【レポート】大技も次々飛び出す第4回「ROBO-ONE」決勝戦(1)

      [2003/08/18]

    8月8日~10日の3日間にわたり、2足歩行ロボットによる競技大会「ROBO-ONE」が川崎市産業振興会館で開催された。第1回が開催された2002年2月以来、2月と8月の年2回のペースで開催されており、今回で第4回目となる。

    これまではリングの周囲がアクリル板で囲われていたが、今回からはそれがなくなりリングアウトの危険も生まれた

    これはロボットの愛好家たちが自作したロボットを持ち寄り、会場に設置したリングで対戦させるというもので、2足歩行であることが必須条件となっている。ロボットの大きさは身長20cm~120cmで、操縦方法はコンピュータよる自律操縦もしくはマスタースレーブやラジコンなどによる手動の無線操縦のどちらでもかまわない。協賛会社にはバンダイや九十九電機ロボコンマガジン館をはじめ、ロボット関連企業など全19社が名を連ねている。また、競技大会といっても、「ロボットの楽しさ」をより多くの人に広めようというのが最大の目的であるため、試合の勝ち負けだけでなく、観客がロボットや試合を楽しみ、参加者の意欲をかき立てられたかなども大きな評価基準となる。つまり、技術力やエンタテインメント性、デザイン性などにも重きを置いているのがこの大会の特徴となっている。

    メインとなる競技種目はロボットによるデモンストレーションと対戦であるが、そのほかに、階段を2分以内に昇り降りする「ROBO-ONE-Stairs」、ドアをロボット自ら開けて通過し、さらにドアを閉めて既定のエリア内に到着するという動作を5分以内に行う「ROBO-ONE-Door」、今回から新たにリングの対角線上を10秒以内に自立2足歩行で移動する「ROBO-ONE Corner to Corner」(ROBO-ONE CtoC)、そして次に紹介する「ROBO-ONE Junior with Family」(ROBO-ONE Jr.)も開催された。

    初日の8日に開催されたROBO-ONE Jr.は、家族や兄弟など2名以上のファミリーで参加する競技で、ロボット規格は身長50cm以下、重量1kg以下、自由度10以下となっている。ロボットの操縦は中学生までで自律型か有線のみ。8月24日には早くも次回のROBO-ONE Jr.参加希望者に向け、秋葉原のダイドーホールで「第2回ROBO-ONE Jr.向け講習会」が開催される予定だ。

    2日目の9日には、ROBO-ONEの予選とROBO-ONE-Stairs、ROBO-ONE CtoCが開催された。筆者自身は10日のROBO-ONE決勝トーナメントのみしか観戦していないため、残念ながら8日と9日の様子をお伝えすることはできないが、参加チームや勝敗結果などは公式サイトに掲載されているので参照してほしい。ちなみに今回、ROBO-ONE-Stairsの参加ロボットは4台、ROBO-ONE CtoCの参加ロボットは8台で、ともに各1台のみが成功したとのこと。特にROBO-ONE CtoCはかなり難易度が高く、参加者たちは皆かなり苦労したようだ。

    対戦前のデモンストレーションも得点の半分を占めている。いかに観客の目を引くかも勝敗を分ける

    さて、10日の決勝トーナメントには前日の予選参加ロボット50台中上位16台が参加を許され、2分間のデモンストレーションと対戦を行った。採点の内訳はデモンストレーションが100点、対戦が100点の合計200点。デモンストレーションは歩行20点、屈伸10点、横歩き30点、攻撃力10点、新しい動き10点、技術力10点、デザイン10点の計100点となっている。一方、対戦は1ラウンド3分間で3ラウンドが行われ、2ラウンドを先取した場合、その時点で試合終了というルール。採点基準は1ラウンド30点×2ラウンド=60点、ワザ10点、技術力10点、マナー・礼儀10点、戦闘意欲10点の計100点となっている。審査員は6名で、それぞれが持ち点200点を持っており、上記の審査基準をもとに細かい採点を行っていく。そして各自が採点結果に基づき勝者を決める。さらに勝者と判定した審査員の多数決によって、最終的な勝者が決定するというしくみだ。そのため、仮に対戦で2ラウンドを先取しても、デモンストレーションをはじめ対戦中のマナー・礼儀や対戦意欲などによっては負けてしまう可能性もあるのだ。

    惜しくも1回戦で敗退してしまったSUMYさんの「ARIUS」とROBO-ONEジュニア大会に参加した「ありまろ」。今回が親子での初参加となる。「ロボット製作は初めてで、約3カ月間かけて完成させた。重視した点はコストを安く抑えることと見た目。見よう見まねで作ったが工具などがなかったため外装の切り出しが大変だった」(SUMYさん)

    【動画】1回戦でHSWR-03と対戦し敗れた杉浦富夫氏の「DYNAMIZER」。ABSという樹脂で作っているのが特徴だ。「本業は機械の設計。そのため普段は金属を使うことが多いが樹脂のしなやかさに興味があり、DYNAMIZER ではABSを選んでみた。腰関節を持っているほか、ブルートゥースやジャイロセンサも搭載している。デモンストレーションはプログラムをダウンロードし自律で演技させた」(杉浦氏)

    ○常連勢だけでなく、初参加で上位に食い込むロボットも

    決勝トーナメントの第一試合には8組16台のロボットが出場したが、実は、ちょうど1週間前の8月2日~3日、「おもちゃみらい博」(会場:パシフィコ横浜)で、今大会の前哨戦とも呼ぶべき「ROBO-ONE バンダイカップ」の第1回大会が開催されており、バンダイカップに参加した6台はいずれも今大会にも参加している。そのうち、優勝した「はじめロボット4号機」(オペレーター:坂本元さん)をはじめ計3台が今回の決勝トーナメントに進出しているのだ。

    また、7月に韓国で開催された「ROBO-ONE KOREA」での優勝ロボット「Typhoon Ver1.1」や前回、前々回の大会で優勝したロボットなども出場しており、お互い知り尽くした相手と言っても良い。そのため、会場はどことなく和やかなムードも流れていた。とはいえ、初出場のロボットが予選2位で通過したり、常連のロボットが改良を重ね、技術力を大幅にアップさせたりと、どのロボットが優勝するかは予想がつけられない状況だ。また、さすがに予選を通過した16台だけあって、どのロボットも安定した動きと高レベルの技術力、高いエンタテインメント性、デザイン性を誇っていた。実際、多くの試合がほぼ互角の名勝負となった。

    【動画】「Typhoon Ver1.1」(右)の痛烈な攻撃を受ける「てく太郎」

    注目の一戦は、第2回大会の優勝者である森永英一郎さんの「Metallic Fighter」と第3回の優勝者である菅原雄介さんの「A-Do」の対決。Metallic Fighter とA-Doは、第2回大会の第2試合と第3回大会の第1試合でそれぞれ対戦しているいわば因縁の仲。しかしながら結果的には、アクシデントによりMetallic Fighterの足が折れてしまい再起不能となったため試合途中で棄権。A-Doが不戦勝で2回戦進出を果たした。

    オペレーターこうじさんの動きがロボットに反映される

    また、予選12位で通過した「マジンガア」は前回第4位という注目度の高いロボット。その名の通り、「マジンガーZ」そのものというデザインで、オペレーターであるこうじさん自身もコスチュームに身を包み、対戦中はオリジナルのテーマ曲を流すなどかなり凝った演出だ。操作方法にはマスタースレーブ方式を採用し、エンタテインメント性ではかなりの高得点だったと予想される。しかしながら、第1回戦で親子参加した小南秀昭さんの「あいぼー2」と対戦し、惜しくも敗退してしまった。しかも無線トラブルで十分に実力を発揮できなかったあいぼー2を相手に、むしろ自滅したといった感があり、悔やまれるところだろう。

    予選5位で通過したチーム・HIRO-HIRO ELEVENの「Adamant-Force」もROBO-ONEの常連選手で、身長50cm、重量4.5kgと、16台中で最も大型のロボットだ。第1回戦ではバンダイカップで優勝したはじめロボット4号機と対戦。重量3kgのはじめロボット4号機に対し、重量の強みをフルに発揮。はじめロボットの果敢な攻撃にもビクともしない安定感で勝利した。

    「ROBO-ONE KOREA」での優勝ロボット「Typhoon Ver1.1」(オペレーター:KANG SUNG JUNさん)は、外見はヒューマノイドではないが、攻撃力の強い武器を搭載したロボットだ。第1回戦ではジョニーさんの「てく太郎」を一撃でダウンさせ2回戦に進出。しかしながら、2回戦では操縦に使用している微弱無線電波の調子が悪く、デモンストレーションが全く行えないなどのトラブルに見舞われ、対戦相手である中村素弘さんの「HSWR-03」に惜しくも敗北した。

    前回の大会でも無線LANの調子が良くないため、満足なパフォーマンスを披露できないロボットが続出したということだが、そのためか、今回はラジコン操作によるロボットが数多く見られた。しかしながら、近い将来、ヒューマノイドが人間と共存するということを鑑みた場合、どんな環境下でも問題なく稼動することは重要課題となってくる。そのため、主催者側からは、「どんな環境下でも無線LANによる通信がトラブルなく行えるように各自調整してきてほしい」とのコメントが出された。

    会場は超満員

    【レポート】大技も次々飛び出す第4回「ROBO-ONE」決勝戦(2)
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/08/18/10.html
    へ続きます

    (山田久美)

    【レポート】第3回ROBO-ONEは白熱した対戦が続出!(1)
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/02/04/20.html

    【レポート】史上初の2足歩行ロボット大会 第1回ROBO-ONEがお台場で開催!
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/02/04/26.html

    ROBO-ONE
    http://www.robo-one.com/

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