「光学迷彩」のデモもある「MIXED FANTASY~MRテクノロジーEXPO 2003」開催

      [2003/10/09]

    10月10日より12日までの間、「MIXED FANTASY~MRテクノロジーEXPO 2003」(MR-EXPO)が品川のコクヨホールにて開催される。MR-EXPOは、現実世界と仮想世界を継ぎ目なく融合する先端技術「Mixed Reality(複合現実感)」の発表展示会。前日となる9日は、報道および学会関係者向けに、作品やデモンストレーションが公開された。

    今回展示されるのは9作品。これは「第2回複合現実感国際会議 ISMAR 03」に投稿された中から選ばれた選りすぐりの作品だ。

    ○SF映画の光学迷彩が初の一般公開

    「光学迷彩(Optical Camouflage)」(電気通信大学 稲見昌彦氏他)は、タイトルどおり"光学迷彩"で、SF映画やアニメーションなどで登場するようなものだ。この技術は、ビデオカメラとプロジェクタの配置によって、まるで透明人間のように背景が透けて見える。テレビなどでは何度か紹介されているが、広く一般公開されるのは"初めて"とのこと。

    左に背景を撮るためのカメラ、右に背景の映像を投射するプロジェクタ 
    こちらがプロジェクタ。位置や角度などを丹念に設定する

    デモンストレーションでは、背景を撮影するビデオカメラと、灰色のコートを着たインストラクター、そしてインストラクターに背景映像を投影するプロジェクターが見られ、その仕組みと動作が理解できるだろう。

    実際に光学迷彩を行うと、背景の映像が灰色のコートに映し出される 
    今回の写真は一旦偏光版を通したもの。実際の眼で見る場合よりも色がくっきりしている

    ○黒いはずの影にカラフルな色が付く?

    「光る影(Textured Shadow)」(東京大学 苗村健氏他)は、"影は黒いもの"という概念を打ち破るカラフルでゆらゆら揺れる影を作り出す装置。通常ではあり得ない色つきの影は、まさにファンタジーだ。

    カラフルな光る影

    これを可能としているのは、対角上に2つ置かれたプロジェクタから、互いにちょうど補色関係となるように計算された光が投影されるシステムにある。補色関係にあるため、遮るもののないところで合成された光は白いが、遮ってできた影には一方向からの光しか届かず、その方向から投影された色が浮かび上がるという仕組みだ。原理的には、投影される映像に対し、補色関係にある映像を生成できれば可能とのことだが、それをリアルタイムに作るためには膨大な計算処理が必要。同装置では、計算済みのパターンを用いることで、リアルタイムにカラフルな影を生成することに成功している。

    青と緑の影はこちらのプロジェクタからの光。反対からは補色関係にある紫と黄色の光が映されている 
    ちょうど真ん中から見ると、2つの方向からの光の色がわかる

    ○カップを使って公園や都市をシミュレーションできる未来のシムシティ?

    「マジックカップ(Magic Cup)」(大阪大学 加藤博一氏他)は、卓上の空間に町や空き地のCGを表示し、カップ型のインタフェースを通じ、直接手で物体を操作しながら建物や樹木などのオブジェクトをレイアウトできるというシステム。Head Mounted Display(HMD)を使ったMRシステムだが、バーコードのような正方形マーカーを使った位置合わせ手法(ARToolKit)を利用しており、マーカーの並べられた卓上のシートの上に、HMDを通じて仮想世界が映しだされる。インタフェースとなるカップにもマーカーが付けられ、コードなどの無い、初めて体験する人にも簡単な操作を実現している。

    左のモニタの映像がHMDに映されている映像。卓上には町並みが広がり、カップを操作して好きなところにオブジェクトをレイアウトできる 
    卓上のマーク

    広島市街地や公園をモデルとした3D空間で、ビルや遊具のようなオブジェクトに対しカップを使って、動かしたり、コピーしたり …… 都市開発のシミュレーションなどに活用できるとのことだ。卓上のマーカーとは別にコマンド用のマーカーもあり、任意のオブジェクトを追加したり、視点をズームインしたり、そのほか太陽の方向を変えて日当たりを見てみたりといったことができる。システムも操作もシンプルにまとめられており、アトラクションにすればハマること間違いなしの面白さがある。

    赤く表示されるカップ。オブジェクトに被せると取る、置くと配置、振るとモードが切り替わる

    できた町並みは自由な視点から確認できる

    ここで紹介した以外にも、ゲーム性を持たせたリアルタイム合成、シャボン玉ストローという変わったインタフェースを使ったシステム、また、位置や方向の情報を得ることが困難なところでも自律的に情報を取得するシステムなど、アイデアの詰まった様々なシステムが展示されている。MR技術は、実際に見て・聞いて・触ったほうが理解しやすい。一般公開もある今回のイベント。ご興味のある方は是非会場まで足を運んで最先端のMR技術に触れてみてはいかがだろうか。

    「ブレードシップス(BLADESHIPS)」(筑波大学 竹村雅幸氏&原口俊吾氏)は腕につけたセンサーでMR空間の飛行船をコントロールする(2人で対戦可能) 
    「ジェリーフィッシュ・パーティ(Jerryfish Party)」(キヤノン 奥野泰弘氏&角田弘幸氏他)はシャボン玉ストローを使う一風変わった入力方法をとる
    現実世界のジェリーフィッシュ 
    MR空間ではシャボン玉やクリオネ、クラゲが飛び交う
    会場を飛び出しても自律して位置情報を算出するウェアラブルMRシステム「ウィービー:パーソナルポジショニング(Weavy:Personal Positioning)」(産業技術総合研究所 興梠正克氏他) 
    左の彼が見ているのは品川駅。HMDには品川駅に関連した情報が表示される

    【情報処理学会レポート】ウェアラブル 招待講演(2) - ウェアラブル×ユビキタス=Mixed Reality?
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/03/28/14.html

    【レポート】見えるものが本物だ! バーチャル・リアリティからミックスト・リアリティへ(1)
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/03/22/10.html

    【レポート】融合しよりリアリティを高める仮想と現実 - 第17回ロボット工学セミナー(1)
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/01/07/12.html

    MIXED FANTASY~MRテクノロジーEXPO 2003
    http://www.ismar03.org/mr-expo/

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