○立って持って使う、をさらに追求した「バイオU101」
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バイオU
PCG-U101 |
--U1のときは「とにかく小さく作る」という明確な方向性があったかと思うのですが、U101の大きな目標は何だったのでしょうか。
安形) U1を作ったときは誰の言うことも聞かず、とにかく僕ら設計チームのほしいものを作ってみたんです。そうしたら、予想以上にものすごい数のフィードバックをいただきました。そこで、僕の中では、大きく分けて5つの変えたい部分があったんです。1.画面が小さい 2.パフォーマンスがいまひとつ 3.ポインタにクセがあって使いづらい 4.ユビキタスの「U」なのに無線LANが内蔵されていない 5.キーボードの配列が変則的 -- まずこの5つをきちんと直したい。もっと小さくするという選択肢もあったとは思うのですが、使いづらくなってまで小さくするのはナンセンスだと考えたので、同じフットプリント(底面積)でどこまでいけるか、というのがU101の開発のスタートですね。
--U101を初めて見て、まず目が行ったのが、右上の4wayマルチポインタです。今回はカーソルキーがキーボードではなくポインタに搭載されているのですね。
安形) 前の機種を使っていると、右手がポインタとカーソルキーの間を往復することが多かったんですよ。で、ある担当者から「ポインタのところにカーソルキーを置きたい」と言われたんですけど、言われたときはその意味がよく分からなかったので「実際に動くのを作ってよ」と言ったら、本当にプロトタイプをすぐ作ってきたんです。で、触ってみたら「これは絶対にいい」と思って。そうしたら、今度はメカのリーダーが「カーソルキーをポインタのところへ移せるなら、キーボードが標準配列にできるんじゃないか」と言い出して。それで一挙両得だということで、すぐやりましょうとなったわけです。
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| U1のポインタにカーソルキーを追加した、4wayマルチポインタのプロトタイプ |
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安形) ただ、ひとつ問題が出てきました。普通の部品だと、ポインタ部だけで面積を喰ってしまって、周りにボタンなど他の部品を置けないんですね。これはどうしようもないということで、カーソル・ズーム・ThumbPhraseの各ボタンとポインタを一体にしたモジュールを新たに起こしました。あと、ポインタは親指用にチューニングしています。普通、ポインタはキーボードの真ん中にあるので人差し指で使うことが前提になっているのですが、人差し指はすごく器用な指なので、親指でそれを使おうとすると、思った方向に行けないんです。不器用な親指で上手に動かせれば、器用な人差し指でも問題ないので、今回ドライバもハードウェアも新たに起こして、親指用にチューニングしてあるので、思った方向に持っていけるはずです。
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| U1のポインタにカーソルキーを追加した、4wayマルチポインタのプロトタイプ |
--さらに、ポインタがクリック機能も兼ね備えていますね。
安形) U1のときから「Adobe Acrobat eBook Reader」の1機能として、画面を90度回転できたんですけど、これが意外と違和感なく使えたし、このスタイルで電車の中で開いていると、本を読んでいるみたいで何かいいな、ということで、Windowsの画面も転がせるようにしました。しかし縦に持つとボタンが上にきてクリックができなくなってしまうので、ポインタにクリック機能を持たせたんです。
○「好きなとこで好きなように使ってほしい」
--今回CPUがかなりパワフルになって、ひと通り何でもできるかなというレベルになってきましたが、他のミニノート、例えばバイオC1との差別化はどこで図っていくのでしょうか。C1は置いて使う、Uは持って使うということでしょうか。
安形) C1は写真を撮ってメールで送るとか、使い方提案のモデルなんです。逆にUは、小さくしたという点ではこだわりがありますが、使い方提案はほとんど何もしていないんです。「ここまで小さくなったんだから、どこにでも持っていって、好きなように使ってください。使い方はお任せします」というコンセプトです。U1を出した後、「ふとんの中であお向けになっても使えるパソコンはこれまでなかった」という話を聞いて「やった!」と思いましたね。そういう使い方は我々の想定外だったので。ほかには、お風呂に持っていった人がいたり、オートバイにくくりつけた人がいたり……もちろんこういう使い方は保証外なんですけど(笑)。
--今回はワイヤレスLAN機能が内蔵されて、さらに自由度が増しましたね。
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| 左がU101で、右がU3。ほぼ同じフットプリントのままワイヤレスLANを内蔵した |
安形) 最初は「ワイヤレスLANを入れることで本体が大きくなってしまうなら、入れなくていい」とも思っていたんです。ワイヤレスはPCカードで使うという解決策があるので。ワイヤレスLANモジュールのMiniPCIコネクタというのは、バイオUに入れるには大きすぎるんですよ。でもある日、設計担当者が、モジュールにフレキ(フレキシブルケーブル)のコネクタを付けたのを持ってきて、これでつなげようと。
--もともとMiniPCIコネクタのあるモジュールに、新たにフレキ用のコネクタを付けたということですか。
安形) そうです。だから使おうと思えばMiniPCIとしても使えるけど、フレキのコネクタが付いた、バイオU専用に起こしたモジュールです。こうすれば、MiniPCIの大きなコネクタがなくても、バイオUにワイヤレスLANが収まると。
--USBがひとつは背面に露出していて、もうひとつは側面のフタの中にあるというのも面白いですね。
安形) 後ろはマウスとかUSB型AirH"とか、みんな何かしら使うだろうと。だから、フタがなく邪魔にもならない背面に持っていきました。選択肢としては、PCカードスロットを背面へ持っていくというやり方もあったんです。通信カードとかはでっぱりがあって、U1・U3だとモバイルグリップスタイルが使いにくかったので。でも後ろにした場合、ユーザーからは見えない位置になってしまうので、もしPHSカードのアンテナを立てていた状態で、液晶を向こう側に倒してしまうと、アンテナをバキッと折ってしまうかもしれない。だからPCカードスロットは絶対に見える位置でないといけないと。でも今回はスロットの位置が移動しているので、でっぱりのあるカードも使えますよ。これも実は合わせ技で、キーボードが1列減ったおかげでこの位置にスロットが収まったんです。
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○U101は「ミニチュアパソコン」ではない
--U101のデザインで最優先したところは何でしょうか。
片岡) ユビキタスのUということで、本当に「立っていても使いやすい」もの、と考えたんです。U1・U3は、言うなれば「ミニチュアパソコン」ですね。モバイルグリップスタイルで立っても使えるけど、完全ではなかった。ノートパソコンを開いて持っている、というところから脱却できていない。U101では、いままでのノートパソコンではない、全く別のものを持っているかのようなスタイルを作りたかった。基本としては、茶色の真っ平らな薄い板に、白いグリップがモチのように付いていて、それを持つと裏側のくぼみに指が当たって、ちゃんと持てるという形です。そして、親指のところにマルチポインタといろいろなボタンが集中配置されている。
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| 製品発表会でデザインコンセプトを説明する片岡氏。「パソコンを感じさせない新しい形を実現したかった」と話す |
--ノートパソコンが小さくなったので持っても使えます、ということではなく……
片岡) 最初から持つのが前提ということです。
--U101もZと同様に、いわゆる「バイオカラー」ではありませんね。
片岡) バイオUの場合、使うシーンとか持ち運ぶときのことを考えると、パソコンがメインの状況じゃないなと思ったんです。机に向かっていじるのではなくて、日常の活動の中で必要なときに出して使うものなので、メカメカしいのではなく、よりファッション寄りの色遣いをしたほうが、違和感ないのではないかと。カバンとかシステム手帳とかのような、布や皮を感じさせる色にしました。
--もうひとつ、バッテリーの形が非常にスマートになったのも嬉しいです。
安形) いままでのリチウムイオン電池のセルは、これ以上平べったくすることはできないんです。今回使ったのは携帯電話に使われているのと同じタイプの、リチウムイオンポリマーのセルですが、携帯電話用のものだとパソコンを起動できるほどのパワーがありません。それで、ソニーの中でバッテリーを作っているエナジーカンパニーというところがあるんですけど、そこにパソコン用のものを作ってもらいました。そうして作ったセルが3枚入っていて、セルの間がグリップになっています。
--裏側のくぼみは、バッテリーセルのすき間だったのですか。そこまでモバイルグリップスタイルが貫徹されているとは。
片岡) というより、そうしてほしいと頼んだんです。セルのすき間をつめればバッテリーの幅をもっと小さくできるんですけど、グリップを付けたいからあえてバッテリーはこの幅にしました。
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へ続きます
(日高彰)
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