【IDF Fall 2003レポート】DDR IIのテイクオフはいつ? トップ5メーカーの示すメモリロードマップ

さて、各メモリメーカー共にDDR400を無事に離陸させ終わり、次なる焦点はDDR IIに移った。今回のIDFでは、SAMSUNG/Micron/Infineon/Hynix/Elpidaというトップ5メーカーが、揃ってロードマップを発表するという「ADT(Advanced DRAM Technology)と同じメンバーが揃っての同窓会」の様相を呈することになった。ここで順にIntelを含めた6社のロードマップをまとめて紹介したい。

○Intel

Intel自身のロードマップには、殆ど変更が無い。2004年からはDDR II 400とDDR II 533のサポートが全面的に始まり、これと入れ替わりにPC800のサポートが終わる。PC1066は引き続き残るが、これはIXP2800/2850ネットワークプロセッサで利用されているためで、デスクトップ向けのPC1066は、PC800同様に2004年一杯で終わることになる。2005年にはRegisteredタイプのDDR IIと、DDR II 533より高速なメモリ(DDR II 667の事だろう)の採用が始まる予定で、まぁ順調なスケジュールである。

Photo01:PC133が未だに残るのはちょっと興味深いが、IXP400シリーズはSDRAMのみのサポートだし、今回Intel 815をセットトップボックス向けにリリースしたことで、更にサポートが延びることになった
Photo02:来年第2四半期の時点では、シェアは10%あるか無いかといったあたりで、ここからもチップセットが登場するのがこのあたりである事が伺える。

ちなみにDDRとDDR IIの比率は、大体2005年の第1四半期でほぼ50:50になるといったところだろうか?(Photo02) 実際にDDR IIをサポートするチップセットの登場が2004年第2四半期あたりと予定されているから、そこから考えるとかなり急速に入れ替わることになるが、これについては後述する。

○SAMSUNG

韓国SAMSUNGは、順調にDDR IIが立ち上がっていることを示した。すでにDDR II 400とDDR II 533を搭載したモジュールのサンプル出荷は始まっており、2004年半ば頃から量産出荷が順調に開始されるとしている。特にデスクトップ向けに関しては、DDR II 667も2005年初頭に出荷が開始され、そのままDDR II 800まで動作速度を上げて、2006年一杯まで引っ張る予定だ。DDR IIIに関しては2007年出荷としているが、現状ではDDR IIIの基本的な方式すら決まっていない状態なので、これに関しては暫定スケジュール、というよりも希望的観測といった扱いに近いようだ(Photo03)。

面白いのは製品出荷の構成で、今年後半の時点で既にDDR II 400とDDR II 533がほぼ50:50に近いことだ。これが2005年の前半には、DDR II 533とDDR II 667がやはり50:50に近い比率になることを予定しているらしい(Photo04)。

Photo03:DDR II 400とDDR II 533、DDR II 667とDDR II 800は基本的に同じプロセスで製造できる模様だ
Photo04:DDR II 400は、サーバー向けとノート向けがメインで、デスクトップ向けはDDR II 533が主流となることから、こんな製品比率になるようだ

○Micron

もう少し直近のレンジの話に絞ったのが米Micron。2004年はまだDDRメモリが主流で、2005年でやっとDDR IIメモリがメインストリームになる、という見通し(Photo05)をまず述べた上で、2004年の早い時期からDDR II 400とDDR II 533の生産を開始し、年末には5割近い比率まで持ってゆく事を示した(Photo06)。また同時にDDR II 667の生産も2004年中に開始することを表明した。もっともこれはサンプル出荷に近いレベルで、量産が本格的に立ち上がるのは2005年以降になるそうだ。

Photo05:製品比率の遷移図。本格的にDDR IIマーケットが立ち上がるのは2005年以降としている
Photo06:DDR II 667の比率は極めてて少ないが、これはマーケットが無い(この時点では、メーカーの試作程度でしか利用されないだろう)事と、急速に量産が始められない事の両方の理由によるものだそうだ

○Infineon

Infineonのドレスデン工場で今年4月から生産を開始した110nmプロセスの300mmウェハのラインの状況は良好なようで、DDR IIもこのラインを使って生産を行う模様だ(Photo07)。そのDDR II、生産の比率はSAMSUNGやMicronと殆ど変わらない(Photo08)。面白いのは、価格や生産量の詳細が出ていること。同じ動作周波数(DDR400とDDR II 400を指しているのだろう)を比較した場合、当初は60%程度のプレミアが付くとしている(これはどのメーカーも似たような事を言っていたが)。一般ユーザーが普通の価格に入手できるようになるのは、2005年以降の事になりそうだ。

Photo07:ドレスデンで今年4月に量産を開始した事を知らないと、意味が通じにくいスライド
Photo08:しいて言えば2006/2007年の予測が出ていることが、前の2社と違うところか。生産比率は殆ど変わらない様に見える
Photo09:当初のプレミアは60%ほどになり、一方生産量は皆無に近いから、市場価格はさらに高騰するだろう。6月の時点でも生産量は5%未満、プレミアは40%近い。これが解消し、今のDDR-SDRAM並になるのは2005年末といったところか?

○Hynix

一時期は倒産か、あるいは吸収合併かと言われた韓国Hynixだが、何とか持ち直しているようだ。そのHynix、来年前半からDDR IIの生産を開始するとしている。ただ、ちょっと面白いのはSAMSUNGなどと異なり、最初にワークステーション、ついでハイエンドサーバーと来て最後にデスクトップという順序で立ち上がりを予測していることだ。2005年には殆どすべてのマーケットがDDR IIに移行する、というのもちょっと強引な展開な気がする(Photo10)。

Photo10:深読みすると、「Hynixはマーケットがこうあってほしい」という願望なのかもしれない。つまり、デスクトップが最初だと、またもや価格競争が激しくなるし、プレミアもそれほど付けられない。まずは高プレミアを許すサーバー/ワークステーションマーケットで多少なりとも投資を回収し、また2005年には全部がDDR IIに移行することで、(DDR-SDRAMで価格競争の相手となっている)中小メーカーからマーケットを奪い返したい、という読みができる。深読みしすぎかもしれないが…
Photo11:なんとなくPhoto10と矛盾している気がするのは筆者だけだろうか?

Product Mixで言うと、2003年のDDR IIの出荷量は全体の8%程度、2004年で半分弱という予測で、これは他のメーカーと殆ど変わらない(Photo11)。一方、動作速度については、既に今年後半にはDDR II 400/533のサンプル出荷が始まっており、来年後半にはDDR II 667が、2005年にはDDR II 800のサンプル出荷を始めるとしている。サンプル出荷は量産出荷の半年以上前に行うのが普通だから、これを勘案すると他のメーカーと殆ど変わらないロードマップとなる(Photo12)。

Photo12:ただ気になるのは、2006年後半にはDDR IIIのサンプル出荷を始めるとしていること。まぁこれは単にメモリチップ「だけ」の出荷なのかもしれないが、未だにモジュール構造がどうなるか行方が見えない(標準化の時期もはっきりしていない)状態で、このスケジュールにどんな意味があるのか、である
Photo13:他のメーカーよりプレミアはやや高めだが、傾向自体は一緒だ。

価格に関しては、DDR 400と比較した場合、当初のDDR II 400は75%、DDR II 533は100%のプレミアがつくことになりそうだ。これが殆どなくなるのは2005年の後半になってからで、要するに普通に買える値段になるのは2005年に入ってから、ということになりそうだ。ちなみにHynixは量産コストに関しても開示していた。まずダイのコストが多少なりとも増える上、パッケージ形状がTSOPからFCBGAに変わる関係で、実装やパッケージのコストが増えるなどの要因で、原価自体がトータル20%程度上昇するという(Photo14)。

 Photo14:この上昇分はプレミアがなくなっても残るわけで、あとはプロセスの縮小によりダイのコストを下げることで対応する必要がある。このあたりに時間が掛かるのも、2005年後半まで価格が下がらない理由の1つらしい

○Elpida

最近勢いを盛り返してきたElpida。ロードマップは以前と殆ど同じで、しいて言えば他のメーカーが入れているDDR II 800が入っていない程度だ(Photo15)。ところで、今回Elpidaは面白い資料を出してくれた。Speed Yield、つまりどのくらいのスピードで動作するチップが取れるかというものだが、これが256Mbit品だと、来年前半ですら70%近くはDDR II 667動作が可能で、来年後半には80%に達する。ところが、1Gbit品はDDR II 667動作をするものはごくわずか。殆どはDDR II 533で動くことになる。つまり小容量のDIMMは高クロック品でも安価だが、大容量になるととたんに値段が跳ね上がるという現象は、DDR IIでも継続することになりそうだ(Photo16)。最後にマーケットトレンドだが、これに関しても以前のロードマップと殆ど差がない。DDRとDDR IIの交代時期は2005年以降というのが、ほぼ全メーカーの一致した見解ということになるだろう。

Photo15:これについて関係者に聞いてみたところ、単にまだJEDECで標準化が終わっていない段階なので乗せていないだけで、技術的にはDDR II 800が出来ないわけではないとの事。あとはマーケットの動向次第ということだろう
Photo16:この現象の要因の1つは熱。つまりメモリを集積するほど発熱が増え、動作マージンが小さくなるという事だそうだ
Photo17:紫のエリアがDDR400とDDR II 400だが、現実問題としてDDR II 400のシェアは限られるから、水色+紫色がDDRのシェアと考えればいいだろう

(大原雄介)

IDF Fall 2003レポート
http://pcweb.mycom.co.jp/news/special/2003/09/17/01.html

Intel Developer Forum
http://www.intel.com/idf/us/fall2003/



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