「Nature」最新号、ビデオ映像も表示できる新技術採用の電子ペーパーを紹介

      [2003/09/25]

    オランダのRoyal Philips Electronicsは、「Electrowetting」と呼ばれる技術を採用し、ビデオ映像も表示できる電子ペーパーの研究開発を進めている。科学雑誌「Nature」9月25日号に「Video-speed electronic paper based on electrowetting」として紹介された。

    まるで紙のようなディスプレイを実現する電子ペーパーは、従来の構造として、正極に帯電した白い粒子と負極に帯電した黒い粒子を、オイルが封入されたマイクロカプセル内に配置し、電極に電圧をかけることで白黒の粒子を移動させ、画像を形成して表示する技術が採用されてきた。

    可視角度がほぼ180度と広くて見やすく、フロントライトやバックライトを使わないため、消費電力が非常に低いという優れた特性を備えている。また、形状の自由度が高いことから、軽量・薄型のディスプレイ開発にも期待がかけられている。とはいえ、オイルの中を白と黒の粒子が移動して表示画像を形成するため、応答速度が遅く、微妙な階調表現やカラー表示には向かず、主に文字情報に特化した製品と位置付けられてきた。

    しかしながら、Royal Philips Electronicsの研究機関「Philips Research」のRobert A. Hayes博士およびB. Johan Feenstra博士により新開発された電子ペーパーは、Electrowettingという原理を応用した技術を採用。シアン/マゼンタ/イエローのカラーオイルを水の中に封入し、疎水絶縁加工された背面電極より電圧をかけると、水の動きによってカラーオイルが移動し、カラー画像を形成表示する仕組みになっている。

    従来製品と比較して、画像形成に必要な速度が大きく向上するため、フルカラーのビデオ映像を表示することが可能になったという。しかも、フロント/バックライト不要のため消費電力が低く、反射式のLCDディスプレイに比べて4倍の明るさで見やすいといった、電子ペーパーならではの特性は失われていない。

    同研究に10年以上も携わってきたというHayes博士は、Electrowetting採用の電子ペーパーについて「まだ開発は非常に初期の段階にあるとしか言えないものの、デモンストレーション表示では、かなりポジティブな反応が目立って見受けられた」と語った。今後は早期の実用化を目指し、さらなる研究が続けられることになる。

    【IEDM2002レポート】E-Inkが電子ペーパー・ディスプレイの可能性をアピール
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/12/12/16.html

    富士ゼロックス、「DocuWorld2002」開催、「E-Paper」など展示
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/10/30/06.html

    厚さわずか0.3mm! - 米E-Inkが極薄電子ペーパーをデモ
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/06/06/18.html

    「紙」のようなディスプレイが実現、凸版が電子ペーパー商用化へ本腰
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/02/04/06.html

    Royal Philips Electronics
    http://www.philips.com/

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