【IDF Spring 2003レポート】明らかになったCentrinoの性能と802.11gへの対応

Pentium Mのダイ構造。各々の特徴については、上掲の記事を参照してほしい

次は多くの読者が期待している、BaniasことCentrinoプラットフォームに関する話題である。結論から言うと今回のIDFでは、Pentium Mの内部構造に関する詳細な話題は皆無だった。一応、コチラコチラで、内部の各ブロックに関する話をしているので、興味あるかたはご参照いただきたい。今回のネタは、パフォーマンス/消費電力とその他の追加情報である。

○Performance & Power Consumption

長らく「低消費電力で高性能」と言われつづけていたPentium Mだが、今回やっと(相対値ながら)性能と消費電力が公開された。Photo01がその結果だが、Mobile Pentium III-M 1.2GHzとMobile Pentium 4-M 2.4GHz、Pentium M 1.6GHzの3つを比較した状態で、アプリケーションのピーク性能、およびバッテリ寿命を最大化するモードでの電池持続時間の両方で、Pentium Mが高い性能を持つことが示された。

これを端的にしめしたのが、Yamashita氏の記事にも出てきた、実際の動作デモである。縦軸は消費電力(W)になっており、横軸が時間経過だ。ここで山になっている部分がCPUの処理が行われている時間だが、ここから

  • 稼動時の消費電力は、Mobile Pentium III-Mを少々上回る程度、Mobile Pentium 4-Mと比較すると3分の1程度になる。しかも処理時間が少ないため、合計の消費電力という意味では更に差が広がる。
  • 待機時の消費電力は0.2~0.4W前後と、Mobile Pentium III-Mの1W前後を更に切るものになっている。もちろん、待機ですら4W近くを消費するMobile Pentium 4-Mとは比較にならない。
  • 稼動時の平均消費電力も、10W~15Wのなかで緩やかに変動しており、時折スパイク状に消費電力は下がるものの、平均的な消費電力変動が3W前後に抑えられているMobile Pentium III-MやMobile Pentium 4-Mよりも効率的に動作している。

といった事が読み取れる。最初と2番目の項目については、Pentium Mの効果的なアーキテクチャによる高い性能、および徹底した省電力機構が功を奏していると考えられ、一方3番目の項目については、Centrinoで追加されたEnhanced SpeedStep Technology(負荷に応じて、周波数と電圧を更に細かな段階に分けて制御する)が効果的に働いていると見ることができそうだ。

厳密にはこのテスト結果、(チップセットは元より)グラフィックチップが全然違うとか、どんなテストを行ったか明示されていないなど、一般的な数値として取り扱うのはちょっと難しく、ある環境ではこうした数字が出る、という程度に認識しておくのが正解だろう
横軸は1目盛りが5秒にあたる

○Centrino Platformの構成

さて、既に触れたことではあるが、Baniasという名前はプロセッサとプラットフォームの両方のコード名であった。だから

コード名 正式名称
Baniasプロセッサ Intel Pentium Mプロセッサ
Baniasプラットフォーム Intel Centrino Mobile Technology

Yamashita氏のレポートにもある通り、既に90nmプロセスで製造されたDothanの最初のシリコンが出来てきている。現在のラインナップを越える周波数の製品は、このDothanに切り替わる模様だ

ということになっていて、ちょっと判りにくい。で、ここからはCentrino側の話である。既に知られている通り、Centrinoはプロセッサ+チップセット+無線LANカードという3つの要素から成立する。このプラットフォームにおいて、Pentium Mは1.3~1.6GHzの製品のほか、低電圧版の1.1GHz、および超低電圧版の900MHzという合計6種類の製品が当初リリースされることが(改めて)確認された。もっともこれ自身は別に目新しい話ではない。

これと組み合わされるチップセットはIntel 855ファミリーになる。当初リリースされるのは、以前からOdemのコード名で呼ばれていた製品で、グラフィックを内蔵しないタイプのものだ。これに引き続きIntel 855GM、従来Montara-GMのコード名を持つグラフィック内蔵タイプがリリースされる模様だ。

Odem(Intel 855PM)を利用したCentrinoプラットフォームの構成
ICHにはICH4-Mが採用される。USB 2.0の公式サポートは嬉しいが、どうせならSerial ATAをサポートしたICH5(?)にして欲しかった気も少しする

このIntel 855GMに内蔵されるものはExtreme Graphics2と呼ばれるものだ。Extreme Graphicsは、Intel 845G/GEなどに内蔵しているグラフィックコアの事で、これの拡張バージョンという話があった。折しもデスクトップ向けにまもなく登場するSpringdale-G(Intel 865G)も、このExtreme Graphicsを継承する(一説にはグラフィックコアが400MHz駆動になるそうで、一層の高速化の方向に向かっている)のだが、製品の性質を考えると消費電力を下げる方向にチューニングされていると思われる。

ところで気になるのはCalexicoの名前で知られる無線LANカードである。従来Intelは802.11a/bのデュアルバンドソリューションを提供する路線でずっと進んできているが、ここにきて急速に802.11gが立ち上がりつつあるのと同時に、802.11aに追従しないベンダーが増えてくるなど、雲行きが怪しくなってきている。802.11aのソリューションを捨てる必要はないにせよ、802.11gへの対応は必要と考えられるところだ。

これに関して質疑応答のセッションで、2003年中に802.11gのソリューションをリリースする予定がある事が明らかにされた。厳密に言えばまだ802.11gは正式なスペックが定められていない状態(現在世の中に出回っている802.11gカードは、全部802.11gのドラフトに準拠したものであり、正式なスペックが定まり次第、ファームウェアのアップデートで対応するとしている)なので、現時点でのサポートは難しいとの事だったが、他社から802.11a/b/gのトリプルコンボカード/アクセスポイントの出荷が秒読み態勢に入っている現状を鑑みると、今年中に802.11gのサポートを追加したCalexicoの新バージョンが出荷開始されそうである。

(大原雄介)

【News Special】IDFレポート
http://pcweb.mycom.co.jp/news/special/2003/02/08/02.html

インテル、モバイルコンピューティングの未来はBaniasと4つの指針
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/08/29/06.html

【インタビュー】新プロセッサ「Banias」とは? チャンドラシーカ氏に尋ねる
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/04/18/24.html

54Mbpsの高速無線LAN規格802.11gのドラフトが承認 - 6月に最終承認へ
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/02/17/20.html



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