【レポート】サーキットにおけるIT - ケーススタディ・2003年鈴鹿8耐(1)

この夏も鈴鹿で「FIM2003世界耐久選手権シリーズ第6戦 "コカ・コーラ"鈴鹿8時間耐久ロードレース」(通称鈴鹿8耐)が無事開催された。既に多くのメディアで結果が報道されている通り、本田技研工業のワークス勢がトラブルで総崩れとなり、結果としてTeam櫻井ホンダの生見・鎌田組が212周で優勝するという、事前の予想を見事に覆す結果になった。というか、優勝ペアもさることながら、2位の中富・吉川のYSP&PRESTOレーシングとか、3位の辻本・伊藤のF.C.C. TSR ZIP-FM RACING TEAMとか、やけに渋いコンビが上位入賞を果たしたあたりが、今回の鈴鹿8耐を物語っている気がしなくもないが、こういう話を語り始めるとキリが無いのでとりあえずおいておき、サーキットにおけるITというテーマでのレポートをお届けしたい。

○音頭を取ったのはどちらか?

7月14日、インテル、日本ヒューレット・パッカード(HP)、マイクロソフトの3社は共同で「SUZUKA 8tai Liveパートナー」として、インターネットを使って鈴鹿8耐の模様をライブ中継することを発表した。実は、話としてはこれ、それほど珍しいものではない。確か4年ほど前には、メディアセンター(プレスルームのこと)にPCとライブカメラを持ち込み、センター内に流れる中継映像をライブカメラで撮影し、ISDN回線を使ってそれを外部のサーバーに転送、そこから配信をするという無茶な実験が行われたし(筆者もこれを見たのだが、酷いときには10秒に1回画面が変わるとか、そういうレベルだった。音はちゃんと聞こえていた)。またNTT Cyber Solutions Laboratoriesが開発した独自フォーマットの動画配信の普及の一環として、このフォーマットを使って8耐の模様を中継したこともあった。あと、(今年はついに行われなかったが)有志によりチャット形式でレースの模様を「文字で」中継するという試みも毎年行われており、実はこれが一番早かったという話もある。ちなみに筆者宅には衛星放送を受信する仕組みはない(というかTV自体を全然見ないので、アンテナすら引き込んでいない)ので、「TVで観戦」という案は、はなっから無かったりする。

それはともかく。上述の発表における話から筆者が受けた印象は、「インテル/HP/マイクロソフトが、Centrinoプラットフォームの普及や、Windows Media 9の普及の一環として、鈴鹿8耐を題材にライブストリーミングをする」というものだった。これは別に珍しい話ではないし、動機はどうあれ、ライブストリーミングでも提供されるのであれば筆者としては望ましいなぁ、とまぁその程度の認識だった。

ところがこの認識が見事に間違っていることが判った。そもそも鈴鹿サーキットは昨年よりブロードバンドライブを実施しており、今回はライブ中継に加えて、新たに無線LAN環境をインフラとして導入した、という背景だったのだ。このあたりについて、少しご紹介したい。

屋外とあってスクリーンが見えにくくなっているが、大スクリーンにちゃんと中継映像が映し出されていた。また、台に置かれたノートでも配信が行われていた。ちなみにブースの横では充電ゾーンも提供されていたが、アナウンスが足りなかったのか、あまり活用されていなかった
ストリーミング中継はこんな感じ。順位が右に、ライブ映像が左に表示される

○「8tailive.com」

配信構造の模式図。サーキットからJ-Streamデータセンターへは、プライマリはISDN回線をMP接続することで帯域を確保したそうで、バックアップにはFTTHを用意したとか。ただこのFTTHはベストエフォーとのいわゆる普通のFTTH回線なので、バックアップにしか考えていなかったそうだ

まず、今回インターネットを使ってのライブ中継システムを簡単にご紹介する。右図が簡単なシステムの概略図である。鈴鹿サーキットのコースに沿って設置されたTVカメラ(これはテレビ大阪の機材を使ったものだという)からの画像を、TV中継車で一旦編集したのち、メディアセンター裏手に設けられていた中継基地でWMV9フォーマットにエンコードした後、J-Streamの東京データセンターに転送する(ここの回線はプライマリがISDNで、バックアップがFTTHだそうである)。この東京のJ-Streamデータセンターから国内主要ISPに設置された配信サーバーにデータが転送され、それが会場を含むインターネット全体でストリーミング受信できるという仕組みだ。サーキットは、東コース全体で25箇所に802.11bのアクセスポイントが設置され、各々25台程度までクライアントが接続できる様になっており、またインターネット経由では延べ48,000人の視聴者に配信を行うことを目標としていた。

実際、会場内の特設ブースでは実際に配信の様子がデモされており、またブース以外のところでも映像の受信が可能になっていた。今回はまた、レース以外にピット内の映像も同時に配信されることになった。ここで配信されたピットは、ヨシムラスズキGP-1 DAXIMとケンツJトラストMOJOスズキの2チーム。どちらのチームのピットにも、急遽TVカメラが設置され、その映像が配信された。ちなみにレース本番中は、特設ブースでイベントも開催され、プレゼント目当てに(?)多くの観客が集まった。

ヨシムラスズキGP-1 DAXIMチームのピット。「YOSHIMURA」の横断幕の右脇にあるのがカメラ
このアングルからだと判りやすいだろう。ちなみにヨシムラスズキのピットには、ほかに2台のTVカメラも設置されていたが、それらは違う用途向けらしい

ケンツJトラストMOJOスズキのピット。判りにくいが、右奥の上の方に、ヨシムラスズキと同じアームに乗ったTVカメラが設置されていた
同じくケンツのピットから。TVカメラの真下で、同じアングルで撮影してみた

【レポート】サーキットにおけるIT - ケーススタディ・2003 年鈴鹿8耐(2)
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/09/06/20.html
へ続きます

(大原雄介)

鈴鹿8耐の観戦にはノートPCを持っていこう - 無線LANでライブ映像を配信
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/07/14/05.html

鈴鹿8時間耐久ロードレース
http://www.suzukacircuit.co.jp/8tai/

インテル
http://www.intel.co.jp/

日本ヒューレット・パッカード
http://www.hp.com/jp/

マイクロソフト
http://www.microsoft.com/japan/



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