【IDF Spring 2003レポート】 IntelのPCI Expressについての取り組み(2)

○モバイル向けのソリューション

モバイル向けのキーワードは、「NEWCARD」である。コレ自体は新しいPCMICAの仕様だが(PCMCIA、PCカードの新仕様「NEWCARD」を策定へ、対応製品は2004年に登場 )、使われるインタフェースがUSB 2.0とPCI Expressということで、一気にノート向けにもPCI Expressの弾みがつきそうである。さてそのNewCard、サイズ的には現在のPCMCIAよりもやや小さいくらいの大きさである(Photo12,13)。

Photo12:NewCardにはSingle WideとDouble Wideの1種類が存在する
Photo13:別のセッションのプレゼンテーションから。大きさのイメージを掴むにはこちらの方が判りやすいだろう

一方、インタフェースはというと、1xのPCI Expressと、USB 2.0の両方のインターフェースが提供され、カードの側は片方だけ使っても良いし、両方使っても良いことになっている。このあたりはカードの構成次第ということだろう(Photo14)。ちなみにホスト側の配線はこんな具合(Photo15)となっている。ちなみにこのNewCardを、デスクトップ及びモバイルに利用した場合のインプリメント例も示された(Photo16,17)。

Photo14:両方のインタフェースとは言え、どちらもシリアルバスのため、大幅にピン数を削減することが可能になっている
Photo15:(体積が倍以外の)SingleとDoubleの差は、供給電力の差である。シングルで1.2W、ダブルで2.4Wとなっている
Photo16:デスクトップ向け例。Yamashita氏のレポートのMarble Fallsのほう、よく見るとNewCardが突き刺さっているのが判る
Photo17:モバイル向けでは、「この通り蓋側に装着も出来る」なんて例が示されたが、冷静に考えるとあまり意味が無い気がする。ちなみにカードのイジェクト機構は今後検討してゆくそうな

また、NEWCARDと比べるとやや陰が薄い印象を受けたが、Mini-PCI Expressに関する話題もあった(Photo18)。カードサイズは現在のMini-PCIの半分になっているが、これに関するコンセプトがちょっと面白い。例えば無線LANの場合、最近は802.11a/11bデュアルとか、802.11b/11gデュアルといった製品が登場しつつある。MiniPCIのコネクタを複数設けるのが苦しい事態は容易に想像できるため、こうした複数の機能を持つMini PCIカードは少なくない。が、Mini-PCI Expressではマルチファンクションカードをむしろ減らし、単機能に絞ったカードを複数枚装着する事を推奨している(Photo19)。無線LANを実装したテストカードは既に存在しており、今後各種のカードが更に登場してきそうだ(Photo20)。

ところでちょっと気になったのは、NEWCARDにおける消費電力である。1.5Vと3.3Vの両方が供給され、Singleの場合最大1.2Wまで利用可能となっている訳だが、本当にこれで足りるのか? というのが気になる。例えばUSBの場合、バスパワーで供給されるのは、5V・500mWで2.5Wとなる。マウスなどのデバイスだと0.5Wもあれば動作するのが普通だが、そうではないデバイスの大半は、この2.5Wをフルに使うことが多い。PCI-Expressの方は更にシビアである。1xとはいえ、2.5GHz駆動するPHY(物理層コントローラ)を搭載して、果たしてトータルの消費電力が1.2Wに収まるのか? このあたりはカードメーカーに聞いてみたいところだ。

Photo18:最近Mini PCIカードは単にPCだけでなく、無線ブロードバンドルータを初めとする周辺機器系や、一部の情報家電などでも使われる様になってきており、NEWCARDとはまた別のマーケットがMini-PCI Expressにもあると思われる
Photo19:丁度半分のサイズ。このサイズだと、PDAへの装着も現実的に思える
Photo20:カードが小さいためか、アンテナのコネクタが大きく見える

○CSAの謎について

昨年末に書いたPCテクノロジートレンドの中で、Canterwood/Springdaleの各チップセットにCSA(Communication Streaming Architecture)ポートが用意され、これでGbEを接続することになっている話をしたが。この中でCSAをPCI Expressのサブセットとして紹介した。ところが、今回このCSAに関するセッションの資料を見る限り、どうもCSAの正体はPCI Expressとは異なるらしいことが明らかになった。

Photo21:メモリが2チャンネルになっている事からも、このチップセットがCanterwoodかSpringdaleのどちらか(というか、両方に共通している)という事が判る
Photo22:この書き方を見る限り、PCI Expressの様な片方向リンクを2本組み合わせたというよりも、ベースクロック66MHzでデータを4倍速動作にしたバスと見なすほうが正しい

Photo21はCanterwoodもしくはSpringdaleのブロック模式図である。PCIバスの先に接続したGbEコントローラよりもCSA経由の方が効率が良い、という話なのだが、ここでCSAの最大転送速度が266MB/secなのがちょっと気になる。PCI Expressの転送レートは2.5Gbps、実効データレートは双方向で500MB/secになる筈で、266MB/secという数字にはあまりにマッチしない。しかも物理インターフェースは66MHzで、4倍速動作となると、これはPCI ExpressというよりはIntelのHubLinkに限りなく近いものになる。(Photo22)実際、HubLinkを使えば266MB/secで、GbEの最大2Gbps(およそ200MB/sec)の帯域に十分マッチすることになる。実際測定結果を見ると、CSAを使うことで実行転送速度を大幅に上げられる事が示されており(Photo23)、効果があることは判るが、この程度の帯域であれば別にPCI Expressを使う必要はないということだろう。

Photo23:パケットのサイズを変えながらの実行転送速度の測定結果。ちなみにGbEは全二重なので、上り下りをあわせると、最大2Gbpsの転送速度になる

実はこれに関しては、PCI SIGのTony Pierce氏(Photo24)も同じ事を言っていた。デスクトップ向けとしては、まずグラフィックスが立ち上がるとした上で、「本当ならばGbEはPCI Expressにとって良いアプリケーションなのだが、CSAがある限りコチラが使われる様に思う」としており、また「CSAはPCI Expressのサブセットではないのか?」という質問には「私が理解する限り違う」という返事が帰ってきた。

というわけで、状況を見る限りCSAはPCI Expressと何の関係も無いと思われる。なお、Photo23に出てきている82547EIというチップは、Photo09のKenai IIの事と思われる。サーバー向けには2004年の段階でCranbrook/Dual Northwayに切り替わってそのままPCI Expressが使われるわけだが、Pierce氏の言い方からすると、デスクトップ向けは引き続きKenai IIが使われるのかもしれない。



 Photo24:PCI SIGのChairman of the boardであるTony Pierce氏。

○ということで

それなりにPCI Expressはかなり現実のものに近づいている。問題は、チップセットだろう。サーバー向けには2004年の時点でチップセットが用意されることが明らかにされたが、デスクトップやモバイル向けには現時点では何のプランも公開されていない。インテルとしてはとりあえずCanterwood/SpringdaleやOdem/Montara-GMの立ち上げに専念するということなのかもしれないが、構成要素ばかり出てきても肝心のプラットフォームが無しではいつ立ち上がるのか見当がつかない。

一応、デスクトップは2004年あたり、PrescottコアでFSBが1066MHzに上がるタイミングでPCI Expressを搭載するチップセットに変わると言う話が聞こえてきているが、そのあたりが公開されるのは早くて今年秋のIDFになりそうだ。もうしばらくは待つしかないのかもしれない。

(大原雄介)

【IDF Spring 2003レポート】 IntelのPCI Expressについての取り組み(1)
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/02/28/27.html

【News Special】IDFレポート
http://pcweb.mycom.co.jp/news/special/2003/02/08/02.html



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