情報処理学会連続セミナー2002「次世代ネットワーク環境における基幹技術」と題したセミナーが開催されている。2日目となる29日は、「モバイルネットワーキング技術:今そして未来」という副題で、ハードやソフト、マーケティングなど、5人の演者が、モバイルネットワークについて講演した。
○モバイル通信は今後どのように発展するのか
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| NTTドコモ 弓場英明氏 |
NTTドコモの弓場英明氏の講演「モバイルマルチメディアサービスの展望」では、今後のモバイルネットワークに関して、どのような研究が行われており、どのようなことが実現されるのか、またはその主要な技術などが紹介された。
氏はまず、移動通信システムの通信速度の移行推移について触れた。今後さらなる普及が期待される同社FOMAに代表されるような第3世代通信(IMT-2000)の通信速度はピーク時2Mbpsだが、既に「Systems
beyond IMT-2000」という第4世代通信の標準化を検討している段階であるという。このSystems beyond
IMT-2000では、通信速度はピーク時20Mbpsとなるとのこと。
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| 情報家電や宅配物などに通信機能が搭載されると、そこは巨大な市場となる |
さて、興味深いデータも示された。昨年の音声データと映像やデータなど非音声データの比率が、同氏の示したデータによると音声データ80%対非音声データ20%、同予測によると2005年には半々、2010年にはこれが逆転して30~20%対70~80%と非音声データの方が音声データを上回ると予想されている。音声データ通信時代では人対人の関係だったものが、今後は人対機械(非音声データ)、さらには人を介さない機械対機械といった通信がさらに拡大してゆくだろうと見通し、そしてそれらを含めた潜在需要は2010年で5億7,000万円規模になるという。
モバイルシステム技術の今後はどうなるのか。同氏は各分野についての主要技術を取り上げた。マルチメディア処理技術では3G-324M、コンテンツ記述技術。端末技術では低消費電力化、小型化、高機能化。ネットワーク技術ではゲートウェイ技術のW-TCP、端末クライアント認証。また、モバイルIPサービスPF、無線伝送技術ではW-CDMAと3.5G世代のHSDPA(High Speed-Downlink Packet Access ピーク転送14.4Mbps)などだ。HSDPAは、2004年末のサービス開始を目標に開発されている技術で、環境が良いところにいて最高速度を送れるところには最高速度を送ろうというもの。
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そのほかには、IPベースのネットワークや今後より一層拡大するであろう端末ソフトウェアについても紹介された。
○企業による携帯電話の市場動向
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| 日本エリクソン 大北敦彦氏 |
また、日本エリクソンの大北敦彦氏による講演では、製造メーカーサイドが分析した携帯電話サービス動向や、ハードウェアの今後が紹介された。同氏は携帯電話市場の変化、ユーザーの使い方の変化を紹介し、デジタルカメラ、音楽プレーヤー、リモコンなど「ハードウェアの統合」と、財布の中などのカード類、定期券、診察券、あるいは財布そのものなどの機能を取り込む「ソフトウェアの統合」を挙げた。
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| 携帯電話のBluetooth機能でマウス操作などをデモして見せた。Bluetoothは他と比較して実装への障害の数が少なく、実現が容易という |
そのほか同氏の講演から今後の携帯電話の方向性をいくつかピックアップすると、モバイルカメラは、年内には1280×1024 1.3Mピクセルでの撮影が可能になるのではとか、液晶では2.2インチQVGAなど、今後は低消費電力・高輝度・高解像度・高色純度がキーワードではといったことが示された。また、これら以外に同社が特に注目している技術として、Bluetoothを挙げた。
また氏は携帯電話を分析し、携帯はPCともPDAとも用途が違い、長所を挙げるとモバイル性、ポータブル性、そしていつでも電源が"ON"になっていることを挙げた。最後のいつでも電源が"ON"になっているということは重要で、いつでも受信ができるということだという。また、今後は家電の操作や施錠などの状態確認というように、携帯で生活空間をリモートコントロールできるような時代になり、そして携帯電話はいつでも・どこでも・なんでもサービスが受け取れる"もっとも身近にあるインタフェース"になるとした。
○企画会社による携帯電話の市場動向
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| マックス・ヴァルト研究所 代表取締役 横山雅子氏 |
マックス・ヴァルト研究所の代表取締役 横山雅子氏の講演は、カメラ付き携帯電話のユーザー動向に関しての内容。約24.3%にまで増加したというカメラ付き携帯のユーザーの特徴や動向など、幾つかの統計が示された。いくつかトピックを紹介すると、カメラ付き携帯の購入者は初めて携帯を買うユーザーに多く、とりわけ10代と50代が目立つとか、各世代とも半数以上が2002年の6月以降の購入とか、そのようななかでカメラ付き携帯を買ったのに使わない人が30%以上いて、それでも次に買い換えるときもカメラ付きを選びたいと考えていることなど。氏は最後の二つ、カメラ付き携帯を買いつつ使わない、でも次もカメラ付きを選ぶという矛盾する結果に対し、まだ商品としてのアイデンティティが欠如しているのではと疑問を投げかけた。
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また、デジタルカメラとカメラ付き携帯の使用目的に関するデータも紹介された。高画質な写真を残すことができるデジタルカメラは、家族での記念写真や子供のイベントの記録、または記録しておきたいものを撮るといった従来のカメラと同様な撮影に用いられ、カメラ付き携帯はペットや持ち歩いて気になったシーン、知人・友人が集まったときなど軽い感じで撮るような使われ方をしているとのことだ。氏はこのような結果の背景には、カメラ付き携帯が、撮った写真を簡単に人に送ることができる点や、いっぱいになったら写真を消す程度の軽いものの撮影に使われるなどの理由があると推測している。そしてカメラ付き携帯は、携帯電話とデジタルカメラの中間に位置する新しいメディアになるのでは、としてデジタルカメラとカメラ付き携帯は共存すると予想した。
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情報処理学会
http://www.ipsj.or.jp/
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