【レポート】国際化ドメインプレフィックス確定の持つ意味

 

2月12日、「.jp」ドメインのレジストリを務める日本レジストリサービス(JPRS)から一つのプレスリリースが出された。それは「国際化ドメイン(IDN)技術の一構成要素であるPunycodeのprefixとしてxn--を選定」というものだ。一見そっけないこのプレスリリースだが、実はこのリリースこそが、ついにIDNの本格運用を行うための前提条件が全て揃ったことを示す重要なものなのだ。なぜこのリリースがそのような意味を持つのか、本稿ではその理由と影響について説明していきたい。

○なぜprefixが決まるとIDNの本格運用が可能になる?

まずこの理由を説明するためには、IDNを利用するための仕組みを押さえておく必要がある。IDNの基本的な仕組みについては以前別の記事(「最新IT用語解説」第11回 http://pcweb.mycom.co.jp/career/ityougo/2001/011.html)で詳しく説明したことがあるのでそちらを参照して欲しいが、最終的に日本語(あるいは別の言語)からアルファベットに文字列を変換する仕組みとしては、当初有力候補だった「RACE」方式ではなく「AMC-ACE-Z」方式が採用され、同時に方式の正式名称も「Punycode」と改称された。

ところが単に日本語をアルファベットに変換するだけでは、実際にIDNを利用するためには一つ不都合がある。例えば「毎コミ」をPunycodeでアルファベットに変換すると「tckue107r」という文字列になるが、IDNを識別する目印がない状況でもし既に「tckue107r.com」などというドメインを持っている人がいると、「毎コミ.com」をPunycode変換した後の文字列と全く同じドメイン名となってしまい、ドメインが衝突してしまう。そのためIDNでは、Punycodeで変換した後のアルファベット文字列の先頭に特定の目印をつけて「最初にこの文字列がきたらそれはIDNだよ」とわかるような仕組みが取られた。これが今回正式決定した「xn--」というprefixだ。

とここまで書いて「既に日本語ドメイン名はプラグインなどを入れれば使えるじゃないか」と思われる読者の方も多いと思うが、現在の日本語ドメイン名の状況はあくまで日本語→アルファベットの変換にRACE方式を採用した「暫定運用」。今後正式に「日本語ドメイン対応」をうたって登場してくるであろう各種アプリケーションはPunycodeにしか対応しない見込みであるため、既に日本語ドメインで運用されているサーバ群はPunycodeに対応するための設定変更を行わないと、実質的に日本語ドメインが使えなくなってしまうのだ。

例えば、既に利用されている日本語ドメインの一つに「セガ.jp」があるが、現時点でDNSサーバなどに登録されているドメイン名はこれをRACE方式で変換した「bq--gc52y.jp」という名前であり、Punycodeで変換した「xn--mck3a.jp」でアクセスができるようにするためにはサーバの設定を追加しなくてはならない。実際には「セガ.jp」側だけでなく、JPNICが管理する「.jp」全体のDNSサーバの設定変更も必要なため、「xn--mck3a.jp」の設定を追加したからといってすぐにPunycodeによる日本語ドメインの運用が可能になるわけではない。しかし近い将来、Punycodeへの移行が完了した段階でRACE方式によるドメイン名の登録は抹消される予定であることから、設定変更は不可欠な作業だといえるだろう。

逆に今後新たに日本語ドメインを取得するユーザは、基本的にPunycodeで変換した「xn--????.jp」といったドメイン名だけを意識すれば良い。これが「IDNの本格運用を行うための前提条件が全て揃った」と冒頭で書いた意味というわけだ。

○prefixの確定がここまで引っ張られた理由

ところで、prefixの他にIDN導入のために決めなくてはならない事項が残っているならともかく、IDNに必要な技術の標準化作業はかなり前に実質的に終了しており、このprefixだけが長いこと最後の課題として残されていた。普通ならとっととprefixを告知してしまってユーザ側の設定変更を促した方が良いように思えるが、なぜここまでprefixの確定が引き伸ばされたのだろうか。

この理由を説明するためには、話をVeriSignがIDNの登録受付を開始した2000年11月まで遡る。実はこの時に一つ困った問題が起きた。というのも、IDNの登録受付が開始される前に、RACE方式でアルファベットに変換されたドメイン名を先回りして登録し、それを利用してIDNにおいても所有権を主張するユーザが現れたのだ。先程のセガの例で例えれば、「セガ.com」の登録の受付が開始される前に、別のセガとは無関係なユーザが「bq--gc52y.com」というドメインを取得してしまい「セガ.com」も自分のものだと主張する、といった感じだ。

先程から述べている通り、IDNでは最終的にRACE方式(及びprefixの「bq--」)は採用されなかったため、RACE変換後のドメイン名を先回りして取得したユーザの努力は無駄に終わることになったが、今度のprefixは今後長きに渡ってIDN用のprefixとして使われる以上、同じ失敗は許されない。そのためドメイン登録を受け付ける各レジストラでは、Punycodeのprefixの発表前に同じprefixを持つドメイン名の登録をブロックする仕組みをシステムに組み込むことになり、確定prefixはその作業完了まで伏せられることになった。確定prefixの発表が遅れたのはそのためだ。

実際、JPRSのドメイン登録受付サイト( http://jpshop.jp/ )で試しに「xn--mck3a.jp」の登録を申し込んでみると「予約ドメイン名です」と表示され、申し込みが行えないようになっている。筆者が試してみたところ、レジストラによってはシステムの改修がこれからなのか「登録できます(available)」と表示してしまう事業者もあったが、それを利用して「xn--」のprefixを持つドメインの登録を申し込んだところでレジストリの方で却下されてしまうはずだ。

Punycodeを使ったIDNを実際に一般ユーザが利用するためには、対応アプリの整備はもちろんのこと、各レジストリが管理するDNSサーバのレコード内容の変更が必要になるため、まだもうしばらく時間がかかるだろう。ただ今回のprefix決定でIDNの本格導入に向けた障害はほぼクリアされただけに、いよいよIDNが普通に使えるようになる時期が間近に迫ったといえるのではないか。

最新IT用語解説 第11回 日本語ドメイン(Japanese Domain Name)
http://pcweb.mycom.co.jp/career/ityougo/2001/011.html

(佐藤晃洋)

日本レジストリサービス
http://jprs.jp/



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