【デジタル家電フォーラム2003レポート】情報家電でも重要なのはユーザー第一主義

  [2003/09/02]

電子情報技術産業協会(JEITA)のデジタル家電部会は2日から4日まで、都内にて「デジタル家電フォーラム2003」を開催する。初日は「デジタル化でホームライフが変わる」、2日目は「ユビキタス時代のモバイルライフが変わる」、3日目は「放送のデジタル化でライフスタイルが変わる」と3日間それぞれにテーマが設定され、講演やパネルディスカッションが行われる。

初日の午前中には、経済産業省 商務情報政策局 情報通信機器課長の福田秀敬氏が「e-Life構想の推進」と題し、同省が進める情報家電戦略を説明するとともに、普及のための課題について講演を行った。同省商務情報政策局は、この春に「e-Lifeイニシアティブ」というタイトルの報告書をまとめている。その中では、情報家電が生活様式の変革および国内産業の国際競争力復活のカギとなることを期待し、産学官それぞれが今後3~5年にかけて何に取り組むべきか、戦略が策定されている。

福田氏は「技術がマーケットを追い越してしまったのが現状」と述べ、情報技術を駆使した家電が次々と生まれている一方で、そういった製品が必ずしも消費者の要求と合致していない状況があることを指摘する。例えば、いま情報家電と呼ばれているものの多くは新しいタイプの製品に関心の高い人々がユーザーの中心だが、同氏は「もっと高齢化を考えたマーケティング戦略が必要ではないか」としている。そもそも「情報化」自体に対する人々の見方もシビアだ。情報機器やサービスの普及によって生活が便利になることへの期待よりも、ハイテク犯罪やプライバシー漏洩、デジタルデバイドなどの諸問題に対する不安のほうが上回っているという調査結果もある。

経済産業省 商務情報政策局 情報通信機器課長 福田秀敬氏
情報化に対する期待よりも不安が上回る

情報家電といっても、普及のための奇手妙手があるわけではない。福田氏は「ユーザー側の視点に立った製品開発」がこれまで以上に重要であると強調する。ただし、そこでは従来の製品開発体制やマーケティング戦略とはまた違ったアプローチが考えられる。

例えば、製品開発の前段階としてプロトタイプによる実証実験が行われることがあるが、そういった場合でも「技術的な面だけでなく、市場として成り立つものなのか」のテストを行うべきだという。従来、実証実験というと技術的な検証が主な目的だったが、それよりもユーザーが製品やサービスに対してどう思ったか、いくらお金を払うのかといった点が重要で、メーカーはその事業にいくら投資が必要で、いくら収益を得られるのかといった、具体的なビジネスの見通しを立てることが必要だとする。

また、ユーザーの視点に立つという点では、メーカーから提供される情報もこれまでとは異なったものが必要になる。例えば、IT関連製品のメーカーの多くはWebサイトでFAQやバージョンアップを提供しているが、ユーザーが本当に求めているものは、豊富なサポート情報よりも、夜間や休日でもサポートセンターに電話がつながるということかもしれない。そのような観点からのデータがメーカーからもっと出てきても良いのではないか、と福田氏は提案する。

似たようなことはセキュリティや信頼性の面でも言える。これだけシステムが複雑になったいま、完璧なシステムを構築するのはほぼ不可能なので、製品がいかに堅牢かということよりも、何らかの事故が発生したときにどれだけ素早くトラブルを解決できるのか、万一ユーザーの財産が侵害された場合に補償は受けられるのかといった、「事前」ではなく「事後」の対策が重要になってくるとしている。

会場風景

(日高彰)

ユビキタス、「知らない」が4割、依然低い認知度--矢野経済研が調査
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/07/25/24.html

電子情報技術産業協会 デジタル家電部会
http://home.jeita.or.jp/dha/

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