【レポート】IT大国インドの首都デリー、その電脳街を見る

      [2003/08/11]
    IT大国インドの町並み

    インドがIT大国であるのは読者もご存じかもしれない。しかしその実態はなかなか紹介されていないので、そのIT化を支える首都のデリーの電脳街を紹介する。

    今回実は筆者は直接デリーに入ったわけではなく、インドの東方、コルカタ(旧カルカッタ)から鉄道で移動を続けること1,000km、デリーに入ったのである。途中、ヒンズー教の聖地バラナシ(ベナレス)や、世界遺産タージマハルのあるアーグラーに寄って少し旅行気分に浸ってはいたのだが、その道中、その懐の深さに旅行者として驚いた。

    物乞いがあり、大道芸で生きる者あり、かと思えばビジネスパーソンあり、大富豪あり。道では日本で見る以上のあらゆる人間が行き交い、犬やヤギや牛が行き交う。一見無茶苦茶な世界である。

    そんな雰囲気のインドであるが、それでも未舗装の道の脇や駅の看板にコンピューター教室の宣伝があって、インド中で多くの人が、ヒンズー教国の環境下で、階級に縛られずに一獲千金が狙えるIT技術者になりたいと思う要求の現れを感じた。

    話が脱線したので本題に戻ろう。インドの首都、デリーの電脳街の紹介である。デリーの中心から南へバスに乗って30分弱、ネルー・プレイス(Nehru Place)という場所の一角に、団地のような建物の1、2階に小売店舗が並ぶ電脳街がある。

    そこへ行くと驚きの連続。想像できうる普通のパソコンショップと普通の買い物客に混じって、ゴミを食べる(野良)牛がいるのだ。その他にも野良犬や物乞いもいる。電脳街の端に目立つ大きな新築の建物があるが、これはマイクロソフトのインド支社である。このような混沌とした雰囲気の電脳街は世界でも稀ではなかろうか。

    Nehru Place
    マイクロソフトのインド支社

    PCに関する店も様々。一番多いのはPCパーツを販売するショップ。インド製があるかと期待したが残念ながらなく、ほとんどが日本でもおなじみの台湾メーカー製。インド製で売られているものはソフトウェアが多い。ゲームとか、フリーの素材集が目立つ。ちなみに日本製品では、中古のノートパソコンを売っているのを見かけた。

    インド製のソフトウェアも売っている
    販売店の様子

    パソコン関連の修理を行う修理専門店

    変り種の職種で見つけたのは、パソコン関係でなんでも修理を受け持つ修理専門店。そのひとつ、Y-RAX SYSTEMSのYogesh Dhingra氏に話を聞いた。

    Q:修理というが何でもできるのか?

    A:マザーボード、HDD、CD-ROMドライブの修理が主だ。CPU、VGAの修理はできない。

    Q:具体的な修理方法について教えてほしい。

    A:マザーボードの修理はICチップの交換で、HDDも基板部分の問題ならばチップの交換で対応する。CD-ROMドライブもICチップの交換ほか、同一の不良製品2つを購入し、お互いの不良でない部品同士を組み合わせるやり方で修理する。

    また、HDDのディスク部分に関して問題がある場合は(1)カバーを開け(2)ヘッドを上げてディスクを取り出し、CD-ROMと同様に不良製品の不良でない部品同士を組み合わせるやり方で別のディスクに入れ替え(3)2~3時間以内にデータを転送する。もちろん時間がたつとHDDに入った埃で埃で使い物にならなくなるが。

    Q:修理に用いる品揃えは?

    A:HDDは40MB~80GBまで、マザーボードは486~Pentium 4対応まである。

    Q:店の売り上げは?

    A:1日2,000ルピー、従業員4人で各人の月給は6,000~1万ルピー。店は3年半営業しているが、パーキングが遠方にできて立地条件が不利になった。今年は去年に比べて売り上げは減少している。

    Q:客入りは?

    A:1日10~15人。主にマザーボードやHDD、CD-ROMドライブの修理を依頼されるが、モニタ、プリンタを持ち込む客もいる。

    Q:モニタを開けるのは危ないと聞いているが?

    A:問題ない。モニタもうちで直している。客層は25~35歳の年齢層のPCディーラーが多い。客がPCショップに不調を訴えて修理に持ち込んだものを、ディーラーがうちに持ち込むようだ。

    Q:ところでこのネルー・プレイスはインドで最も大きい電脳街なのか?

    A:(即答で)いや、ここではなくバンガロールにある。

    バンガロールといえばインドのIT産業の中心だ。そこに首都の電脳街より大きい、インド一の電脳街があるのは不思議ではない。しかし実際は日本にあるような大きなパソコンショップがあるわけではなかった。個人向けでなく、IT企業に対する法人向けのショップが多いためだ。それらは店舗やショールームを持たず、電話受注だけとなる。

    広いインドであるから、デリーの他にも秋葉原のような電脳街は、チェンナイ(マドラス)やムンバイ(ボンベイ)にもある。いずれも周辺機器ショップが多かった。安価なPCパーツショップによるショップブランドのデスクトップが中級以上の市民層に売れているのだろう。

    チェンナイの電脳街
    ムンバイの電脳街

    (山谷剛史)

    【インタビュー】インド5大IT企業の1つ、HCL Technologiesの日本戦略
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/06/26/10.html

    【レポート】ソフトウェア大国インドのIT企業を知る
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/06/26/09.html

    Nehru Place IT Hub
    http://www.npithub.com/

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

        イチオシ記事

        新着記事

        特別企画

        マイナビニュースマガジン