【インタビュー】AMD PCSグループ(3) - Geodeの搭載のノートPCは登場するか

Photo07:こちらはAlchemyベースのSmart Display

--もう少しハイエンドの話をさせてください。一番下にAlchemyが位置し、その上にGeodeが来ます。ここの間は性能のギャップはそれほど大きくありません。ところがGeodeとDuronの間には、かなりギャップがあるように見えます。このギャップを埋めるために、例えば低消費電力・低動作周波数のDuronを投入するとか、逆にGeodeのパフォーマンスアップを行うといった予定はあるのでしょうか?

S:勿論、我々は積極的にGeodeのパフォーマンスアップと低消費電力化を追い求めてゆきます。ただ、Geodeは低消費電力にフォーカスしつつ性能の改善を図ってゆく事になるでしょう。マーケットを見ていると、求められる性能は色々ありますが、消費電力あたりのパフォーマンスはほぼ一定になっています。そこで、我々としてはGeodeの性能を引き上げてゆく(事でこれらの要求にこたえる)ことを考えています。

--セットトップボックスの話に戻りますが、例えば日本だとデジタル放送が間もなく開始されようとしており、この結果セットトップボックスのニーズが出てくるかもしれません。ただ、このデジタル放送の場合コピープロテクションの処理が必要ですし、D1~D5といったデジタル信号を取り扱わなければなりません。こうしたものを全部同時に処理するには、Geodeではやや非力な気がするのですが?

S:Geode CPUはそもそもデコーダを内蔵していますが、他に様々なデコーダを組み合わせる事ができます。例えばMicrosoftのWMVは問題なく取り扱えますし、勿論DRM(Digital Right Management)にも対応してます。その他の多くのスタンダード、例えばMPEG-4にも対応できますし、AESの暗号/復号化もあります。こういったものを必要に応じて組み合わせる事で、特定用途向けのローコスト・ローパワーのソリューションが提供できます。

Photo08:Alchemyを使ったOpen PDAのサンプル。昨年COMPUTEXで発表されたPDAの試作機よりも大幅にスマートになった

ちょっと考えて欲しいのは、セットトップボックスは完璧でなければならないことです。どんな状態でも止まったり、コマ落ちしたりしてはいけません。こうした状態では、1つのプロセッサで全てを賄うよりも、処理を分けてそれぞれ別のプロセッサで構成するほうが確実です。例えばCeleronなどが非常にパワフルなCPUである事はわかります。が、これを使ってリアルタイムで全ての処理を完璧に並行して実行できる事を保証するのは、非常に難しいのです。

--確かNSは2001年にGeode GX2を発表しました。GX2は基本的にはシングルパイプラインでCISCベースのプロセッサですよね?

S:その通りです。ただし命令の処理効率を改善した結果、IPCは更に上がっています。動作周波数はGX1と比べてちょっと上がっただけですが、性能は大幅に上がっています。つまりMHzを(あまり)上げずに性能を上げる事に成功した訳です。

Geode GX1はSingle Issueのコアです。実際のところ、(Geodeを使う)多くの製品ではそれほど高いパフォーマンスは必要ないからで、むしろ動作周波数(発熱)をいかに抑えるかの方が重要な訳です。この発想はGX2にも引き継がれています。

--今後のGeodeはAMDのCPUチームとの共同開発になるのですか? AMDには現在、3つのCPUチームがあります。1つ目はK8の開発を行っているチーム、2つ目はK7の開発を終え、K9の開発に着手したチーム、3つ目がAlchemyの開発チームです。で、Geodeのチームはどうなるのでしょう?

S:あー、なにしろ私はAMDに来て3週間目なので(爆笑)。よく判らないんです(笑)

--あー(笑)、では、貴方の意見としては、Geodeの設計チームはAMDのプロセッサチームとマージされるべきだと思いますか? それとも独立チームの方が望ましいと思いますか?

S:それは良く判りません。ただ、我々が相手にしているマーケットは低消費電力と高パフォーマンス/パワーが重要で、3GHzものトップパフォーマンスは必要ありません。また、多くのプラットフォームのサポートが必要になります。我々は引き続き、このマーケットにフォーカスしつづける事になると思います。

--ところで、もうひとつの競争相手がTransmetaです。確かに現在のTM5000シリーズは、ノートブック用としてはやや遅いですが、組み込みマーケットには十分でしょう。消費電力は非常に少ないですし、ノースブリッジはCPUに統合されています。TM3000シリーズは、特に組み込みマーケットに特化していますし。このあたりはどう考えられますか?

S:確かにTransmetaは良い製品を持っていると思います。ただ、ダイサイズを比較するとちょっと大きめになっています。我々の方が、より最適化された(Silicon Efficient)ソリューションを提供できます。このダイサイズはそのまま価格に反映されてしまいますから。アーキテクチャの比較は非常に難しいのですが、Geodeはx86で非常にコスト対効果の良いソリューションだと思っています。

--なるほど。ところで先ほどの説明では、GeodeはあくまでNon-PC、セットトップボックスやスマートディスプレイなどにフォーカスするという話でしたが、これをPCマーケット、特にノートブックのマーケットに販売する予定はないのでしょうか? 例えば昔CASIOはFIVAシリーズでGeode GX1を採用しましたが、こんな具合にGeode GX2をノートPC向けに提供する事は考えてないのでしょうか?

S:随分前のことを覚えていますね(笑)。現在のノートPCのマーケットでは、もっと高いパフォーマンスが必要とされます。我々はむしろIA(Internet Appliance)マーケットにフォーカスしています。ノートPCをカバーするためには、そのマーケットをチェックする事が必要になりますが、そうした事はいまのところしていません。その理由は、PCSグループがあくまでIAマーケットをターゲットにしているから、ということです。IAマーケットはノートPCよりもはるかに大きい市場規模をもっていますから。

--では、この質問は明日CPGグループにもう一度してみることにします。ただ、技術的に見た場合、GX2というのはノートブックに向いたソリューションだと思われますか? というのは、例えばIntelはハイエンドにMobile Pentium 4、ミドルエンドにはPentium M、ローエンドにULV Pentium MやULV Pentium IIIを持っています。ところがAMDはハイエンドがMobile Athlon 64、ミドルレンジがMobile Athlon XP-Mで、ローエンドにあたる製品がありません。個人的には、このローエンドにGeode GX2は良い選択だと思えるのですが?

S:うーん、答えにくいですね。私はあくまでPCSに所属してIAを見ているので、ノートブックなどは良く判らないんです。ただノートで行う殆どの作業、つまりWebアクセスとかE-Mailとか、そういったものはGeode GX2で問題なく実現できます。

--そこのGX2の評価ボードではWindows XPが動いていますが?

S:あー、これはWindows XPのLook&Feelを搭載した組み込み機器を要求された場合の選択肢で、シンクライアントやポータブルタブレットなどを主要なターゲットと考えています。

--もうひとつ、コミュニケーションエリアに関しての展開はいかがでしょう? ローパワーのCPUを搭載したブレードを多数集積する、いわゆるブレードサーバーへの応用などは考えておられますか?

S:現在はIA向けの製品のみを考えていて、その他のマーケットの事は計画にありません。勿論、将来の展開としては否定はしませんが。ちなみに、コミュニケーション向けとしては、Opteronの展開を考えています。

--なるほど。では、セットトップボックスの話に戻ります。日本では今、セットトップボックスと呼ぶよりもメディアサーバーと呼ぶのが正しい様なマーケットがあります。例えばシャープのGalileoという製品なのですが、TV放送を受信して、これをMPEG-2/4でエンコードして内部のHDDに蓄積し、LAN経由で配信するというものです。これは、既にセットトップボックスの枠をはみ出していると思うのですが、こうしたマーケットはいかがでしょう?

S:マーケットが成熟してゆけば、そうした展開は当然ありえますね。そうなると従来のスタンダードは通用せず、世界各国で全て異なった要求が出てくるわけです。異なったアーキテクチャ、異なったインタフェースが必要とされ、それを提供するメーカーも異なります。フランス・韓国・中国・台湾、みな状況が異なります。米国は更に状況が複雑です。こうしたマーケットで成功するためには、まずマーケット自体を理解し、キーとなる会社と一緒に作業をしてゆく事が必要であり、ワールドワイドの標準はありません。

例えばCodecひとつを取っても、未だに安定しません。DVDはMPEG-2を使いますが、これは圧縮率が足りません。MPEG-4はひとつの解ですが、MicrosoftはWMVを強力に推進しています。他にもDivXやXVDや、数え上げてゆくとキリがありません。こんな混乱した状態では、むしろ積極的に様々なマーケットの要求を取り込んでソリューションを提供してゆく事が成功への道筋だと考えています。

(大原雄介)

【インタビュー】AMD PCSグループ(4) - Duronも含めたラインナップ拡張が成功の鍵を握る
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/10/08/14.html
に続きます

【インタビュー】AMD PCSグループ(2) - Geode/Alchemy/Duronの共存
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/10/08/12.html

COMPUTEX TAIPEI 2003レポート
http://pcweb.mycom.co.jp/news/special/2003/09/23/01.html

AMD
http://www.amd.com/



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