【インタビュー】AMD PCSグループ(4) - Duronも含めたラインナップ拡張が成功の鍵を握る

--ところで話は変わりますが、NSのGeodeの開発チームは全員がAMDに移ったのですか?

S:開発チームは(NSでは)135人いたのですが、そのうち133人が移りました。1人は退職して、なんとカーペット屋を始めてしまいました(笑)。もう一人はNSに残る決断をしました。

--開発チームはAustinに移動したのですか?

S:いえいえ、引き続きLongmontに居ます。デザインセンターがLongmontにあるからで、133人のエンジニアもみなそこに居ます。Austinは暑いのでね(笑)。

--最後に、現在のGeode GX1のユーザーに何かメッセージをいただけませんか?

S:実のところ、今回の移行に関してはごく小数のお客様にしか話をできなかったのですが、やっと話ができるようになりました。AMDがNSからGeode部門を買収したことは、前向きに考えてよいと思います。

1つ目の理由は、殆どのエンジニアがそのまま残っている事です。従来多くの製品に利用されてきましたが、それらを手がけてきたエンジニアがそのままAMDに移籍しています。2つ目は、(Geodeの製品ラインにとって)AMDの方がより良い環境になっていることです。AMDはCPUを作っているメーカーですから。勿論NSの事を悪く言いたい訳ではありません。Geodeは省電力と高性能を兼ね備えた素晴らしい製品で、特定用途向けにぴったりな特徴をもっています。これに対しAMDは、非常に幅広いレンジをカバーする製品を提供しています。両者はうまく補完しあえる関係にあるわけです。

ですから、今回の買収は顧客により良い可能性を提供できるものであると考えています。付け加えるなら、我々は引き続き従来のロードマップに沿って、省電力・高性能のx86互換プロセッサを提供してゆく事ができます。これも、顧客にとっては長期的な安定を保証できるものと考えて頂いて良いと思います。

○ということで

文章にしてみたらかなり長くなってしまったが、AMDが何を目的にGeodeを買収したかはほぼ明確になったインタビューだった。

問題があるとすれば、Geodeの製品ラインが果たしてAMDにとって(長期的にでも)ペイするかどうか、であろう。NSがIA部門の売却を発表したのは今年2月の事だが、この時点で要するにNSにとってGeodeの製品ラインが十分な収益を上げていない(GX2の開発コストも無視できない額だったのだろうとは想像できる)と判断された訳だ。このあたりがAMDに買収されたことでどの程度好転するか、が1つのキーである。Pompa氏も言う通り、NSはデジタルICのメーカーではないし、ましてやCPUビジネスはだいぶ前から本業ではなくなっていた事を考えると、決してビジネスがやりやすい状況では無かった事は想像がつく。

Photo09:Alchemyを使ったホームゲートウェイのサンプル

ただ、そうは言っても競争力の点では相対的に低下しているのも間違いない。最近、VIAのEdenシリーズを使ったIA機器が次第に増えているというのも、Geodeでは十分なパフォーマンスが出ない事の裏返しである。その意味では、AMDは早くGX2の製品ラインの拡充を図ると同時に、Duronの製品ラインを充実させる必要があるわけだが、このあたりでは一歩出遅れている感も無くはない。一方のVIAが、最近は"Total Connectivity"を合言葉にEmbedded向けにかなり力を入れている事を考えると、Geodeの前途が明るいと単純には言い切れない状況な気がする。

余談ではあるが、Alchemy Au1500を搭載した"Solution Access Equipment Reference Design Kit"(Photo09)を前にPopma氏と次の様な会話を交わした。

--このホームゲートウェイはどの程度のルーティング性能を持ちますか? この製品の競争相手は、例えばIntelのIXP425シリーズになると思いますが?

P:これはどんな競合製品よりも高速に動作するよ。

--それはつまり100Mbpsのルーティングが可能ということですか?

P:IXP425はそんなに性能が出ないよ

--でも実際にIXP425を搭載した製品で、FTPで90Mbps以上、PPPoE環境でも70Mbps近い性能が出ていますが?

P:それは本当かい? うーん、でも私はこのゲートウェイはそれより高速に動作すると信じているよ。それに、これはあくまでもデザインのファーストステップだしね。

Photo10:ホームゲートウェイの動作画面。ファームウェアはWIPROのもののようだ

というものだ。IntelのIXPシリーズやBroadcomのBCM6300シリーズ、BRECIS CommunicationsのMPS2000シリーズなど、このマーケットを狙うプレイヤーは多いが、既にこのマーケットではどれだけ多くのインタフェースを持てるかと、セキュリティ/VoIPアクセラレーションのオンチップ化が必須の状態になっている。単なるルーターとしてならAu1500でも実現できるだろうが、このマーケットは既に60Mbpsオーバーのルーティング性能を持つルーターが4,000円以下で実売されているという状況を鑑みると、価格競争力がどれほどあるのか疑問ではある。わざわざAu1500を使って単機能ルーターを作る訳も無い訳だし、あくまでこれはファーストデザインだからあれこれ言う必要もないかもしれない。が、この延長でどこまでビジネスが成立するのか、現時点ではちょっと首を捻らざるを得ないというのが率直な感想である。

(大原雄介)

【インタビュー】AMD PCSグループ(1) - なぜAMDはGeodeを手に入れた?
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/10/08/11.html

【インタビュー】AMD PCSグループ(2) - Geode/Alchemy/Duronの共存
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/10/08/12.html

【インタビュー】AMD PCSグループ(3) - Geodeの搭載のノートPCは登場するか
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/10/08/13.html

AMD
http://www.amd.com/



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