最後のAcquireは、iTunes 4を介して音楽を手軽に購入できる新サービスiTunes Music Storeだ。1曲99セントで、購入した楽曲は3台のMacにコピーできるほか、iPodへの転送やCD-R/RWへの書き込みが無制限となっている。これまでは購入した楽曲をオーソライズしたコンピュータ以外で一切利用できないオンライン音楽配信サービスもあったが、iTunes Music Storeではユーザーが対応するMacを手軽に変更することができる。デモブースのAppleスタッフの説明では、オンライン認証ではなく、ローカルで変更できるそうだ。新しいMacを購入した場合、使用中のMacで「Deauthorize」して、楽曲を移し、新しいMacで「Authorize」し直せば、元通りの状態で所有している曲を楽しめる。SuperDrive搭載のMacで、iTunes 4の音楽ライブラリ全体をDVDにアーカイブ化して保管することも可能で、アーカイブにはDRM情報も含まれる。
| レコードやCDのようにダウンロードで購入 |
Jobs氏は、iTunes Music Storeでは「レコードやCDと同じようにユーザーが音楽を所有できるサービス」を目指したという。既存のオンライン音楽配信サービスは、ほとんどが会員制で、音楽を所有するというよりは、借りて聞くという感覚であると指摘。著作権を保護しながら、ユーザーが求める方法で自由に音楽を楽しめるサービスになったという。
同サービスは、BMG、EMI、Sony Music、Universal、Warnerなど、5大レコード会社すべてから販売ライセンスを取得し、すでに200,000曲以上が用意されている。提供される楽曲は、128KbpsのAACフォーマットでエンコードされており、すべての楽曲が同音質のAACフォーマットで30秒間だけ試聴できるようになっている。購入には、iTunes 4からワンクリックだけで決済が終了する「1-クリック・ショッピング」が採用されている。
また、ボブ・ディラン、U2、エミネム、シェリル・クロウ、スティングなど20以上のアーティストの専用ページが設けられ、iTunes Music Storeでしか入手できないコンテンツも用意される。
ほかのオンライン音楽配信サービス同様に、KaZaAのようなファイル共有サービスがユーザー獲得のライバルとなるが、Jobs氏はコストを計算するとiTunes Music Storeの方がはるかに効率的だと指摘する。KaZaAで欲しい曲を検索して数多くヒットしても、ダウンロードに時間がかかったり、ダウンロードした曲の音質が悪かったりとトラブルも多い。「1時間かけて、せいぜい4曲ぐらいしか手に入れられないのが現状だ。iTunes Music Storeでは4曲が4ドル以下。4ドル分の楽曲を手に入れるために1時間を費やしていたら、最低賃金以下で働いているようなものだ」とJobs氏。
iTunes Music Storeは発表と同時にサービスが開始されたが、残念ながら今は米国限定のサービスとなっている。Windows向けのサービスも年末に開始するそうだ。Windowsユーザーにとっては、“iTunes”
Music StoreにもMUSICMATCHで対応するのかが気になるところだ。展示ブースでプレス関係者に対応していたスタッフは、「Windowsユーザーにも購入、管理、iPodへの転送まで、全てを楽しめるソリューションを提供することになる」とコメントしており、iTunes
Music Storeと共にWindows版iTunesの登場も期待できそうだ。
| iTunesからワンクリックで購入できるiTunes Music Store |
| iTunesから購入した楽曲を再生できるMacのオーソライズが可能 |
○デジタル時代の音楽業界をリード
「20年前にウオークマンがポータブルデバイスで音楽を楽しむというスタイルをもたらしたように、iPodはデジタル時代に同様の影響を音楽ファンに与えている」とJobs氏。
Appleは、既存のデジタル音楽機器、さらにPressplayやRHAPSODYなど会員制オンライン音楽配信サービスを研究し、さらにKaZaAのようなファイル共有サービスに対してユーザーからダウンロードの遅さや音質への不満が広がってきたところで、オンラインミュージックストアを開始した。絶好のタイミングでデジタル音楽を提供するサービスを開始したと思う。
発表会では、「Rip-Mix-Burn」を「Acquire-Management-Listen」と言い換えて説明していたが、最後にJobs氏は「これからはBuy-Mix-iPodだ」と改めた。個人的には、iTunes Music Storeは、iPodとiTunesというヒット商品に劣らないサービスに仕上がっていると思う。これら3つのパッケージは、音楽ファンにMacを使いたいと思わせる魅力を持っているだろう。
これが3%近くまで落ち込んだMacのシェア回復につながるのか、それともWindowsでも同様のデジタル音楽配信サービスが登場するのか。Appleのミュージック・パッケージの完成で、今後のデジタル音楽がどのように変わっていくかが楽しみになってきた。
| Windows向けiTunes Music Storeは年末スタートの予定 |
| 楽曲は、128KbpsのAACで販売される。写真は購入した楽曲のMac上での情報 |
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iPodのインパクトは初代カセット・ウオークマン並み!? |
(Yoichi Yamashita)
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