【レビュー】Windows環境で手軽にBTRONの世界を体験できる「BTMemo」(1)

      [2003/04/25]

    ○盛り上がるTRON

    TRONが話題になっている。
    そのTRONのうち、PC用OSに相当するのがBTRONだ。

    BTRONには、多漢字、多言語、リアルタイム性など、いろいろな特徴がある。その中で、たったひとつだけ、これなくしてはBTRONとは呼べない最大の特徴を述べよ、といえば、それは「実身/仮身」にとどめをさす。

    実身/仮身は「じっしん/かしん」と読む。実身とはすなわちファイルのことであり、仮身とはファイルを示すもの(ファイル名とか、アイコンとか、サムネイルとか、リンクとか)に相当する。従来のOSでは、ファイルを示すために、ファイル名やアイコンやサムネイルやリンクを混在して使用していたのだが、BTRONには、仮身しかない。すごくすっきりしていて、統一された操作体系をもつのである。

    ○実身/仮身

    これがBTRONの実身/仮身を使っているところ。ちなみにこの原稿を書いているのもBTRONである。文章中に関連する図版を置いておけるので、たいへんキャプションを書く作業が行いやすい

    BTRONの内部で、ひとつの実身に対応する仮身は、複数作ることができる。したがって、関連するほとんどあらゆる場所に配置しておくことができる。いってみれば、手を伸ばせば伸ばした範囲に、必要な情報がすべて置いてあるようなものだ。

    この原稿自体、BTRONで書いているのだが、その場合、関連する情報はすべて文章中に仮身として書いて(置いて/リンクして)ある。Googleで検索したいと思えばGoogleの仮身を、関連する情報の仮身は関連する情報を、文章中に書いた単語をユーザー辞書に登録したければユーザー辞書を、ことごとく置いておけばよいのである。

    BTRONには仮身しかない。フォルダのなかにある仮身はファイルを示すし、文章中にある仮身はリンクを示している。リンクでありながら、ファイルでもある。つまりは仮身であるわけで、その仮身をファイルとしてみるか、リンクとして解釈するかは、ユーザーにゆだねられているわけだ。

    ハイパーテキスト環境はHTMLやWiki、blogなどで実現されてきたが、それらの大半は、ハイパーテキストではあるが、「見る」モードと「書く」モードにわかれている。情報を見ているときに、新規に情報を書き込みたいときには、編集モードに入って編集する必要があるのだ。BTRONにはこのようなことはない。基本的にはOS自体がハイパーテキストを実現しているので、モードはなくシームレスに操作できる。文章中に仮身を混在させれば、それだけでもうハイパーテキストのできあがり。

    このあたりの自由度の高さが、究極のハイパーテキスト環境を実現したといわれている所以である。

    ○Windowsで試せる「BTRON」

    BTMemoを使っているところ。文章を書くソフトとしては、たいへんシンプルな感じで使える。ちなみに、書体は最近お気にいりのY.Ozフォントを使用している。多書体、多サイズには未対応

    話題になっていることもあり、「BTRONをちょっと使ってみよう」と考えている人もいるようだが、なにしろBTRONはOSであるため、普通のWindows環境から容易に使うことはできない。ハードディスクにパーティションを切って使うか、VirtualPCなどを利用するか、あるいはOSそのものを入れ換えてしまうか、というような、かなりの荒療治が必要だ。

    筆者自身は、PCを2台用意して、1台をWindowsでデジタル写真とインターネット、もう1台をBTRONで原稿書きとメールと、完全に用途別に使い分けているが、このような使い方は「ちょっと試す」のには不向きである。

    そこで、BTRONのもつ最大の特徴、すなわち実身/仮身のもつ、「編集できるハイパーテキスト」環境を、Windowsで試せるというのが、今回ご紹介する「BTMemo」だ。

    ○バージョンアップで機能向上中のBTMemo

     BTMemo1.07の構成

    「BTMemo(ブルツリメモ)」は、buruturi氏によるシェアウェアで、2003年2月14日に公開された。公開からまだわずか2カ月ほどだが、すでに8回のバージョンアップを果たし、現在では、Ver.1.08と大幅に進化している。いま、注目のソフトだ。

    BTMemoは、実身/仮身のもつ機能を、Windows系OSで実現するメモソフトである。
    BTMemoの基本的な機能は、(1)文章を書くことと、(2)書いた文章のなかにサムネイル(リンク)を混在させることだけに特化している。

    起動すると非常にシンプルなウィンドウが開く。最近のWindows用ソフトは、3ペイン方式でメニューやボタンが大量に並んだものが多いが、BTMemoの標準状態は、ウィンドウのなかにメニューしかない。設定によっては、メニューさえも表示しないようにできるくらいで、じつにシンプルなのである。

    実は筆者、シンプルな道具ほど使いやすいと考えていて、作者には、そういう筆者自身のコンセプトを反映していただいた部分もあるのだが、ほんとうにシンプルこの上ないのが、このBTMemoの大きな特徴だ。これ以上シンプルなウィンドウはないだろう。なにしろ、ウィンドウの内部には、文字を書くエリアとメニューしかないのだ。

    シンプルなウィンドウデザインなので、ユーザーは、文章を書くことに専念できる。

    BTRONと同じようなイメージで使えるところを、BTMemoで再現してみたところ。右のウィンドウは比較のために、BTRONのままの図を使ってみた。ちなみに、BTMemoの中に貼ってあるリンク(Google)を押せばIEのウィンドウが開き、Googleで検索が可能。関連する図が貼ってあるので、キャプションも書きやすい

    邪魔がほとんど入らないというのが、BTMemoの魅力なのである。文章を書こうと思えば、自由に書くことができる。文章を書くだけであれば、通常のテキストエディタと変わりない使い方ができる。

    【レビュー】Windows環境で手軽にBTRONの世界を体験できる「BTMemo」(2)
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/04/25/23.html
    に続きます

    (美崎薫)

    ○BTMemo(ブルツリメモ)
    作者 buruturi氏
    対応OS Windows 2000/XP/NT(95/98/Meでも動作報告あり)
      シェアウェア:1,200円
    ブルツリ電紙工作室
    http://home.catv.ne.jp/kk/buruturi/

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