【レポート】タクトをふるって実現する未来のインタフェース - CSLオープンハウス(1)

しばらく前から噂になっていた「クオリア」というブランドを発表したソニーだが、その「クオリア」を研究する茂木健一郎氏らを擁するソニーコンピュータサイエンス研究所(CSL)の研究成果発表会のオープンハウスを行った。

○したいことをソニー風に実現する

CSLの研究の全体的な方向性は、「ユビキタス」。ソニー風にいうのなら、「ユビキタス・バリュー・ネットワーク」ということになるのだろう。どこにでもある機器として具体的に想定されているのは、「CLIE」であり、「VAIO」であり、また今回新登場していた「TACT」であるわけである。

コンピュータ、PDA、携帯端末、デジタルカメラなどが次々とネットワークに繋がるようになったとき、われわれが最初に目にし、しばしばくり返し見させられてきたのは、12桁のIPアドレスとID、それにパスワードの組み合わせだった。

実際にネットワークで行いたいことは、通販をしたり、音楽を聴いたり、映像を見たりする、ということであるはずなのに、なぜかそうした「やりたいこと」の前には、大きな壁が立ちふさがっていて、簡単に通してくれないのである。

CSLでの全体的な次の目標は、このIPアドレスの壁を、どうすり抜けるか、ということにフォーカスしているようだ。

○写真と音楽を結びつけどこでも聴けるようになる

「Music at Home and Away」という研究では、Atau Tanaka氏がCLIEを使って、写真と結びつけた音楽を再生するシステムのコンセプト研究を行っていた。われわれがよく見知っているように、写真と音楽は、記憶のなかでけっこう密接に繋がっていることがある。Music at Home and Awayでは、そうした写真と音楽を組み合わせ、さらに家中にある機器を赤外線/無線LAN/Bluetoothなどを使って自在にコントロールして、聴きたいときに聴きたいスタイルで、音楽を聴けるようになるのだという。

右のCLIEの画面の写真には、写真と関連づけられた音楽が貼りつけられていて、写真を選ぶと音楽を再生できる。左のCLIEはその音楽をやりとりするためのサーバー機能が動作している
Music at Home and Awayを研究するAtau Tanaka氏。ソニーCSL-Parisの所属

○机!

インタラクションラボラトリーでは、シームレスにネットワークを活用できる研究がさらに、数多くなされていた。

暦本純一氏、松下伸行氏らの「DataDesk」は、机の上にプロジェクターを使ってコンピュータの画面を表示し、それをデジタルカメラで撮影することにより、コンピュータのなかに取り込む、という仕組みである。あたかも机の上を、コンピュータそのものの入出力デバイスであるかのように活用することができ、従来のコンピュータであるような、キーボードやマウスというような不自然なデバイスを使わなくても、ペンなどを使って立体物を取り込み、それにメモをつけ加える、というような作業を、容易に行うことができる。

ごった返すなかで「DataDesk」を操作する暦本純一氏。電気スタンドのように赤いランプがついているのがLEDプロジェクター
暦本純一氏の操作する机の上にLEDプロジェクターの赤い枠があり、その内部がディスプレイとシームレスに繋がっている。ディスプレイも、複数の機種が繋がっている

DataDeskには、プラスのプロジェクターとキヤノンのデジタルカメラを組み合わせた「現行試作版」と、赤いLEDプロジェクターを使った「次世代試作版」がある。現行版のほうは、カラーであるため表現力が高いが、LED版のほうは、装置がコンパクトで扱いやすくなっているという。

カラープロジェクター版を操作する松下伸行氏。机の左手側にプロジェクターでディスプレイが投影されている
「DataDesk」の実際の作業の様子。デジタルカメラで取り込んだ写真が、プロジェクターで机の上のスケッチブックに投影される。ちなみに、写っているのは「TACT」デバイス

その実物のスケッチブックに、実物のペンで書き込みができる
その書き込んだメモをそのままデジタルカメラで取り込んでしまえば、正面にあるコンピュータのディスプレイに机の上のスケッチブックの画像が取り込まれる。最初に取り込んだ写真と、プロジェクターで投影された写真の上に追加した手書きのメモが、あわせて取り込まれ、キャリブレーションされて合成される

○ウィンドウがついてくる

「It's ME」は、ウェアラブルキーを用いたIDの自動認証の応用提案である。

腕時計型のウェアラブルキーを用いた「It's ME」を使うと、目の前で作業しているウィンドウが、自分の座ったPCの画面のなかに、即座に、無操作で、完全に自動で移動してくる。IPアドレスや保存作業、共有や移動などはまったく不要。田島茂氏の腕につけているのが、ウェアラブルキー

ネットワークに繋がった機器でコンピュータ作業をしているときに、別のコンピュータの前に立って、もとの仕事を継続したい、ということはよくある。そのようなときに、もともとのウィンドウで行っていた作業を別のマシンの上に移動するには、一度データを保存し、サーバーに転送し(あるいは共有し)、別のマシンでそのファイルを開く、というような手間がかかる。

It's MEでは、IDタグを身につけ、人間の身体を流れる生体電流を利用して自動認証させることで、先ほど作業していたウィンドウが、即座に自分の目の前のマシンに移動してくる、という仕組みを実現したものである。

生体電流を用いた認証の研究は、以前から田島茂氏が行っているものだが、今回、認証に加えて、動作するアプリケーションまで出てきたことで、ますます研究は進んでいることがわかってきた。

(美崎薫)

【レポート】タクトをふるって実現する未来のインタフェース - CSLオープンハウス(2)
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/06/16/11.html
に続きます。

ソニー、エレクトロニクスブランド「QUALIA」発表--超小型高級デジカメなど
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/06/10/07.html

【レポート】品川から歩いていける未来 - ソニーCSL研究所(1)
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/01/05/10.html

ソニーコンピュータサイエンス研究所
http://www.csl.sony.co.jp/index.j.html



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