液晶としたい人もいるかも知れない。そこでプレイステーション2を接続して試してみた(写真44)。もちろん正常に表示されるのだが、反応速度が特に優れているわけではないため、レースゲームなど動きの速いゲームでは少々不満が残った(ブラウン管でのプレイに慣れてしまっているのも一因だが)。あと、スピーカーを内蔵しないため、別途接続しなければならないのも面倒な点で、ビデオ映像に関しては使い道を選びそうだ。

(写真44)動きの速いゲームはオススメできないが、プレイステーション2も一応楽しめる

○PC自作とはまったく違った楽しさ

以上のとおり、液晶ディスプレイの自作に取り組んでみた。もっとも苦労するのがケースの作成、というのはPCの自作とは違った趣きがあり楽しいものだ。今回はアクリルパネルを素材として、失敗例も含めた作成手順を紹介してきたが、興味を持っていただけただろうか? アクリルパネルのほかにも、木材や金属材などを使えばまた違った雰囲気が出るし、手軽に段ボールで作る、というPCケースのような楽しみ方もある。

一方で、PCの自作のようにいろいろなパーツを組み合わせるという要素は少ないと思われるかも知れないが、冒頭で紹介したCoCoNet液晶工房では、SXGAまで対応可能なメイン基板や、さまざまなメーカーの液晶パネルを取り扱っている。これらを組み合わせて最適な色合いを求める、というようなPC自作に通じる部分もある。

液晶自作はまだまだマイナーの域を出ていないのも事実だが、クリエイティブなことが好きな人、またチャレンジしたいと思っている人は、ぜひとも試してみてほしい。

(多和田新也)

アクリル工作で世界にひとつのディスプレイ(1) 液晶ディスプレイを自作する
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/10/23/12.html

CoCoNet液晶工房
http://www.thecoconet.com/

秋月電子通商
http://akizukidenshi.com/

アクリ屋
http://www.acry-ya.com/



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