通信総合研究所、光宛先検索及び光バッファ機能を備えた40Gbpsの光スイッチ

      [2003/03/24]

    通信総合研究所は、光宛先検索及び光バッファ機能を備えた光パケットスイッチプロトタイプを米アトランタで開催される「OFC2003」(OPTICAL FIBER COMMUNICATION CONFERENCE & EXPOSITION)にて展示、世界初のデモンストレーションを行うと発表した。昨年7月にプロトタイプは発表済みだが、その時点での入出力速度は1ポートあたり10ギガビット/秒。今回光宛先検索及び光バッファ機能をより安定して動作させるための改良が行われ、実験室外の一般の環境下での動作が可能となったほか、光時分割多重(OTDM)技術を導入することで1入出力ポート当たり40ギガビット/秒での光パケット転送実験に成功したとしている。

    写真の赤い部分が光パケットスイッチ本体 左のデータ生成部から中央の本体を通じ、右の受信部分へと40Gbpsのパケット転送が行われる

    同プロトタイプは、光で入ってきたパケットが、光のままスイッチングされ、光で出力されるという。現在の商用ルータでは、光ファイバで入ってきた信号も、いったん電気信号に変換(光電気変換)してスイッチングされ、さらに光に戻して出力するといった手順を踏んでいる。このときの電子処理(半導体メモリへのアクセス、電子処理によるパケットの宛先検索、光電気信号変換)はファイバから入ってくる光信号の速度と比較して遅いため、ボトルネックになっているという。また、複数の波長を使用して、相手との直接接続をおこなう波長スイッチという方法もあるが、この場合では波長の数(波長多重度)には限りがあるほか、ほとんどデータを流していない状況でも回線を設定しなければならない。この波長の浪費を防ぐため経路制御を行いルーティングする方法もあるが、これが電子処理であっては根本的な解決にはならないという。

    同プロトタイプの特徴は、光宛先検索処理、光バッファ、先着順パケット処理の3つを組み合わせている点にある。光宛先検索処理では電子処理に頼らず光パケットの転送経路を求めることができるもの。光バッファでは入ってきたパケットを出す時間を変えることができるもの。そして先着順パケット処理は先着したパケットを先にスイッチから出し、かつ、同着したパケットを衝突させない処理を行うほか、必要に応じて衝突を避けるためにパケットを廃棄することができるというもの。光宛先処理はデータ変調の原理を応用し、光による宛先処理を実現しており、光バッファはわずかな経路を用意することで、1パケットあたり512nsぶんの遅延を発生させて同時に入ってきた信号の衝突を回避する仕組みであるという。なお、同研究所によるとプロトタイプでは今回の光バッファという仕組みを使用しているが、将来には光メモリが開発されるだろう、とした。

    光宛先検索は、入力ラベルは中央にあるプリセットされたラベルバンクに照らし合わせ、マッチしたもののみが出力されるという

    光バッファは、回路中に設けられた輪のような回路の距離ぶん信号遅延が発生するという

    今回のプロトタイプでは、光パケットを生成するエッジノード、光パケットスイッチ本体となるコアノード、光パケットを受信するエッジノードからなる。光パケットスイッチ本体は、光ラベルスイッチ2基、光バッファ2基で構成されている。同研究所では、今後入出力ポート数の増加、1ポート当たりのデータレート増加、光バッファサイズの増大、パケット間ガードタイムの減少などを行いさらに高スループットかつ高速な光スイッチ実現を目指すとしている。

    1.52Tbpsの伝送実験が成功 - 家庭でGbpsクラスの通信速度が実現する可能性も
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/06/07/21.html

    総務省、光ネットワークの規模を100倍に拡張できるパケット転送技術を開発
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/03/28/17.html

    通信総合研究所
    http://www.crl.go.jp/

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