【COMPUTEX TAIPEI 2003レポート】XGIインタビュー(2) - Volariはラテン語で「スピード」を意味

-- 次にパートナーについて教えてください。例えばNVIDIAは自分自身ではビデオカードを売らず、ASUSTeKとかMSIといったパートナーが製造しています。ATIはビデオカードとグラフィックチップの両方を売っていますが、RADEON 9800は自社製造を中止します。もともとATIもGIGABYTEその他のベンダーがビデオカードを製造しているわけで、その意味ではビジネスモデルがNVIDIAに近づいたわけですが、XGIはこのあたりをどうするのでしょうか。

XGIもグラフィックコアのみを販売します。それに、我々はビジネスパートナーに困ることはありません。というのは、例えばASUSTekやMSIもATIのビデオカードを販売しようとしています。彼らには(ビデオカードの販売に関する)Corporate Strategyはありません。

-- それはつまり、将来はASUSTeKとかMSIもXGIのビデオカードを製造・販売する可能性があるということでしょうか。

私がひとつ言えることは、Tier1のグラフィックカードベンダーは、引き続きNVIDIAとの関係を維持しようとするでしょう。NVIDIAは既に十分な製品ラインナップを持っているので、(Tier1を失う危険性を冒してまで)他の製品は必要ありません。ところが台湾のマザーボードベンダーはすべてTier2のポジションにあります。彼らにはマーケットプラニングやリスク分散、顧客の要望などに対応するため、複数のベンダーが必要です。我々は既にGIGABYTEやPowerColorとも話をしています。MSIはこの1ヶ月の間に、(XGI製品を)扱うかどうか決めることになります。世界には非常に多くのシステムインテグレーターやディストリビューターがあり、顧客の要望があればそこにチャンスが生まれます。我々は、非常に多くのベンダーと同時に話をしており、すべてのベンダーに分け隔てなく提案を行っております。あとはどうなるか、はベンダーが決めることになります。

 Photo04:Volari V8 Duo。V8 Ultraをデュアルで搭載する。2つもある電源コネクタがちょっとイヤな感じではあるが。
 Photo05:Volari V5 Duo。見かけは殆ど変わらない、というか基板は同じものを使っている可能性もある。

-- では、早ければ来週とか来月にも名乗りをあげるところが出てくると考えて宜しいですか。

どこが一番か、というのは微妙なところなのでなんとも言えませんが、今年中に多くのベンダーがアナウンスをすることになると思います。正直なところ、どこか1つのベンダーが名乗りをあげただけでは、この世界では生き残れません。

NVIDIAのケースを考えた場合、Tier1に提供されるグラフィックチップの価格はTier2よりも安く、しかもTier2よりも半年近く早く提供される場合もあります。例えばPowerColorの場合、これがNVIDIAからATIに乗り換えた理由です。(PowerColorは)NVIDIAではTier2だったので、彼らの儲けは非常に少ないものでした。ところがATIではTier1になったため、儲けが大幅に増えることになりました。スケールメリットを出すためには、ATIはGIGABYTEだけでは足りませんでした。マーケットシェアの点からもこれはいえます。ところが現在は、多くのベンダーがATIを取り扱うようになった結果、ATIもスケールメリットを得ることができるようになりました。複数のプロダクトラインを取り扱うためには、複数のベンダーが必要なのです。

 Photo06:Volari V8 Ultra。コアクロック350MHz/メモリクロック500MHz(DDR II)もしくは375MHz以上(DDR)。8パイプラインでVertex Shader×2、Pixel Shader×4の構成。UltraのつかないただのVolari V8はコア300MHz/メモリ450MHz(DDR II)もしくは325MHz(DDR)。パイプライン構成は同じである。
 Photo07:Volari V5 Ultra。コアクロック350MHz/メモリクロック500MHz(DDR II)もしくは375MHz以上(DDR)。4パイプラインでVertex Shader×2、Pixel Shader×2の構成。

この月曜、我々はProduct Launchを行いました。そこでは多くのベンダーが興味をもってくれており、1ヶ月以内に多くのベンダーが何らかの決断をすることになると思います。2つ、我々にはアドバンテージがあります。(1つ目ですが、)ATIとNVIDIAはどちらも新製品のリリースが遅れています。ATIやNVIDIAのリードタイムがどの程度か、多くのベンダーは確信が持てていません。これは我々に取って、有利に働くでしょう。2つ目は、来年の経済状態が非常に好調と予測されることです。需要が多くなれば、NVIDIA、ATIともに来年は製品供給がショートするでしょう。こうした供給ショートがあれば、ベンダーは他のサプライヤーから製品を入手しなければなりません。となれば、製品を用意している我々にとっては、非常にタイミングが良いことになります。来年は非常に良いチャンスだと私は思っています。

-- ちょっと質問をテクニカルな方向に振ります。Volari V8 DuoとVolari V5 Duoですが、この2チップ構成というのは、2つのチップが同時に動くのでしょうか? 過去にこうしたものだと、VoodooのSLIとか、ATIのRAGE MAXXなどがありましたが、Volari Duoはどうなっているのでしょう。

例えばフレーム1は右のチップで、フレーム2は左のチップで、フレーム3は右のチップで、...というように...

-- 奇数フレームと偶数フレームを、それぞれ別のチップで処理することで性能を上げる、と?

其の通りです。2つのフレームを同時に処理することで、チップ1つの場合よりも非常に高速に処理を行います。各々のチップは専用のDRAMをそれぞれ持つ形になります。

-- だとすると、例えばテクスチャは両方のフレームバッファで2重持ちになるわけですか?

其の通りです。1回のロードで、両方のフレームバッファに同時にロードされる形です。これにより、(チップ1つの場合に比べて)1.7倍高速に動作します。

-- それはわかりますが、ずいぶん高くつく構成ですね。ところで、Volariという名前ですが、どこから来ているのでしょう。

Volariはラテン語で「スピード」を意味します

-- そういえば、PCI Expressのサポートに関してはいかがでしょう。例えばPCI ExpressをサポートしたバージョンがVolari V4/V6/V9とかになるという話でしょうか? つまり、単にPCI Expressのサポートをするのか、それとも同時にグラフィックコアの拡張も行うのか、というあたりが知りたいのですが。

PCI Expressはサポートします。我々はVideo Bridgeを提供します。これはグラフィックチップの外部に付く形になります。顧客の立場で考えてみてください。来年はAGPとPCI Expressの過渡期にあたります。従って、両方のバスのニーズがあるわけですが、このために2種類のチップを提供されることを彼らは恐れています。そこで我々は、AGPとPCI ExpressのBus Bridgeを提供します。これを使えば、顧客はAGPの需要とPCI Expressの需要の両方を1つのグラフィックコアで満たすことが出来ますから。

 Photo08:ローエンドにあたるVolari V5。パイプライン構成はVolari V5 Ultraに同じで、コアクロックが300MHzに、メモリクロックが450MHz(DDR II)もしくは325MHz(DDR)にそれぞれ引き下げられたバージョン。
 Photo09:PowerColorのブースに展示されたVolari V8 Duo。ボードの構成はXGIのサンプルボードそのまま。

-- 先週、IDF Fall 2003に行ってきたのですが、確かにSCSIなどではPCI Express Bus Bridgeを使っていました。ただ、それらは何れもPCI Express x4のサポートで、PCI Express x16のBus Bridgeは存在しなかったのですが。

すべてのビデオカードベンダーは、今のところ8bit幅しか使っていません。NVIDIAもATIもです。なぜかというと、16xは誰もテストしていないからです。また、16xをチップ内に内蔵するにはダイコストが高くつきます。PCI Expressの問題はコストで、普及のためにはコストダウンが必須です。これもまた、我々が外付けのBus Bridgeを選ぶ理由です。

-- その8bit幅のBus Bridgeは3rd Partyから提供を受けるのですか?

XGIが設計しています。既に設計は終わり、テープオンしています。おそらく今年末にリリースできるでしょう。我々はこれをIDF Taiwanで発表します。IDF USはCorporate Kick-offと重なってしまった関係で出展できなかったので。

-- 製品自体のリリースはいつになるのでしょう。

Volariのコア自体は10月末には量産出荷が開始されます。

-- プロセスルールは?

0.13μmです。ローエンドからハイエンドまで、すべて0.13μmを使っています。

-- 消費電力はどの程度でしょう。

カード全体では、(Volari V8 Duoで)60W~70W程度になります。ただ、触ればお分かりの通り、それほど熱くはなりません。

-- ちなみにリテール価格はどの程度になると予想されていますか?

大まかに言えば

Volari V8 Duo RADEON 9800 Pro相当
Volari V5 Duo V8 DuoとV8 Ultraの中間
Volari V8 Ultra RADEON 9600 Pro相当
Volari V8 RADEON 9600相当
Volari V5 Ultra RADEON 9600 SE相当
Volari V5 RADEON 9200相当
といったところでしょう。

 Photo10:こちらはVolari V8 Ultra。というか、XGIからサンプルボードを借りて展示しているだけかも。ただ、Commitmentをしたという意味では貴重な展示。
 Photo11:インタビューではまったく触れていないが、これはVolariのCipher Video Processorというピクセル単位の補完メカニズムのデモ。このあたりはまた別の機会に解説をしてみたい。

-- 将来の話をすると、例えば1つのグラフィックボードに3つ以上のコントローラを搭載して、更にパフォーマンスを挙げることは可能でしょうか?

技術的には可能ですが、今のところそういう計画はありません。

-- ATIのR420とかNVIDIAのNV40は、今年末から来年の早い時期に予定されているようですが、XGIはいかがでしょう。

新しいチップは来年の中旬、おそらく4月以降に予定しています。我々は小さい会社なので、そこまで開発リソースがないのです。ただ、半年おきに新製品を出すとアナウンスして出さないよりは、きちんと予告してスケジュール通りに出すほうが、顧客にとっては喜ばしいでしょう(笑)」(室内爆笑)

○インタビューを終わって

ということで、あまりに率直な意見の続出したインタビューだった。個人的にはDuoアーキテクチャのコストパフォーマンスの悪さはやや気になるところだし、マルチチップソリューションが命取りにならなかったのはVoodoo2だけというあたり、やや縁起の悪さが気になるところではあるが、出来れば第3のベンダーとしてがんばっていただきたいものである。

ちなみにサンプルボードの貸し出しも頼んでみたが、「10月末の時点でどれだけサンプルが出せるか判らない」ということで、ちょっと試すのは先になりそうだ。ただ、PowerColorのブースには既にVolari V8 Ultra/V8 Duoが展示されているあたり、案外に伸びるかもしれない。今後の動向が楽しみである。

(大原雄介)

【COMPUTEX TAIPEI 2003レポート】XGIインタビュー(1) - 謎に満ちたグラフィックスメーカー「XGI」の姿
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/09/24/19.html

COMPUTEX TAIPEI 2003レポート
http://pcweb.mycom.co.jp/news/special/2003/09/23/01.html

XGI
http://www.xgitech.com/



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