○NetBSDを組み込みに利用したプリンタ
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| MFPに内蔵されるコントローラのアーキテクチャ |
ここでご紹介するのは、夜に行われたBOF(Birds-Of-a-Feather)「BSDなひととき」。もはや夏のN+I、冬のInternetWeekと年2回開催が恒例化した感のあるこのBOFだが、今年も会場は例によってほぼ満席。そんな中最初に登場したのは、リコーの千田滋也氏。同氏は同社のMFP(Multi Function Printer)シリーズに組み込まれているOSとしてNetBSDを採用した際の話をいろいろと披露してくれた。
まず「なぜNetBSDを採用したのか」という点について、同氏は「ライセンス料が不要である」点に加え、「組み込み機器ではGPLライセンスの解釈にグレーな点が多い」「CPUにMIPS系CPUを採用したため、開発を開始した当初は実質的にNetBSD以外の選択肢が考えにくかった」点などを述べた。組み込みという点では「リアルタイムOS(RTOS)でなくて大丈夫なのか?」という疑問が当然出てくるところだが、その点についてもハードをインテリジェント化することなどで問題を吸収、RTOSでなくても十分なFusibilityが得られたという。
実装時の課題としてはRTOSの問題以外にも、開発環境やサポートを自分達でやらなければならない点や、いわゆるフットプリントを縮小する問題等があり、特にフットプリントの縮小のために同機ではshellさえも削除しているということで、「外から見たらとてもNetBSDとはわからないのではないか」と同氏は述べた。
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| MFP用にサードパーティから販売されているSDK |
一方、NetBSDを採用して得られた利点として同氏は「実機上でNetBootにより開発が可能なこと」(今や商用OSでも当たり前だが、開発開始時には非常に珍しかった)、「大規模開発が可能なこと」「ソフトウェアの移植が容易なこと」などを挙げた。また開発環境をSDKの形で外部に提供することも可能になったということで、実際サードパーティからMFP用の開発環境が既に販売されている様子も公開された。
会場からは「なぜTRONやLinuxを使わなかったのか?」との質問も飛んでいたが、これに対して同氏は「TRONは一部機種で使っているが、バージョンによって仮想記憶がなかったりするものがあり、今回の用途にはNetBSDの方が向いていた」「Linuxは、開発を始めた当時はまだ環境が整っていなかったために使わなかっただけで、今から開発するのであれば当然選択肢に入ると思う」と答えていた。他にはIPv6対応を期待する声も飛んでいたが、それには「そのうちに……」とやや口を濁していた。
ちなみに、NetBSDを搭載したMFPシリーズは、販売開始から約2年半で50万台弱が既に出荷されている他、CPUにx86系CPUを採用したタイプなども既に出荷が開始されているということで、あなたの身の回りにもNetBSDが入ったプリンタが置かれているかもしれない。
○FreeBSDの新しいデバイスイベントフレームワーク
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| Warner Losh氏(左) |
そして今回のBOFの目玉となったのが、FreeBSD Core Teamの一員でもあり、FreeBSDの世界では主にモバイル関連機能の開発者として有名なWarner Losh氏。同氏はFreeBSD 5.x系で採用された新しいデバイスイベントフレームワーク「devd」の解説を行った。
同氏はまずdevdの開発を開始した理由について「最近はPCカードやUSB・IEEE1394など、ホットプラグを実現するデバイスが増えてきているのに対し、従来のFreeBSDでは個々のデバイスごとに同機能を実装しているためいろいろな点で無駄が多く、もっと一般化された仕組みが必要だと考えた」と述べたほか、「ネットワークカードを挿した時に自動でdhclient(DHCPのクライアント機能)が動作するような機能が欲しかった」と述べた。
その言葉を裏付けるかのように、devdでは個々のデバイスに対して「attached」「detached」「Unknown device detect」の3つのイベントが用意されており、それぞれのイベントでどのような動作をさせるかをconfigファイルに記述することで任意のプログラムを実行することが可能だという。またdevdでは、ルータなどに同機能が使われることを想定して「2番目のPCIコネクタにカードが挿されたら何番のIPを振る」などといった具合に、デバイスが接続される場所に応じて設定を変更するといったことも可能なのだとか。
ちなみにdevdの今後の課題として同氏は、ネットワークカードにEthernetケーブルが挿されているかどうかといった状態の自動検知や、いわゆるサスペンド・レジューム時のデバイス認識などに対応することや、現在のdevdは1つのプロセスしかサポートしていないため、複数のプロセスから同時にdevdが使えるようにするためにデバイスのクローニング、もしくはUNIX domain socketを使った実装を行うことなどを挙げていた。
(佐藤晃洋)
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