【Global Grid Forum 7レポート】GGF初の日本開催、初日プレスセミナー

 

グリッド関連の研究・開発などに関する国際会議「Global Grid Forum(GGF) 7」が4日より新宿の京王プラザホテルで開催されている。初日の4日は、本格的なセッションが5日より始まるのに先立ち、一般向けのチュートリアルに加え、日本におけるグリッドの研究活動の中心であるグリッド協議会が主催するプレス向けセミナーなどが行われた。本稿ではそのプレスセミナーの模様をご紹介する。

○グリッドは基盤の標準化から実運用のステージへ

まず最初に登場したのは、GGFの会長を務めるCharlie Catlett氏。同氏はGGFの組織概要についてまず簡単に説明し、GGFの参加者が一昨年あたりから急増し今回も約800名の参加者が見込まれていること、またGGFのスポンサーとなる団体も51団体に上っていることを明らかにした。

GGF参加者の推移
Charlie Catlett氏(左)と通訳を務めた東工大の松岡聡教授

そして会場からの質疑応答の中では、今回のGGFでは「Open Grid Services Architecture(OGSA)」の標準化作業、中でもセキュリティ関連の話題が大きなテーマになると述べ、「基盤となる技術が固まらないとその上のレイヤの研究が進まないし、標準基盤があれば研究者同士が成果を相互利用できる」という点からOGSAの標準化の必要性を改めて訴えていた。他に「グリッドが普及すると個人レベルにはどのような影響が考えられるか?」という質問に対しては、「確かにグリッドはエンタープライズ向けの技術ではあるが、現在でも個人がWebを利用するときには裏で大規模データベースが動いているケースは珍しくなく、その部分がグリッドに置き換わることで個人にも十分恩恵はある」と述べた。

今グリッドで最も注目すべきアプリケーションについては「私は研究者なのでどうしてもライフサイエンス関連の話題になるが…」と前置きした上で、「計算とセンサを融合したサービス(例:脳外科手術の際に各種センサが捕らえた情報をコンピュータが自動的に計算して、医師に次にどうすべきか情報を与える)」「異なる組織間での大規模なデータの共有」の2つを挙げた。なお欧米におけるグリッドの現状については、研究所レベルから徐々に一般企業へと採用の動きが広がっており、既にBowingやJohnson & Johnsonといった有名企業がグリッドの採用に意欲を示している(Johnson & JohnsonはGGFのスポンサーでもある)ことから、今後もグリッドは着実に普及していくだろう、との見解を示していた。

○日本がアジア太平洋地域のグリッド研究のリーダーに

続いて登場したのは、日本のグリッド研究といえばおなじみ、産業技術総合研究所(産総研)の関口智嗣氏。同氏は日本においても来年度から文部科学省の「超高速コンピュータ網形成プロジェクト(National Research Grid Initiative:NAREGI)」、経済産業省の「ビジネス・グリッド・コンピューティング・プロジェクト」という2つの大きなグリッド研究のプロジェクトが立ち上がることに加え、今回のGGFの開催によって「グリッド研究において日本がアジア太平洋地域のリーダーとして認知されたのではないか」と述べた。また同氏は今後も産・学・官が共同でグリッド技術の研究や標準化を進める意向を示した。

産総研の関口智嗣氏
グリッド研究における協力関係を示した図

ただグリッドコンピューティングにはどうしてもバックボーンとなる高速回線が必要不可欠だが、会場から「グリッドに関して、総務省やWIDEプロジェクトなどInternet関連を扱う団体との連携は図らないのか?」との質問が飛ぶと、同氏は「通信総合研究所(総務省管轄)と連携することは決まっており、またWIDEとも話はしていて村井(純、慶応大教授)先生なんかはかなり興味を示してくれている」「我々はコンピュータ側から来たコミュニティであり、今後ネットワーク側のコミュニティと融合していく必要がある」と述べ、Internet系の研究機関との連携に意欲的な姿勢を見せた。

○グリッドに注力する各メーカーの動きは?

セミナーの後半は日本IBM・富士通・NEC・Force10 Networksの4社から、各社が現在グリッドに対して行っている取り組みについて説明があった。日本IBMについては別途単独のプレスセミナーも行われたためそちらで詳しくご紹介することにして、本稿では残る3社についてご紹介したい。

CAD-GRIDの概要
まず富士通は、日本国内では先日本誌でもレポートした「ITBLプロジェクト」や大学間を結ぶ超高速ネット「スーパーSINET」を使ったグリッド研究など、海外ではドイツ政府の「UNICOREプロジェクト」などに参加しているほか、自社内でも既存サーバやPCの計算能力をフル活用して新製品の設計期間を1/3に短縮することを目標とした「CAD-GRID」や、ブレードサーバをベースとして自律制御により自分の現在の状況の分析やリソース割り当て・障害時のリソース再配分などを可能にする「オーガニックシステム」などの開発を行っていることを明らかにした。

一方NECは、自社のExpressブレードサーバを阪大を中心とした「バイオグリッドプロジェクト」(156CPU)や東工大のキャンパスグリッドプロジェクト(800CPU)に提供した事例を紹介し、Globus ToolkitのIA-32サーバへの移植やハードの提供はもちろんのこと、サーバ性能のチューニングなどで他社に負けないノウハウを持っていることを強調した。講演に立った同社の中西浩一氏は「今後はシステムとしてのグリッドを使うために、Globusなどでは埋めきれない隙間を埋めていく作業が必要であり、そのためのソフト開発に積極的に取り組んでいく」と述べた。

現状のソフトウェアスタックの概要図。中央に隙間が空いている
隙間を埋めたところ

最後に登場したForce10 Networksは1999年に設立されたネットワーク機器メーカーで、10Gbit Ethernetスイッチを得意とするため、おそらくは会社名に耳なじみのない読者が大半を占めるだろう。ただグリッドには欠かせないバックボーン側の超高速スイッチの分野では着実に成果を上げており、全米科学財団(NSF)が展開する「TeraGrid」プロジェクトや、産総研のグリッドデータファームなど多くのグリッドプロジェクトで同社のスイッチが採用されているという。今回講演に立った同社日本法人の田中克和代表取締役は「グリッドにおいてネットワーク部分の重要プレイヤーの一人となることを目指す」と述べ、今後通信キャリア向けなどと並んでグリッドを同社の最重点項目の一つとして取り組んでいく意向を示した。

TeraGridの全体トポロジー図
各拠点内部のトポロジー図。同社の「E1200」シリーズが使われている

(佐藤晃洋)

【レポート】バイオグリッドシンポジウム - 目指すはバイオとITの融合
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/03/04/19.html

【レポート】ネット上に巨大な研究環境を実現させる「ITBL計画」(1)
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/02/18/05.html

グリッド協議会
http://www.jpgrid.org/

Global Grid Forum 7
http://www.gridforum.org/Meetings/ggf7/



IT製品 "比較/検討" 情報

転職ノウハウ

あなたが本領発揮できる仕事を診断
あなたの仕事適性診断

シゴト性格・弱点が20の質問でサクッと分かる!

「仕事辞めたい……」その理由は?
「仕事辞めたい……」その理由は?

71%の人が仕事を辞めたいと思った経験あり。その理由と対処法は?

3年後の年収どうなる? 年収予報
3年後の年収どうなる? 年収予報

今の年収は適正? 3年後は? あなたの年収をデータに基づき予報します。

激務な職場を辞めたいが、美女が邪魔して辞められない
激務な職場を辞めたいが、美女が邪魔して辞められない

美人上司と可愛い過ぎる後輩に挟まれるエンジニアの悩み

人気記事

一覧

イチオシ記事

新着記事

【コラム】JR西日本の車両・列車 第21回 阪和線用新型「225系5100番台」いよいよ7/1デビュー
[22:59 6/30] ホビー
結婚したくない理由、独身男性の2割が「経済的に不安」
[22:52 6/30] マネー
「ばくおん!!」キャラ&愛車のラバーマスコット、カプセル自販機に登場
[22:42 6/30] ホビー
クレジットカード不正使用被害額、3カ月で37億円 - 前期比39.6%増
[22:31 6/30] マネー
アニメ「この美術部には問題がある!」キャスト集合の放送直前特番
[22:31 6/30] ホビー

求人情報