【Global Grid Forum 7レポート】IBMプレスセミナー、e-business on demandの中のグリッド

 

Global Grid Forum(GGF) 7・初日に行われたもう一つのプレス向けセミナーが、日本IBMが主催した「グリッド・コンピューティングの商用化に向けた取り組み」。こちらにはGlobus Projectの代表として知られるIan Foster氏や、米IBMでグリッド技術・戦略担当のVice Presidentを務めるDan Powers氏らが出席し、グリッド技術の最新動向や商用化の動きなどを語った。

○グリッドの条件とは何か?

まず最初に登場したIan Foster氏は、元々は極めて小さいグループにおいて細々と研究されてきたグリッド技術がInternetの登場で革命的ともいえる転換を果たし、今や研究レベルを超えビジネスに応用される段階に到達した、と現状を分析した。同氏はこの点について「Enterprise ComputingやB2Bのようなものは元々分散型のトポロジを取るためグリッドとの親和性が高く、産業界でもグリッドによって容易にスケールメリットが得られるとの認識が広がっている」と述べた。

Ian Foster氏
グリッドと認められるための条件

その上で同氏は、昨今のグリッドという言葉の定義があいまいになっている状況に対し、グリッドとして認められるための3つの条件を挙げた。それは「分散した資源をコーディネートするもの」「オープンスタンダードなプロトコルやインタフェースを採用したもの」「普通では得られないサービス品質を提供するもの」の3つ。そこで重要な役割を果たすのが現在GGFで標準化が進められている「Open Grid Services Architecture(OGSA)」だが、同氏は「ただStandardができただけではグリッドの普及にはつながらず、そのStandardに従ったHigh Qualityなソフトウェアができたことが大きい」とし、Globus Toolkitもその一つであると述べた。

また同氏はOGSAについて、「分散型ネットワークサービスとしてのWebサービス」と「オンデマンドでリソースにアクセスし、またシステムのスケーラビリティを提供するグリッド技術」の2つを統合するものであり、OGSAの利用によって企業などの垣根を越えた資源管理が可能になる、と述べ、OGSAという形でグリッド基盤技術の標準が定まったことにより「次は分野別に固有のアプリを提供する段階に来ている」と訴えた。同氏はLinuxがグリッドに対して果たした役割についても触れ「Linuxの存在により産・学・官の共同作業がやりやすくなった」とも述べた。

グリッドとオープンスタンダードとの関係
グリッドとWebサービスとの関係

なおOGSAの標準化作業の進捗状況については、OGSAのコアとなる「Open Grid Services Infrastructure(OGSI)」のFinal Draftを今回のGGFにおいて提案する予定。同Draftの内容について同氏は「この後60日間のパブリックコメント期間において細かい変更はあるかもしれないが、かなりの部分で詰めが終わっており品質も十分に確保されていると思う」と語った。また今後OGSIをベースにOGSAの標準化が進められることになるが、それにかかる期間については「だいたい1年ぐらいでまとまるのではないか」との見解も明らかにした。

○グリッド無しには「e-business on demand」は成り立たない

続いて登場したDan Powers氏、そして最後に登場した日本IBM・グリッドビジネス事業部長の高野孝之氏の2人は、実際の顧客へのサービス提供例やグリッド技術に関する提携などの状況説明を通じて、同社のビジネスにおけるグリッドの重要性を訴えた。

Dan Powers氏
現在同社が顧客に提供中のグリッドサービスの例

まずDan Powers氏は、グリッドが同社のスローガンである「e-business on demand」の中で極めて重要な位置を占めており、「グリッド無しにはe-business on demandは成り立たない」とその重要性を強調した。その上で「従来は企業が自前で情報システムなどのインフラを構築していたのが、最近はアウトソーシング化が広く受け入れられるようになり、さらにその流れはオンデマンド化の方向に向かっている」と現在の企業のIT投資の動向を説明し、「今後はオンデマンド化に対応できるようなインフラの構築が急務だが、グリッドはそれに適した技術である」とグリッドの技術的優位性を積極的に利用していく意向を示した。

またグリッドを実際にビジネスに利用している例として、同氏は製薬会社のAventis、オンライン証券会社のCharles Schwabなどの例や、同社の社内でマイクロプロセッサやZ Serverのデザイン、ベンチマークテストなどの分野でグリッドを利用している例を挙げた。そして今後さらにビジネス分野にグリッドを応用していくためにはグリッドミドルウェアの整備が不可欠であり、そのために現在DataSynapse、AVAKIなど複数の企業とそのためのソフト開発で協力関係を結んでいる、と同氏は述べた。

そしてトリを飾った高野氏は、最近の企業の情報システムにおけるキーワードとして「異機種混合」「分散システム」「複雑さへの対応」の3つを挙げ、これらの問題を解決するのにグリッドは極めて有効な技術である上、グリッドの利用によりTCOの削減や他企業とのコラボレーションなどさらに大きな効果も期待できる、と述べた。その上で同社ではWebSphereやeServer、DB2といった製品系列のグリッド化を進めると共に、顧客システムのグリッド化に向けたコンサルティング機能を強化していく方針を改めて強調していた。

高野孝之氏
DB2を中心とした仮想データベースの概念図

なお高野氏は、この前に行われたグリッド協議会のプレスセミナーにおいて、商用グリッド技術の開発においてビーコンITと共同で技術開発を行うことを明らかにした。具体的にはDB2においてOracleやSybase、Adabasなどの異なるRDBMSを単一仮想DBとして扱うためのwrapperをビーコンITが開発し、それを日本IBMが支援するというもので、これにより異なるDB間を連携させたアプリケーションの開発が容易になりデータグリッドを使ったサービスが実現できる、と同氏は述べた。

(佐藤晃洋)

IBM
http://www.ibm.com/

Global Grid Forum 7
http://www.gridforum.org/Meetings/ggf7/



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