【情報処理学会レポート】ウェアラブル特別トラック基調講演(1) - 自然や機械もコンピュータを着る

      [2003/03/27]
    「ウェアラブルコンピューティング」トラックの委員長で、司会を務める大阪大学助教授の 塚本昌彦氏とNTTの板生知子氏

    東京大学 板生清教授

    大会会場となった東京工科大学のメディアホール1F大教室では、ウェアラブルコンピューティングをテーマとした特別トラックが行われている。

    まず、東京大学大学院新領域創成科の板生清教授による基調講演「ネイチャーインタフェイスへ向かうウェアラブル技術」では、「地球・人間・人工物のヘルスケア」をテーマに、今後、携帯情報端末がどう進化し、どう活用されていくかについての紹介が行なわれた。

    将来、携帯情報端末はセンサを搭載したワイヤレスマイクロ端末になるという。端末サイズはボタンのように超小型で、情報が入力されるとコンピュータ処理され、自動発電により情報発信することができるようになるというのだ。

    そのため、板生教授の研究室では、ワイヤレスマイクロ端末をベースとしたマイクロ情報システムを構築することで、地球・人間・人工物のヘルスケアを目的としたサービスが提供可能になるとし、東京大学教官を中心として設立したNPO法人WINの会(ウェアラブル環境情報ネット推進機構)を舞台に研究活動を行っている。

    ワイヤレスマイクロ端末への情報の入力方法はセンサである。センサの場合、キーボードやマウスなどで意識的に入力するのとは異なり、自動的に情報を収集し蓄積してくれる。そのため、入力する必要がないだけでなく、キーボードやマウスを扱うことのできない人や生物、人工物に対しても応用することができる。つまり、ワイヤレスマイクロ端末のセンサを使ってネイチャーインタフェイスの世界を構築し、地球環境情報センシング、人間健康情報センシング、人工物の故障予知センシングを行うことによって、地球・人間・人工物のヘルスケアが可能になるという。

    ネイチャーインタフェイスとは、自然に主体を置いたインタフェイスであり、人間を主体としているヒューマンインタフェイスをズームアウトしたものである。

    そして、ネイチャーインタフェイスの世界を構築することにより、自然界の発信する情報と人工物の発信する情報を、情報通信システムを使ってつなげることができ、その情報を人間の生活の中に取り込むことができるようになるという。

    例えば、ワイヤレスマイクロ端末を生物に取り付けることにより、その生物の生息状況などを知ることができるほか、その生物が現在いる場所の緯度経度や温度といった付帯情報を採取することも可能となる。このようにシームレスに自然環境の情報を入手し蓄積、分析することによって、地球環境の実態や変化を読み取り、その結果に応じて適切な対策を打ち、ケアしていくことが可能になるというわけである。
    板生教授は、実際に、カラスにPHS端末を取り付け、研究室にいながらカラスの生態観測などを行っている。

    同様に、人間にウェアラブルなセンサを装着することで、バイタルケアネットワークとバイタルデータ管理システムを構築し、それらを使ってヘルスケアを行なう研究も行われている。例えば、脳波や血流などの生体現象をセンサで常に計測し、情報を収集し蓄積することで、その人の状態や体調の変化を知ることができ、健康管理や病気の早期発見ができるというわけだ。

    また、眼球運動を見ると覚醒度が計測できる。そのことを利用すれば、自動車などを運転する際、運転手の眼球運動を監視し、居眠りをしそうになったら、大きな音楽を自動的に鳴らしたり冷気を出すなどの刺激を与えることで、居眠り運転防止などに役立てることも可能だという。

    また、人工物への応用に関しては、例えば、工場の機械にワイヤレスマイクロ端末を取り付けておき、部品が磨耗する時に発する周波数を分析することで、早期に工具の故障を発見することができるようになる。また、故障を発見した場合、自動的に機械をストップさせることで、大事故を未然に防ぐことも可能になるだろう。

    【情報処理学会レポート】ウェアラブル特別トラック基調講演(2) - 服にコンピュータを取り入れる
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/03/27/30.html
    へ続きます

    (山田久美 k-yamada@pc.mycom.co.jp)

    情報処理学会レポート
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/special/2003/03/27/01.html

    情報処理学会
    http://www.ipsj.or.jp/

    東京大学 環境情報学研究室
    http://www.itao.pe.u-tokyo.ac.jp/

    大阪市立大学 電子回路研究室
    http://www.ec.elec.eng.osaka-cu.ac.jp/

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

        イチオシ記事

        新着記事

        特別企画

        マイナビニュースマガジン