【インタビュー】バンダイ・ロボット研究所所長に聞く(3) AIでどこまでできるのか?

  [2003/04/25]

○AI等の技術について

--この数年間で、2足歩行とかの動作系に関する技術は急速に進歩して、この分野については2010年までに何とかなると思うのですが、AIはどうでしょう? AIはコンピュータの黎明期から研究されていますが、素人目にはどうもそれほど進化したようにはみえないのですが?

この部分については、理論的な研究と、アプリケーション面での研究が必要になってくると思います。AIについては、我々がイメージとして持っているのは、「スタティック」な人工知能ではなくて、「身体性」、つまり人間の動きと知能が密接に結びついているという考え方をとっています。例えば、「パンッ」という大きな音がしたときに、キョロキョロするという反射を組み込みます。で、周りを見ると、人の顔があればその人の存在を認識できます。

これは、聞こえた音の方向を計算してその方向を向くという手続き型ではなくて、反射がいくつか組み合わされた結果です。例えばロボットに自分の方を向かせたければ「こっちこっち!」と呼べばいいと。要するに、人間の行動と知能の発生というのは切っても切れない関係にあるという立場に立ってAIというものをとらえています。

高度な知能までは当然ながらできないと思っていますが、基本的な考え方として、すべてがフローチャートで表されるようなAIの実現方法は、ある程度のレベルまではとりません。質問のように、まだAIの進化は遅いです。それはどうしてかというと、まだ基本的な原理すらよく分かっていないためですが、我々の場合はその身体性というキーワードで、AIをとらえられないだろうか、と考えています。今までにないようなものが作れる可能性はあると思っています。

ただ、効率は良くありません。音への反応にしても、両耳へ届く時間差などから方角を計算するほうが合理的です。しかしとりあえずキョロキョロする方法では、なにか悪条件のときでも、何とかなる可能性もあります。このような形で現象的なところを作っていき、その上でフローチャートで表されるような高度なAIと組み合わせるのがいい方法なのではないかと思っています。

それに、こういう振る舞いをするロボットは、生き物らしく見えます。我々は、正確さのみでなく、人間から見たときに、気の置けないような存在のロボットにしたいと考えています。BN-1のプログラムにも一部その考え方が取り入れられていて、愛好者からはその点が高い評価を得ています。

最初のドラえもんロボットの商品は我々としても吟味していますので、期待されている方はもうしばらくお待ちください。将来的にはプロトタイプの研究成果がその時々のドラえもんロボット商品に反映され、いずれは人間の顔を理解できるような、購入可能なロボットが実現できると思っています。

--少し気が早いかと思うのですが、第3ステップ以降の予定はなにかありますか?

まだここから先はさすがに手がつけられないですね(笑)。ただこの第3ステップでは、とりあえず「言葉が喋れる犬」くらいの感じになると思っています。犬というのは、外界のモデルをある程度持っています。このステップでは、ロボットの中にモデルがあって、「あれを持ってこい」と言われたときに、以前の会話や、現在の周りの状況を分析して、「あれ」が何を指しているのかを判断できるようになると思います。

「あれ」の判断は難しいですが、モデル次第といえます。例えばテレビがついていて、人がその前に座っている。テレビを見るのにメガネが必要である。というある程度のモデルがあれば、「あれを持ってこい」と言われたときに、メガネを持って行けばいいんだな、と判断できます。そのためのベースになる技術はすでに存在しています。

--逆に、まだ十分でない技術や課題などはありますか?

ドラえもんの表情をどうするかです。技術が不足しているというわけでもないのですが、実現には様々なハードルを超えていく必要があるでしょう。

--元になるキャラクタがあるだけに難しそうですね

ドラえもんのキャラクタを借りるということは、イメージのコンセンサスがとりやすい反面、イメージを損なわないようにする必要があります。イメージをうまく増幅するような形でプロトタイプが作っていけるかどうかということについては非常に苦心しているところです。

--今日はお忙しい中、どうもありがとうございました

手塚治虫氏の漫画「鉄腕アトム」では、今年(2003年)はアトムが生まれた年と設定されており、その誕生日を迎えた今月、各地で関連イベントが開催されたのは記憶に新しい。原作の世界では既に生まれたことになってしまったが、実際にアトムを作るとなると技術的な課題も多く、まだまだ不可能なようだ。近年、急速に進歩を遂げたロボット関連技術であるが、手塚氏の想像に現実が追いつかない形となっている。

アトムは残念ながら間に合わなかったが、ドラえもんの誕生日は2112年9月3日。まだ100年以上も先であり、それまでには本物が実現できるかもしれない。ただ、ひみつ道具は100年くらいではとても間に合わないかもしれないが…

(大塚実)

【インタビュー】バンダイ・ロボット研究所所長に聞く(1) ドラえもんプロジェクトについて
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/04/25/17.html

【レポート】アトム誕生日、手塚治虫記念館には長蛇の列 - 数々のイベントも開催
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/04/08/20.html

アトムの誕生まで秒読み - 3日よりROBODEX2003がスタート
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/04/02/09.html

バンダイ ロボット研究所
http://www.roboken.channel.or.jp/

バンダイ
http://www.bandai.co.jp/



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