【IDF Spring 2003 レポート】プロダクトショーケース(2) - 低温ポリシリコン・他

○低温ポリシリコン

ちょっと変わった展示がこれ。昨年からIntelはモバイル向けのバッテリー寿命を延ばすべく様々な取り組みをしているが、その一環の展示である。現在のノートの消費電力で大きな割合を占めるのがLCDであることはよく知られている。したがってどうやってこれを削減するかについて色々な取り組みがなされており、その有力候補のひとつが低温ポリシリコンだが、従来携帯などに使われた例はあるものの、大型(13~14.1インチ)のものを製造するのは非常に難しく、現状はPDAどまりとされる見方が一般的である。

ところが今回会場では、14.1インチのXGAサイズの低温ポリシリコンパネルが展示された。パネル自体は東芝が製造しているもので、これを別のベンダーのノートPCに組み込んだものである。Photo05で、左が従来のLCD、右が低温ポリシリコンだが、ご覧のとおり輝度が上がっている事が判る。それでいて消費電力は20~30%ほど下がっているとしている。

 Photo05:ちなみに液晶側はスケルトンとされ、液晶の駆動回路自体も低温ポリシリコンを使うことで小型化できることをアピールしていた。

消費電力が下がる理由は、少ない電圧振幅で駆動できるために、駆動電力自体を抑えられる事であり、輝度が上がる理由は、液晶の各セルに占める駆動トランジスタの面積を大幅に抑えられるため透過率があがり、よりバックライトの光を効率的に使えるからだそうだ。したがって同じ輝度でよければバックライトの明るさを更に抑えられる訳で、これは一層の消費電力低下につながる事になる(Photo06)。

 Photo06:会場に示された動作原理のポスター。電子の移動速度が速い理由の図がちょっとおかしい。ちなみに「この説明で判ったか? そうか、じゃ、この紙にこのブースの番号を書いておくから、出しておいてくれ」この紙というのは、「どのブースの展示が良かったか」を3つ選ぶ紙。親切というか、抜け目がないというか(笑)。

問題は価格である。「低温ポリシリコンの歩留まりはかなり低いはずだが?」という質問の答えは「そもそも液晶の歩留まりが低い(笑)」だそうで、現実問題として当初はかなり高くなるかもしれないが、量産に入れば(既存の液晶との)価格差は10%程度に抑えられるそうである。実現すれば結構うれしい話である。

○Silicon Image Sil3115

前項にもちょっと書いたが、現在のSATAマーケットではSilicon ImageのSil3112が大きなシェアを誇っている。某社のエンジニアが評して曰く「ものすごい売れてて、きっと笑いが止まらないでしょうなぁ」というこの製品だが、まもなく後継となるSil3115がリリースされる(Photo07)。この製品、機能的には既存のSil3112と特に違いはなく、もっぱらチップサイズを小型化したのが最大の特徴。機能はフルコンパチブルだそうで、マザーボードへの搭載などで重宝されそうだ。

 Photo07:一回り小さくなったコントローラに注目。

ちょっと面白いのは同社の戦略。現時点では3wareとPromiseがSATAのコントローラ製品(Promiseはカードとコントローラの両方。3wareはカードのみ)を出荷しているが、いずれも単なるコントローラではなくRAIDの機能を持たせたものをラインナップしている。これについてSilicon Imageは「当社はあくまでもコントローラに徹しており、RAIDなどの付加機能は当社の製品を購入したベンダーが付加価値としてつける事になる」としている。確かにそれはありえるのだが、そうなると外付けでRAIDコントローラが必要になり、コストや実装面積のみならず、パフォーマンスのオーバーヘッドという点でも不利なわけだが、それでもRAIDコントローラ内蔵タイプは作らないという。ただ明言は避けられてしまったが、どうもSATAのコントローラをIPとして他社に販売もしているようで、そうしたビジネスがあるから自社でコントローラを作る必要はないと割り切っているようだ。

同様のことはNECでも聞いた。USB 2.0コントローラで一時期は大きなシェアを握ったNECだが、これに続くものとしてSerial ATAのコントローラをやっているという話を前回のIDFで伺った。で、現状を聞いてみると、確かにコントローラの開発はほぼ終わったらしいのだが、USB 2.0の時の様にディスクリートチップで出荷するのではなく、同社のASIC向けIPコアとして提供するのだと言う。同社は最近ASICビジネスのモデルをちょっと変更し、コモディティ向けの低価格ASIC製品と、ハイエンド向けのASIC製品にラインナップを改めたらしい。このハイエンドのIPには、例えばPCI-Express向けのPHYなどが含まれる訳だが、Serial ATAもこのハイエンド向けのIPとして提供される予定だそうだ。

(大原雄介)

【IDF Spring 2003 レポート】プロダクトショーケース(1) - SATA RAID・他
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/02/20/16.html

IDFレポート
http://pcweb.mycom.co.jp/news/special/2003/02/08/02.html

Intel
http://www.intel.com/

Intel Developer Forum
http://developer.intel.com/idf/us/spr2003/

Intel Developer Forum Japan
http://www.intel.co.jp/jp/developer/idf-j/



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