【Platform Conference 2003レポート】全方位のSamsung - DDR400は今年4月にランプアップ

ここからは個別のメーカー毎に、ロードマップなどを含めつつ紹介していきたい。まずはメモリベンダーで現在唯一の勝ち組のポジションに居るSamsungである。

○すべてを作り続けるSamsung

2002年のメモリ戦争を勝ち抜いたSamsungだが、2003年以降の戦略は「多量多品種」という様相を呈している。PC向けのDDR IやDDR II、一部PC向けやコンシューマゲーム・特定用途向けのDRDRAM、ネットワーク向けのNetwork DRAM(FCRAM)、グラフィックコントローラ向けのGDDR/GDDR II、携帯機器向けのMoble DRAMなど生産するラインナップは多く、しかもどれもそれなりの数量を生産する予定だ(Photo01)。しかも、どんどんコアのシュリンクや高速化/大容量化が進んでいる(Photo02)。例えばただのSDRAMについても、今年初頭にPC166の量産に入っているなど、製品ラインナップのすべてを進化させているのが象徴的である。もっともこれは、SamsungのストラテジーがIntelとか一時期のSiS同様、とにかく巨大な供給能力を持つFabを遊ばせないために、製品を作って売りつづけなければいけないというシステムになってしまったが故、と言えなくも無い。では、製品別にもう少し詳細なロードマップを見てみよう。

 Photo01:「アプリケーションに合わせて最適なメモリを」というコンセプトに間違いはないのだが、例えば本稿では省いたNetwork関連など、DRDRAM/Network DRAM/NtRAM/QDR SRAM/DDR SRAMと5品種がラインナップされており、やや品種過剰な感も。
 Photo02:大まかな製品ロードマップ。今年はじめからDDR II400/533も同時に供給し、2005年にはDDR II677まで供給開始になる、というかなり前倒しなスケジュールである。

○DDR400:今年4月にランプアップ

DDR400を最初に供給できるのは、既に(DDR400とは微妙に違う)400MHz動作のDDRメモリを供給開始しているSamsungがやはり一番早いようだ。4月にはx4/x8のE-dieをC/S(Customer Sample)供給が開始され、5月には量産を開始。x16のF-dieは1ヶ月ほど遅れるが、それでも6月には量産が開始される(Photo03)。ちなみにx4/x8/x16というのは1個のチップが何ビット分のデータを出せるかという幅のことで、1本のDIMM(PC3200)が64bitだから、これを構成するためにはx4なら16個、x8なら8個、x16なら4個のチップがそれぞれ必要と言う計算になる。ちなみにチップの容量は512Mbit、つまり64MBだからx4だと1GB、x8で512MB、x4で256MBという計算になる。一応128Mbit品、256Mbit品についても400MHz動作の製品は順次増やしてゆくようだが、本命はこの512Mbit品とSamsungは考えているようだ。同社は今年は急速に1GB/2GB DIMMの需要が増えると考えており、このためには128Mb品や256Mb品では力不足という判断である(Photo04)。

 Photo03:DDR SDRAMのロードマップ。ちなみにE-Die/F-Dieというのはダイの種類を示し、A-dieから順に付けてゆく。だからE-Dieなら第5世代、F-Dieなら第6世代ということになる。
 Photo04:Microsoftの.NET Server(Windows Server 2003の事)が大容量DIMMのトレンドを引き起こす、と同社では分析している。というよりは引き起こしてくれ、という願望にも読めなくない。

ちなみにDDR400のYield(歩留まり)にも触れられており、当初は40%弱であるものの、来年には70%を超える程度になるとしている(Photo05)。この40%弱というのは絶妙な数で、価格は高騰する(なにせ同じだけ作ってもDDR333の半分未満しか使い物にならないのだから、価格的は倍以上にせざるを得ない)ものの、供給に不足をきたすほどではない(これだけ価格が高いと、需要がそう大きい訳ではない)からだ。この状態も来年第1四半期あたりにはほぼ解消し、この時点でのDDR333との価格差は20%程度だろう、とSamsungでは予定している。

 Photo05:DDR266は現状でほぼ100%、DDR333は80%を超えるYieldを現状で確保している。それに比べるとまだDDR400のYieldは低い。

○DDR II:2004年の立ち上がりを予定

DDR IIメモリに関してもSamsungの立ち上がりは早い。同社は2004年初めにはDDR II533の、2005年にはDDR II667のデマンドが立ち上がる(マーケット全体が立ち上がる、とは必ずしも言えないようだが)と見ており、これに向けて他社よりもかなり早くDDR IIを投入する見通しだ(Photo06)。もっとも、2004年は専らDDR400がメインで、本格的に立ち上がるのは2005年になる。この2005年にはDDR II677も立ち上がり、2006年には完全にDDR IIにマーケットが移動する、というのがSamsungの見通しである。

 Photo06:DDR333/DDR400/DDR II533は2本の線があるが、下側は64bit幅、つまりDIMMを1チャネル利用するもので、上側はDIMMを2チャネル利用する128bit幅を示す。
 Photo07:スピードの遷移もさることながら、2006年には1GbitモジュールがメインになるとSamsungでは見ている。1Gbitチップを使うと、16チップのDIMMモジュールの容量は2GBにも達する訳で、プラットフォーム側の対応が気になるところだ。

ここでちょっとDDR IIメモリの主要な特徴を見てみよう。Photo08はDDRとDDR IIの主な違いを比較したものだが、大きな違いは電圧の低下、ODT(On Die Termination)、それとPosted CASという仕組みである。コア電圧の低下は、高速動作に欠くことは出来ない機能である。基本的には400MHz~667MHzでデータを送る際に2.5Vでは振幅が大きすぎて高速化できないので電圧を下げた訳で、同時にコア電圧も1.8Vに下げたわけだが、これによる効果はかなり大きい(Photo09)。ほぼすべての動作モードで、動作速度があがりつつ消費電力を半減させることに成功している事が判る。単にデスクトップだけでなく、ノートPCにとってもこの効果は大きい。

 Photo08:細かく言えば、バンクの数(8バンクはまだ未定ではあるが、採用されそうだ)、パッケージ、など色々違いはある。
 Photo09:流石にスタンバイ時の差は小さいが、逆に動作時(例えばldd7)はかなり消費電力に差がある。

On Die Terminationとは、メモリバスのターミネータ(終端抵抗)をチップ内部に内蔵するという仕組みである。これにより、メモリスロットの横にターミネータを装備する必要がないからマザーボード側の実装面積、コストともに削減できると共に、信号伝達特性を向上させられるという仕組みだ(Photo10)。

最後がPosted CASであるが、これはアドレス/コマンドバスを有効に使う仕組みだ。Photo11はその一例だが、Posted CASを使わないケース(下側)と比較して、トータルの転送速度を1クロック分減らすことが可能だ(上側)。CAS Latencyが大きくなりがちなDDR IIの実効転送速度を高く保つための仕組みである。

 Photo10:メモリバスの終端を放っておくと、信号が終端で折り返すことで、いわゆる反射波が生じ、これと元々の信号が干渉してしまう。そこでこの反射波を打ち消すのがターミネータの役割。これをチップ内に内蔵することで、より反射波の影響を消すことができるようになった。
 Photo11:下側はPosted CASなしの場合。これに対してAddictive Latency=3のPosted CASを使う(上側)と、CASアドレス(A0,A1,A2,A3)とReadコマンド(R0,R1,R2,R3)を連続してコマンドバスに送出することが可能で、これにより連続してデータが出力される。

ちなみにSamsungでは、Revision 0.2のガーバーを組み合わせた評価用のエンジニアリングサンプルを既に出荷可能としている(Photo12)。更に、このDDR IIに続くDDR IIIに関しても多少言及があった。グラフィック向けが先行するDDR IIIだが、メインストリーム向けとしては「まずどうやって繋ぐか」というレベルで現在検討中という話があった(Photo13)。

 Photo12:現在はPC2-3200のサンプルがリリースされている。
 Photo13:DDR IIまでのスタブ形式では、800MHz以上の伝達速度には耐えられないという話で、現在は(DRDRAMの様な)シリアルリンク形式と、ハブを介する形のPoint-to-Point形式の両方を検討しているそうである。

(大原雄介)

Platform Conference 2003レポート
http://pcweb.mycom.co.jp/news/special/2003/01/31/02.html



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