【レポート】ダイヤルがキーボード!「Fastap Keypad」携帯電話で日本上陸へ(2)

      [2003/02/14]

    ○新機種にプレミアムかつバリアフリー実現で注目度大

    まだ搭載製品こそ市場に出回っていないものの、Fastap Keypadに対する注目度は非常に高い。先月、米国ネバダ州ラスベガスにて開催された「2003 International CES(Consumer Electronics Show)」では、特筆すべき最新技術をテーマにしたパネルセッション「Five Hot Technologies to Watch」において、Fastap Keypadが大きく取り上げられた。

    同社が2001年より2年にわたって、米国および英国で計264名を対象に実施したモニター調査では、約8割の人が、たとえFastap Keypadの搭載で携帯電話の新機種がUS28ドル高くなったとしても、ぜひとも購入したいとの回答を寄せている。また、Strategis Groupがティーンエージャーに対して行った携帯電話に関するアンケート調査では、メーカーへの希望として、大きなカラー液晶ディスプレイよりも、操作性の高いキーパッドの搭載を願うユーザーの数が圧倒的に多くなっている。

     Fastap Keypadコンセプトモデル(1)
     Fastap Keypadコンセプトモデル(2)

    携帯電話サービスを提供する通信キャリアにとっても、Fastap Keypadの導入は大きな魅力だ。一例として、GSM Associationが発表したデータによれば、欧州におけるSMS(Short Message Service)の利用は、携帯電話キャリアの総収入の25%を占めるまでになっている。売上高にして、SMSによる2001年の収入はUS100億ドルに到達。2000年から2002年にかけて、SMSの利用は342%増を記録したという。

    もし入力インタフェースが改善されるなら、1ユーザー当たりのSMSによるトラフィックは25%増になるとの予測データが、GSM Associationによって明らかにされており、いまや世界で毎月240億を上回るSMSが送受信されていることからすると、この増加によりもたらされる収益は非常に大きいとしている。さらに、3Gにも対応するFastap Keypadは、すでにかなりのユーザーに普及し、飽和状態になっているとも言われる携帯電話市場に対して、プレミアム機能でアピールできる新機種を投入できるため、今後の市場をリードしていく製品としての期待度も高い。

    携帯電話でメールやインターネットを楽しむのは、若者だけではない。30代、40代は言うまでもなく、さらに高い年齢層でも利用者が増えている。興味深いことに、Phones 4uが45歳以上の携帯電話ユーザーを対象に実施した調査によると、83%もの回答者が、これまでに1度も携帯電話でテキストメッセージを送信したことがないとしているものの、67%は可能なら利用したいとの願いを明らかにしたという。

    英国はロンドンにてモニター調査に参加した78歳の男性は、参加前は緊急時しか携帯電話でテキストメッセージを送ったことがなかったにもかかわらず、わずか5分でFastap Keypadを使いこなせるようになり、その実用性を認識したと答えている。マルチタップの半分のキータップでメッセージを入力でき、直感的に操作できるFastap Keypadの登場は、携帯電話のユーザー層を大きく広げていくことにもなるだろう。

    もう1点、Fastap Keypadが注目を集めているのは、身体に障害を抱える人のコミュニケーションを促進し、バリアフリーを実現する可能性である。米連邦通信委員会(Federal Communications Commission/FCC)のDisability Rights Officeも、同社の研究開発に関心を寄せているという。

    各アルファベットや数字に独立したキーを割当てているFastap Keypadのデザインは、バリアフリーを達成する製品の基準を定めた「Universal Design Principles for Accessibility」に適合している。快適かつスピーディな文字入力でスムーズなコミュニケーションを実現するため、耳の聞こえない人や発声が困難な人の通信手段として大きな役割を果たすことになるだろう。また、目の見えない人にとってもタッチタイピングが可能であるため、新たな世界を開く製品となるよう期待されている。

    ○日本語対応モデルに高まる期待

    同社は現在、世界中の各メーカーに対して、Fastap Keypadのライセンスおよび技術的サポート提供を行っている。基本的にどの携帯電話モデルにも対応し、アルファベットを用いていれば、どの言語の入力インタフェースでも提供できると発表している。実際、英語に加え、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語、ロシア語など、対応可能な言語は27カ国語に上っている。ベトナム語やトルコ語、アイスランド語までカバーされているというから驚きである。

    現時点では、Audiovox、Futurecom Global、Telus Mobilityの3社が正式なライセンス提供を受けており、開発プロジェクトにはPanasonicも参加している。同社のBusiness Development部門で副社長を務めるChris Hare氏によると、まだ具体的な発売時期は明かせないものの、すでに年内に欧米でのFastap Keypad搭載製品の販売開始が決定しているという。

    また、喜ばしいニュースとして、同氏は現在、日本語オリジナルのインタフェースでFastap Keypadを発表するため、社内で熱心な研究開発が進められていることも明らかにしている。ひらがな/カタカナの各文字に独自のキーが割当てられるレイアウトが用意されており、欧米での発売に続いて、早期に日本市場へ本格的に進出する計画が立てられているという。

    同社は、Fastap Keypadの入力インタフェースとしての完成度に自信をもっているものの、音声認識技術との統合の可能性についても検討している。音声認識インタフェースは、認識精度が低い、公共の場所ではプライバシーを保てない、登録語彙に限りがあるなどの問題点から単体では十分に利用できないが、運転中など手を自由に使えない状況では威力を発揮する点に注目しているという。とはいえ、CPUパワーやメモリ容量などを大幅に高める必要もあるため、Fastap Keypadと音声認識技術を統合した入力インタフェースは、まだ実用レベルには達していない。

    主に携帯電話をターゲットにし、これまでFastap Keypadの研究開発が進められてきたものの、これは第1弾製品でしかないとの計画を同氏は語っている。PDAや電子ブック、ゲーム機、TVリモコン、GPSナビゲーション、MP3プレイヤーなどのコンシューマ向け製品から、ウェアラブルPC、医療機器、バーコードスキャナ、コックピット、兵器などの専門的な分野に至るまで、実に多彩なデバイスの入力インタフェースとしての対応が視野に入れられている。

    今回の取材に当たり、同氏は「We have many exciting innovations coming」と語ってインタビューを締めくくっており、今後の発表にもかなり期待できそうだ。

    (湯木進悟)

    【レポート】ダイヤルがキーボード!「Fastap Keypad」携帯電話で日本上陸へ(1)
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