【レポート】サーキットにおけるIT - ケーススタディ・2003年鈴鹿8耐(3)

さて、ちょっと話が逸れてしまったので本題に戻そう。何故鈴鹿8耐の配信を行うか? これにはコンテンツの権利が絡んでいる。例えばF1が鈴鹿であっても、その際の映像を鈴鹿サーキットが勝手に配信することは出来ない。というのは、F1ならばFIAとその傘下の団体、およびここと契約した企業が映像の配信に関する権利を握っているから、許されないという話である。これはMotoGPや、国内のフォーミュラニッポン、GT500/300といった主要なレースのほとんどに通じる話である。ところが鈴鹿8耐および「2003年第32回インターナショナル ポッカ1000Km」の2つだけは、鈴鹿サーキットが権利を持っているのだそうだ。したがって、鈴鹿サーキットとしてはこの手持ちの権利を最大限に生かす形で、サーキットの集客力を高めねばならない。そのための方法論が、TVだけに頼らない形での独自配信という事になる。実際ポッカ1000Kmでは、(恐らくは新規観客の掘り起こしを狙って)オンデマンドの形で1カ月の期間映像配信を行う事が明らかにされている。

こうした方法は、既存のコンテンツ配信をメインに行う企業とは、また異なったポジションに立ったモノの見方である。コンテンツの配信がメインなのでなく、コンテンツの配信によって最終的に鈴鹿サーキットを訪れる観客が増えること、これが最大の狙いである。このため、例えばNTT東西の地域IP網に絞ってコンテンツを流すといった方法(こうした方法だと課金が非常に容易になる)に関して、氏は否定的な見解だった。昨年のデータによれば、例えばオーストラリアからのアクセスは日本の3分の1近くに達しており、またアメリカからも全州くまなくアクセスがあり、またゴール間近になると(時差の関係で朝になる)フランスから大量のアクセスが発生するなど、鈴鹿8耐は単に日本だけでなく全世界に配信されるコンテンツなので、閉じたIP網にだけ配信しても意味が無い、という考えだった。とはいえ、大量の配信を掛ける為にはそれなりの設備投資が必要なわけで、これに対応するために、例えば1ドル課金といった方法が無いかといった事も研究したようだが、今のところうまい仕組みは見つかっていないらしい。

冒頭でも述べた通り、今年もライブ中継はかなり早い時期にパンクしてしまい、その意味では来年への課題は残した事になるが、そもそも昨年・今年もあくまで実験的な意味合いが強いわけで、三原氏としてはこの後のポッカ1000Kmの配信などを行いながら、更にデータを蓄積して来年以降の方針を決めてゆく予定だそうだ。ちなみにポッカ1000KmではXMLにチャレンジ(恐らくピットやプレス向けのデータ配信に関してと思われる)するといった話もあり、来年以降に向けてどんなチャレンジがなされてゆくのか、非常に興味深いところである。

○おまけ話

と、硬い話が続いたので、少し柔らかい(?)話をいくつか。

NTT未来ねっと研究所 ネットワークインテリジェンス研究部 適応型ネットワーキング研究グループの板生知子 工学博士。ファッションも博士の研究の一分野に含まれているそうで、その意味では今回のウェアも決しておかしくはない

こちらに詳細レポートが載っている、大阪大学大学院の塚本昌彦助教授率いる「チームつかもと」の話をもういくつかご紹介したい。今回、802.11aを使って通信を行っていたチームつかもとだが、当初は802.11bを使って通信を行う予定だったとか。ところが三原氏が802.11bを空けてもらえる様チームに要請し、急きょ802.11aに切り替わったそうだ。

さて、そのチームつかもとで一際目立っていたのがNTT未来ねっと研究所の板生知子博士。独特の衣装がかなり目立つのだが、なんでもこれ、上田安子服飾専門学校の協力で、この鈴鹿8耐のためにわざわざデザインしたものとの事。着心地は?との質問に板生氏曰く「涼しくていいですね。あと、この場所にあっているというか(笑)」ちなみに腰に下げたノートの重さには「当初は違和感あったけどもう慣れました」とか。HMDの方はというと、「現在使っているものは長時間使っているとちょっと痛くなるんですが、もう改良型があるのでそちらだとだいぶいいです」だそうだった。

ちなみに前掲の記事には、クライアントにソニーのバイオUとあったが、実際にはバイオC1も何台か混じっていた。現状ではWin32が動作する小型PCなら何でもいいといったところか。当初はPDAも考えたが、処理能力を考えると性能が足りないということらしい。

(大原雄介)

【レポート】サーキットにおけるIT - ケーススタディ・2003年鈴鹿8耐(1)
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/09/06/19.html

鈴鹿8耐の観戦にはノートPCを持っていこう - 無線LANでライブ映像を配信
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/07/14/05.html

鈴鹿8時間耐久ロードレース
http://www.suzukacircuit.co.jp/8tai/

インテル
http://www.intel.co.jp/

日本ヒューレット・パッカード
http://www.hp.com/jp/

マイクロソフト
http://www.microsoft.com/japan/



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