【レポート】コンピュータ将棋選手権(1) - IS将棋(東大将棋)2年ぶりの栄冠

 

5/3~5までの3日間、千葉県・木更津市のかずさアークにおいて、今年で第13回を数える「コンピュータ将棋世界選手権」が開かれた。今年は昨今の不況の影響に加えSARSの影響もあったためか海外からの参加者が減少するなど、「世界選手権」を名乗るにはやや寂しい状況となったが、最終的には今年も45チームがエントリーし、コンピュータ将棋世界最強の地位を賭けて熱い戦いが繰り広げられた。

○今年はややIntel勢が優勢?

解説を務めた勝又清和五段(右)と飯田弘之六段(静岡大学教授)
同じく矢内理絵子女流三段(右)と安食聡子女流初段

本大会の大きな特徴の一つに「大会の参加者がソフトだけでなくハードも自前で用意する」という点がある。というのは、どのようなプラットフォーム上でソフトを開発するかということに関して本大会では一切規制がなく、あくまで「自作のオリジナル将棋ソフトであること」と「相手のソフトとRS-232Cによって通信が可能なこと(プロトコル等については別途詳細規定がある)」「規定のフォーマットに従った棋譜ファイルの保存機能があること」などいくつかの条件を満たせば、PCだろうがSunなどのワークステーションだろうが、どのようなマシンを使用しても構わないのだ。

というわけで、各参加者がどのようなハードやOSを使って参加してくるかが毎年注目の的なのだが、今年は参加者数ではAMD Athlon系CPUを使用するチームが多いものの、決勝進出者ではIntel Xeonが3チーム、Pentium 4が2チームと8チーム中5チームがIntelのCPUを採用しており、結果も1~4位をIntel CPU採用チームが独占するなどIntel勢の方が好成績を挙げるという結果となった。

この点について、今回同大会の協賛を務めた日本AMDは「今年はOpteron/Athlon 64の発表が遅れたため、チーム側の準備期間が十分に取れなかったことが大きい」と述べ、来年以降の巻き返しを誓っていた。コンピュータ将棋の世界では整数演算性能の高さが勝敗を左右するというのが定説になっていることから、参加者の間でもOpteron/Athlon 64の演算性能に対する注目は高く、来年は会場にOpteron搭載マシンがずらっと並ぶことになるかもしれない。

一方OSについては、決勝進出した8チーム中2チームがLinuxを使っていることが確認できたものの、基本的にはほとんどのチームがWindows上で動作するプログラムで戦っていた。特にOSによって強さに変化があるわけではないようで、「開発者にとってプログラムの開発がしやすいかどうか」という点からOSが選ばれているようだ。

ちなみに今回からはルールが改正され、会場において相手と通信するための通信用マシンさえ用意すれば、実際の思考を担当するマシンは会場に持ち込まなくても良い(ただし通信用マシンと思考担当マシンの間の通信手段は自前で用意する)ことになったため、従来は参加の際の事実上の不文律となっていた「会場に持ち込めるマシン」という条件すら外れ、極端な話Deep Blueや地球シミュレータのような大型コンピュータを思考に使うことすら可能になった。今回はこの規定を利用するチームは現れなかったようだが(少なくとも決勝進出者では0)、来年以降この規定を各チームがどのように活用してくるかが注目だといえるだろう。

○初出場の「備後将棋」が決勝進出、一方で波乱も

大会は初日の3日に開会式と1次予選、4日に2次予選が行われたが、この予選で若干波乱があった。まず話題になったのが、今回初出場ながらいきなり決勝進出を果たした「備後将棋」だ。同ソフトは名前の通り広島からの参加で、開発者の恩本明典氏が一人で約2年半かけて開発してきたという。これまでInternet上で公開されたこともなく、本当に今回の大会が一般には初公開ということなのだが、1次予選は6勝1敗(3位)、2次予選を6勝3敗(4位)と堂々たる成績で決勝進出を果たした。

備後将棋を開発した恩本昭典氏

決勝は残念ながら相手が強く1勝6敗(8位)と振るわなかったが、そもそも初出場で1次予選を突破するだけでも相当大変なのに、いきなり決勝進出するというのは、現在の大会形式になってからは第9回の「シルバー将棋」以来2チーム目の快挙。新たな強豪誕生ということで、できれば次回以降も継続して参加していただきたいと思う。

今回は一方で、ベテランの参加者の苦戦も目立った。中でも、市販ソフトとしても有名な「柿木将棋」「金沢将棋」の2ソフトが2次予選で姿を消したのは、会場の参加者の間でも驚きの結果として話題になっていた。将棋ソフトは開発に独自のノウハウを必要とする部分が多いことから、ここ数年は古くからソフト開発を手がけているベテラン優位の構図が続いてきたが、この結果を見るとそろそろ世代交代の時期が近いのかもしれない。

(佐藤晃洋)

【レポート】コンピュータ将棋選手権(2) - IS将棋(東大将棋)2年ぶりの栄冠
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/05/06/30.html
に続きます

【コラム】ハイテクウォーカー 第22回 執筆=佐藤晃洋 コンピュータ将棋選手権を振り返る
http://pcweb.mycom.co.jp/column/hitech/hitech022.html

日立、将棋を楽しみたい人すべてに贈る"将棋パソコン"「FLORA王将」を発売
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/08/06/07.html

【インタビュー】コンピュータ将棋世界一、「激指」開発者インタビュー(1)
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/05/17/26.html

コンピュータ将棋協会
http://www.computer-shogi.org/



転職ノウハウ

あなたが本領発揮できる仕事を診断
あなたの仕事適性診断

シゴト性格・弱点が20の質問でサクッと分かる!

「仕事辞めたい……」その理由は?
「仕事辞めたい……」その理由は?

71%の人が仕事を辞めたいと思った経験あり。その理由と対処法は?

3年後の年収どうなる? 年収予報
3年後の年収どうなる? 年収予報

今の年収は適正? 3年後は? あなたの年収をデータに基づき予報します。

激務な職場を辞めたいが、美女が邪魔して辞められない
激務な職場を辞めたいが、美女が邪魔して辞められない

美人上司と可愛い過ぎる後輩に挟まれるエンジニアの悩み

人気記事

一覧

イチオシ記事

新着記事

ソニー、Aマウント一眼レフ最上位機「α99 II」国内でも発表
[12:25 9/28] スマホとデジタル家電
ヘルパーT細胞の分化にはプロテインキナーゼDが必須 - 九大発表
[12:14 9/28] テクノロジー
Apple Watch Series 2とiPhone 7 Plusで、ニューヨークの街を歩いてきた - 松村太郎のApple深読み・先読み
[12:14 9/28] スマホとデジタル家電
ジュエリースナップ 第390回 あらいさん
[12:00 9/28] ライフスタイル
[実力試し]HTML5 認定試験 Lv2 想定問題 (11) イベントの扱い方
[12:00 9/28] 企業IT

求人情報