【Platform Conference 2003レポート】Memory Roadmap - 02年12月に何が起きたのか

引き続きPlatform Conferenceレポートである。まずは、メモリ全体の傾向についてレポートすることにしたい。

○昨年12月に何があったか

(Photo01):Chair man, JEDEC Memory Parametrics, JEDEC Solid State Technology AssociatesのBill Gervasi氏

DDRII400MHzの標準化が延期され、そしてDDR400の標準化が急速に立ち上がったのが昨年12月の事である。一体なぜ標準化が延期され、かつDDR400が立ち上がったのか。これをまとめて説明してくれたのがBill Gervasi氏(Photo01)である。

氏によれば、昨年12月の時点で殆どDDRIIの標準化は完了していたという。ところが一部のベンダーから、ODT(On Die Termination)や1Gb以上での8バンク構成などをスペックに含めることが要望され、これに対処するために標準化が延期になった、というのが第一。また、DRAM戦争(Micronが火元であるが、要するにDRAMの価格競争である。最終的に国内メーカーはエルピーダメモリを除いてほぼすべてがDRAMから撤退、韓国もHynixが追いつめられ、Samusngが勝者として君臨する結果になったのはご存知のとおりだ)が終わって、各社ともそれほど急激にDDRIIへ移行する必要がなくなった(つまり急いで付加価値をつけなくても、それなりにやっていける)事も挙げられている。(Photo02)

(Photo02):最終的には8バンク構成の話が結構尾を引いた模様だ。まぁこれについてはまた別の話があるので、項を改めたい。
(Photo03):"The hunger"とまで言われるあたり、いかにIntelが強硬に主張したかを物語っているようだ。

こうしてDDRIIのリリースが遅れた事で、DDR333からDDRII400まで大きな供給ギャップが生まれてしまったことになる。元をただせば、DDR200とDDR266が殆ど同時期に提供開始され始めてしまったあたりがギャップの要因であろう。その流れを受けてDDR266/DDR333共に、本来予定していた時期より1年近く早く立ち上がる事になってしまい、一方のDDRIIは当初の予定通りの立ち上がりを計画していたため、ここでギャップが生まれたという話だ。昨年の8月頃まではこのギャップを仕方ないと受け止めている向きが多かったのだが、ご存知の通りIntelが急速にFSBを上げる過程でどうしてもDDR400を必要としたために、急にDDR400が立ち上がってしまった、という話だ。(Photo03)これに関し、あるメモリベンダーのエンジニア曰く「Intelは夏ごろ、非常に真剣にDDR400の調査を行っていた。DDR333の時は、後追いで調査をしており、あまり本腰を入れている様には見えなかったが、DDR400は明らかに態度が異なっており、だから技術的に可能なら絶対やると思っていた」のだそうだ。

(Photo04):2002年12月までのロードマップ
(Photo05):2002年12月以降のロードマップ

さて、この結果ロードマップはどうなったか? 昨年12月までのJEDECのロードマップはPhoto04の様になっていたが、12月以降はPhoto05の様に変わってしまった。つまり、400MHzまでは完全にDDRIのみ。DDRIIに関しては533MHz以降がメインという形だ。ただ、スペックとしてのDDRII400は残っており、実際いくつかのベンダーのロードマップにはこの製品が登場する。ただしそれはサーバー用途などに限られており、コンシューマ向けは533MHzからというのは各社で共通の認識になっているようだ。この結果、今回参加したほぼすべてのベンダーがDDR400の開発を表明している。実際Samsung、Infineon、エルピーダメモリ、Mosel VitelicなどがいずれもDDR400のサンプルを展示しており、またHynixも開発を表明するなど、現時点でのトップメモリベンダーはすべてDDR400を手がけることになりそうだ。(Photo06,07)

(Photo06):InfineonのPC3200モジュールサンプル。ちなみにCL3に関しては、ほぼすべてのベンダーが口を揃えて「これが妥当」と言っている。
(Photo07):VIAのKT400マザーに装着して3DMark2001を実行するデモ中。同様の展示をMosel、Samsungが行っていた

一方あおりを食ったDDRIIに関しては、本格普及は2005年以降になるという見通しが示された(Photo08)。もっともこれはDDRII533を考えての話で、サーバー向けのDDRII400に関しては2004年中に立ち上がりそうだし、またベンダーによってはもう少し早く供給を開始するところもあるようだが、これについては個別ベンダー毎に紹介することにする。

(Photo08):単にI/F速度だけでなく、一緒に容量の増加が入ってくるあたりが事情を複雑にしている。来年は過渡期になりそうだ。

ちなみにこのDDRIIの遅れだが、別の要因もあると指摘する声がある。というのは、現状のDDR333のプロセスを使ってDDR400を作るのは難しい(速度が追いつかない)のは判るが、DDRII400もやはり作るのは難しいのだそうだ。「現状のDDR333プロセスを使いDDRII400を作ったら、おそらく動作するものは1つも無い」(さるメーカーのエンジニア)という話もあるほどだ。

なぜかというと、コア電圧が下がるためだ。現在のDDRは2.5Vで動作するが、DDRIIでは1.8Vに落とされることになる。この結果、現在のプロセスでは全く動作しないそうで、新たに低電圧高速プロセスを開発しなければ使い物にはならないらしい。確かにDDRI→DDRIIの移行でコア自体は半分の速度で動作するわけだが、プロセスを下げずに電圧だけを落とすと、動作速度は半分どころかもっと落ちる(下手をすると動作しない)あたりに難しさがあるそうで、DDR333→DDR400とDDR333→DDRII400は、必要とされる技術自体は多少違うものの、難易度に関してはほぼ同等なのだそうだ。したがって、技術力のないベンダーにとってはDDR400をパスしてDDRII400なりDDRII533に移るという案はないらしい。少なくとも低電圧高速プロセスを開発し終わるまで、DDRIIへの移行は不可能で、これを解決して量産に移せるのはやはり2005年のタイムフレームということになるようだ。

○名称に関して

ところで今回、DDRIIに関する名称が正式にJEDECで決まったようである。現在、DDRII世代のモジュール名は混乱しているが、公式にはPC2-3200(DDRII400)とかPC2-4300(DDRII533)といった具合に、"PC2"という形にすることでDDRI世代のモジュール名と区別することになるそうだ。ただ現実には業界の中でも、Photo09の様に様々な名前が流通しており、これから"PC2"の浸透を深めてゆく様に努力するという話だ。

(Photo09):確かに会場でも、メーカーによって異なる記述が見られた。本稿では一応正式な名称に統一したが、過去の原稿を考えると筆者も結構まちまちな記述をしていたなぁ。

(大原雄介)

【Platform Conference 2003レポート】プレス向けブリーフィングでBarton/Athlon 64/Opteronについて聞く
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/01/30/16.html

Platform Conference
http://www.platformconference.com/



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