【レポート】NuCOREデジタルカメラ用第2世代映像エンジンは5月14日に発表

      [2003/03/12]
     米NuCORE Technology CEOのJames N. Chapman氏

    デジタルカメラ用の画像処理エンジンを設計・販売している米NuCORE Technologyは、現在、第2世代画像処理エンジンのサンプル出荷を開始しているが、その正式な発表日が5月14日であることを発表した。また、あわせて同社日本法人社長に元Transmeta日本担当カントリーマネージャーの和田信氏が就任し、同アプリケーション担当ディレクタに元Transmetaアプリケーション担当副社長のRichard B. Goss氏が就任することを発表した。発表に伴い、米NuCORE Technology CEOのJames N. Chapman氏、同マーケティング担当副社長 国土晋吾氏、ニューコアテクノロジー新社長の和田信氏、同副社長のRichard B. Goss氏にお話を伺うことができたのでご紹介したい。

    ○NuCOREエンジンを使うとJPEGの画像サイズが小さくなる!?

    NuCOREの画像処理エンジンはアナログデータ処理部の機能によって、ノイズが少なく綺麗な画像を出力することができるようになっている。その仕組みについて今回改めて説明を受けた。

    現状では理想的な画像キャプチャを行うことができるシステムに3CCDシステムがあるという。3CCDシステムは、

    1) 解像度が高い
    2) 分光特性が良い
    3) 各色に合わせた最適なゲインを設定できる

    といった特徴を持ち、実際に上位クラスのデジタルビデオカメラ等に搭載されている。しかしながらこのシステムはCCDを3枚必要とすることから一般に大きく高価である。この3CCDシステムに対して、多くのデジタルスチルカメラが採用している1CCDシステムで3CCDシステムに迫る画質を目指す仕組みがNuCOREの画像エンジンのアナログフロントエンド部に採用されているNDXテクノロジである。上記の1と2についてはぞれぞれCCDの物理構成と、カラーフィルタの性能に依存しているが、3についてはCCDのアナログ信号取得後の処理の範囲であり、画像処理エンジンとして処理を最適化することで改善を図ることができるという。

    NuCOREでは、1CCDながら、各色別に独立に増幅処理を行い、量子化(デジタル化)する前の段階で3色のホワイトバランスを整えるように工夫した。すると、各色それぞれが揃った分解能で量子化され、カラー位相ノイズが少なくなるという。逆に言うと、量子化後にホワイトバランスを整えた場合は、各色ごとに量子化の分解能が異なってしまう。たとえば青色は黒(暗色)から白(明色)まで10等分して量子化されたが、赤色は黒から白まで3等分で量子化されてしまうといったことが起こる。すると、黒から灰色、そして白まで徐々に明るさをアップしていったとき、青は10段階で白に至るが、赤は3段階で白に至る。その間、赤と青の明るさはちぐはぐになり、全体としてある時は青くなり、あるときは赤くなるといった現象が起きる。グレーを表示しているつもりが、量子化ノイズによって色ムラが現れてしまうのである。これが、カラー位相ノイズと呼ばれる現象であり、画質悪化の原因となっていた。NDXテクノロジを用いると、こうしたカラー位相ノイズを理想的に減少させることができるという。

     NuCOREの画像処理エンジン構成
     3CCDの画質を1CCDで
     シーンごとに異なるカラーバランス
     カラー位相ノイズ発生の仕組み
     この写真ではわかりにくいが、NDXテクノロジによる画像の方が色むらが少ない

    面白いデータを見ることができた。スタジオで1枚のカラーサンプルを3台のデジタルカメラで撮影した画像がある。いずれも非圧縮のTIFFデータ形式である。これをJPEG形式に圧縮変換したとき、NuCOREの画像処理エンジンを組み込んだデジタルカメラの画像は506KBとなったが、その他の(著名メーカー製のデジタルカメラ)2台はいずれも1.2MBを超える画像サイズになったというのである。この訳は、NuCOREの画像処理エンジンを経て出力された画像は、カラー位相ノイズが少ないので、高周波成分を縮約するJPEG圧縮が効果的に働き、ファイルサイズが小さくなるが、カラー位相ノイズが多いその他の2台のカメラの画像は、細かなノイズを縮約できず、ファイルサイズが大きくなってしまったというのである。ファイルサイズの違いは2倍以上にもなるもので、その効果はぱっと見の画質以上の印象がある。

    ○各社別の差別化が可能に

    NuCOREの第2世代画像処理エンジンでは、統合化された開発ツールが提供される。これは、同社が開発過程で作成してきた様々な開発ツール群を統合したもので、様々な回路パラメタや関数を設定することができるようになっている。同社では、「絵作りの部分は我々の仕事ではない」と考えており、どのような画像を作り出すかについては、カメラメーカーのチューニングに任せる方向だという。実際、開発ツールの設定によって、得られる画像は大きく異なってくるという。その設定にはカメラメーカーのポリシーと経験が生かされるため、同じ画像処理エンジンを搭載していても、各社別に差別化を図ることができるとしている。

     NuCOREの提供する統合開発ツール

    ○今後の開発方針は?

    基本的には、会社設立当時より1)高画質 2)ハイスピード 3)ローパワー の3要素を高いレベルでまとめることに力を注いできたということで、今後もこの相反する条件を高いレベルで達成することを目標に開発を続けていく。アナログフロントエンド部についてもまだまだ開発途上の技術が数多く存在し、理論検証中のプランからテストチップで実験中の技術まで様々だという。そしてデジタル処理部については、絶対的なパフォーマンスの追求もさることながら、1)統合化 2)使いやすさの追求 をキーワードに開発を進めていくという。統合化については、2004年Q1にはUSB2.0機能を搭載する予定であるほか、様々なPC系のメモリインタフェース、コミュニケーションインタフェースの実装・統合が検討されているという。このPCに関連した機能の統合は同社スタッフにとっては身近な得意分野なので、アドバンテージが提供できるとしている。また、使いやすさの追求については、同社の提供する統合開発ツールなどを始め、デジタルカメラメーカーがスムーズにNuCORE製品を組み込めるよう、開発環境の整備に努めるという。

    NuCORE第2世代画像処理エンジンを搭載したデジタルカメラ製品は今年半ばにも登場の見込みで、その後2004年初頭のCESでは、NuCORE画像処理エンジンを搭載したハイブリッドカメラが登場する見込みだ。同社ならではのハイパフォーマンスな画像処理能力を生かした動画・静止画両用機である。

     NuCOREの第2世代画像処理エンジンは75Mpixel/sのパフォーマンス

    NuCOREの第2世代画像処理エンジンの正式な発表日は5月14日。米NuCORE Technology CEOのJames N. Chapman氏は、「私たちの新技術が多くの製品に採用され、それを多くのユーザーが使って下さることを期待します」とコメントした。また、ニューコアテクノロジー新社長、和田信氏は「Intel、Cyrix、Transmetaでの仕事を経験してきたが、NuCORE Technologyは日本人が作ったアメリカの会社。日米の垣根を越えた存在だ。新しいことができるのは魅力的。日本市場での展開については、チームプレーでがんばっていきたい」とその抱負を述べた。

     右からニューコアテクノロジーマーケティング担当副社長 国土晋吾氏、米NuCORE Technology CEOのJames N. Chapman氏、ニューコアテクノロジー新社長の和田信氏、同新副社長のRichard B. Goss氏

    (古林高)

    【インタビュー】次世代イメージプロセッサ登場間近 - NuCORE Technology CEOに聞く
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/01/31/20.html

    ニューコアテクノロジー
    http://www.nucore.co.jp/

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