【インタビュー】数々の「ものづくり」職人芸が光る新バイオ(1)

 
製品発表会で、今後の「ものづくり」への注力を説明するバイオノートブックカンパニーの島田啓一郎プレジデント

ソニーが12日に発表した新製品「バイオノートZ PCG-Z1/P」「バイオU PCG-U101」は、見た目に新鮮なデザインや充実したスペックもさることながら、作り手のこだわりが細部にまで行き届いた意欲作だ。

同社バイオノートブックコンピュータカンパニーの島田啓一郎プレジデントは、2003年の製品戦略のひとつとして「ものづくり伝統の復権」を掲げている。そのフィロソフィーは製品開発の現場にどのように表れたのか。バイオノートZプロジェクトリーダーの藤田賢治氏、バイオノートZでメカ設計を担当した佐野充邦氏、バイオUプロジェクトリーダーの安形顕一氏、そして両製品のデザインを担当した片岡哲氏に話を聞いた。

○一体感のある"モバイルメインマシン"「バイオノートZ」

バイオノートZ
PCG-Z1/P

--505なら薄さ、GRなら高性能大画面、というようにバイオノートの各シリーズにはそれぞれの製品コンセプトがあると思うのですが、Zのコンセプトを一言で言うとすれば、何でしょうか。

藤田) 「モバイルメインマシン」という言い方をしています。基本的にはこれ1台で何でもできて、だけどモバイルもできると。一般的な感覚では「モバイル」と言うと、バイオUなどを思い起こされるかもしれませんが、僕らは実際このバイオノートZくらいのものを普通に持ち歩いているので。「持ち歩けるメインマシン」という言い方もしています。14.1型の液晶画面というのは、A4の紙とほぼ同じサイズです。そして画面のフチが少しあって、本体の外形はA4ファイルサイズ。ふつうに何かを持ち歩くときも、このサイズくらいが限界だと思っているので、まず大きさから先に決まって、後はできる限り薄く軽く、ですね。そして、デザインの美しさも併せ持つという。

--デザインの面では、側面のラインが特に印象的です。

片岡) 普通のノートパソコンは、上に液晶画面の側があって、手前にキーボードの側があるという2面構成で、ふたつの部分が切り離されていると思うのですが、バイオノートZではその間に連続感を持たせたかったんです。サイドラインの連続感もあるし、液晶とキーボードの幅を同じにすることで、黒い部分の連続感も出しました。そして、黒の連続によってできたヒンジの部分の奥まった部分に、端子とかの機能を集約させて、そのかわりフタをつけないという。

--では、底面のフチが斜めにカットされているのも、ただ単に本体を薄く見せようというのではなく……

片岡) 一番大切なのはラインの連続感だったので、液晶のほうからつながってくるラインがここで急に太くなってしまうと、分かれてしまうので。

バイオノートZのデザインスケッチ。キーとなるコンセプトは「連続感」

そして、真ん中に生まれた空間に機能を集中させた

--もうひとつ、「バイオカラー」と言われるくらいで、バイオというと紫というイメージがあったのですが、今回はシルバーですね。紫を捨てるに至った決意のようなものがあったのでしょうか。

片岡) ユーザーはどういう色が好きか、どういう色を持ちたいか、を考えると、紫を押しつけるのも何だな、と思いまして。Zは形で十分個性を主張できていると思うので、色はなるべくシンプルに、誰もが受け入れられて高級感のある色ということで、シルバーと黒を選んだんです。でも、ただのシルバーではなくて、よく見ると微妙に紫が入っているんです。6年前、バイオという製品の立ち上げのときは、色とかロゴとかで総合的にブランド力を高めていこうという感じだったと思いますが、今ではバイオの名前を知らない人はいないくらいになってきたので、これからはいろんな個性の方向に行ってもいいんじゃないかと。

○「余裕は常にゼロ。あるいはマイナス」

--今回CPUにPentium Mを採用したことで、熱に関しては多少余裕ができたのでしょうか。

藤田) 性能がほぼ同等のPentium MとモバイルPentium 4-Mを比べると、数字でいうとだいたい10Wくらい低くなっていますね。

佐野) でもダイが小さくなっているので、熱密度は上がっているんですね。熱の総量としては減っているけれど、熱を他へ持って行きにくい。ヒートシンクを固定するバネやボルトも工夫して、CPUに対して強く確実に当たるようにしています。

藤田) それに、発熱のW数が小さくなったから余裕ができるかというと、そうではなくて、その分キャビンを小さくしようということになるので、基本的に余裕は常にゼロ。あるいはマイナスです。最近はCPUのほかにグラフィックチップやメモリが非常に高温になるので、全体を冷やさなければいけないんです。特にメモリが熱い。

佐野) CPUの近くにファンを付けて、側面に排気するという仕組みだけだと、メモリの近くにもうひとつ吸気口を空けても、ほとんど空気を吸えないんですね。なので、逆にCPU側の吸気口を少し狭くすることで、メモリなど全体にエアフローが伝わるような仕組みにもしています。

--ノート型マシンでは、ボディの剛性を高めるのも難題と聞きます。

藤田) 特にZは製品として難しいデザインなので、いかにデザインを崩さずに剛性が取れるか、メカ担当は相当苦労しています。

切り込みが入っているが、「本当は切りたくない」(佐野氏)。この部分には無線LANのアンテナが入っている

佐野) 剛性が一番強いのは、お弁当箱の形なんです。そしてマグネシウムという素材は、プラスチックとは違い複雑に作ることが難しいのです。できる限りシンプルに作るというのが基本です。だから、(内側に切り込みが入った部分を指し)こういうところも本当は切りたくない。

--ということは、ロゴの部分にくぼみをつけたり、側面を斜めにカットするのは……

佐野) 剛性の観点からすれば、本来はやっちゃいけないことなんです(笑)。でも、特にロゴなどは、我々のステータスとして、主張できるようなシンボルとして作ってきましたので、これはチャレンジですね。

藤田) 薄型のノートというと、フニャフニャゆがむものもありますが、バイオはそうじゃない。言ってみれば……職人芸ですね。

○ウソのない、すべてに必然性のある作り

藤田) (片岡氏と)話していてよく言われたのは、「ウソが嫌いだ」ということなんですよ。

--「ウソ」というと?

裏面の黒い部分の幅も液晶に合わせた「必然性のある造形」

片岡) そうですね……例えば、ボディを2色で塗り分けることってありますけど、それは「ウソ」というか、塗り分けに必然性のないものが多い。Zの場合、シルバーに対する黒い部分の幅は何かというと、液晶画面の幅なんです。それに合わせる形で、キーボード部分の幅も、バッテリー部分の幅も、すべて必然的に決まっている。

藤田) Zも、もっと薄く見せようと思えば見せられるんですよ。キャビンの上パーツと下パーツを塗り分けるとか。でも、それは機能ではないし「本当」ではない。そういう小細工はやっていない。(片岡氏に言わせると)「薄く見せるんじゃない、本当に薄く作れ」と(笑)。

片岡) 例えばUSBとかの端子にしても、一番外側にあると、どうしてもフタで隠したくなるところだけど、これが1段内側に入ったことでフタが要らなくなる。よく使うものなのにいちいち開けたり閉めたりするのは使いにくいし、挿したコネクタの下にいつもフタがあるというのもまどろっこしい。一番使いやすいのはフタがないということなんです。

--機能的な部分も含め、すべてに必然性を持たせたいと。

片岡) もちろん、こじつけることもあるんですけどね(笑)。バッテリーがどうしてもこの厚さに入らないから飛び出してしまうけど、これはチルトとか、手で持つときのきっかけになるとか、極力意味をつけてあげたいなといつも思っているんです。

パームレスト部に対してほとんど段差のないタッチパッド。スペックとは直接関係ない技術的課題が増えてしまうが、これも「連続感」のためのこだわりだ

通常、キーボードの裏板は厚さ0.3~0.4mm(写真奥)だが、Zは0.8mm(写真手前)のものを採用。剛性の差は一目瞭然だが、「薄く軽く」という目標には相反する。どちらを優先するかは開発者の判断だ

【インタビュー】数々の「ものづくり」職人芸が光る新バイオ(2)
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/03/12/10.html
へ続きます

(日高彰)

ソニー、銀色のSXGA+「バイオノートZ」と新バイオU「バイオU101」を発表
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/03/12/17.html

ソニー バイオ
http://www.vaio.sony.co.jp/



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