パーソナルコンピューターの父が語る、独創的アイデアの重要性

      [2003/04/24]
    "パーソナルコンピューターの父"ことAlan Kay氏

    日本ヒューレット・パッカードが開催した「HP WORLD 2003」において、米Hewlett-Packard Labs Senior FellowのAlan Kay氏が、日米を結んだネット中継による基調講演を行った。

    同氏は30年以上昔に、ポインティングデバイスで操作するマルチウインドウのGUIを搭載した、現在のPCの原型となるコンピューター「ALTO」の開発に携わった。その後も、ラップトップ型コンピューター「Dynabook」や、オブジェクト指向言語「Smalltalk」を考案するなど多くの業績を持ち、「パーソナルコンピューターの父」と呼ばれることも多い。

    講演のタイトルは「How Children Will Finally Invent Personal Computing」で、次世代のIT開発を担う子供達のために、コンピューターはどうあるべきかなどについてさまざまな提言がなされた。

    メインフレーム全盛の時代、コンピューターは会計処理を自動化するためのものと考えられていて、いかにビジネスに役立つかだけが考えられていた。ビジネスの世界では、あらゆる商品は「今のニーズに合っているか」で評価されるため、Appleが個人向けのコンピューターを発売したときも初めは大きく取り沙汰されなかった。「PCのようなツールは、それを作るのに必要なのと同じくらい、価値を理解するのにも創造力が必要」と同氏は話す。ツールの機能がいかに役に立つかといったことよりも、そのツールが我々自身をいかに変化させるかという点のほうが、創造性という面では重要だという。

    MITで生まれた初のコンピューターゲーム「Spacewar」

    例として、1960年代前半にマサチューセッツ工科大学の研究室で生まれた、初のコンピューターゲーム「Spacewar」が挙げられた。このゲームは、特に何かの到達点を求めて作られたものではないし、ましてそこにビジネスがあったわけでもない。しかし、40年経ったいま、コンピューターゲームは一大産業となり、映画産業に大きな影響を与えるまでになっている。

    さらに、CGやCADといったものの原型にあたるIvan Sutherland氏の「Sketchpad」(1962年)や、マウスの生みの親でもあるDouglas Engelbart氏が、ハイパーテキストを利用した情報システムをデモンストレーションした(1968年)映像が紹介された。これら、35年以上昔に考案されたユーザーインタフェースが、現在もPCで利用されていることから分かるように、ハードウェアがいくら急速に進化しているといえ、独創的な部分の進化は非常にゆっくりとしたものだと同氏は指摘した。

    同氏は「ビジネス向けのコンピューターと同じものを子供たちに与えているのは恥ずべきことだ」と話す。また「楽器の中に音楽はなく、音楽は人間が作り出すものであるように、新しい独創性はコンピューターの中にはない」とし、幅広い英知が求められるとしている。

    同氏はコンピューターを利用した科学の教材を紹介し、最後に「伝統的な"大人と子供"の関係で学ぶ必要はない。大人が子供たちにメッセージを投げかけるだけではなく、子供たち自身がメッセージであり、それを受け止めよう」と述べて講演を閉じた。講演では終始一貫して創造性や独創性、そしてこれまでと全く違うアイデアの大切さが強調され、活版印刷の発明がメディアに革命をもたらしたように、コンピューターの変化の必要性が訴えられた。

    「パーソナル・コンピュータの父」アラン・ケイ氏がHPフェローに
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/11/27/50.html

    HP WORLD 2003
    http://www.hpworld2003.jp/

    日本ヒューレット・パッカード
    http://www.hp.com/country/jp/jpn/

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