【インタビュー】あのSUMICOMにCeleron搭載のファンレスモデル 開発者に聞く(1)

      [2003/01/24]

    本誌に、インテルが発表した組み込み向け400MHz動作の超低電圧版Celeronのニュース(インテル、組込向けに400MHz動作の超低電圧版Celeronを投入 )が掲載されたのは、10月中旬のこと。普通、組み込み用途のCPUは、一般のコンシューマ向けCPUと異なり、さほど話題にならず、あまり人びとの目にふれぬまま様々な用途で使われるというのが常なのだが、何と今回、それをコンシューマー向けのPCに応用した製品の試作品を見せてもらうことができたので、そのレポートをお届けしよう。

    この製品を開発したのは、台湾の慶揚通訊(King Young Technology Co., Ltd.)。開発者はもちろん、5インチベイサイズのPC「SUMICOM S-300」や、その発展形であるPentium 4対応の「SUMICOM S-600」を開発し話題となった、鄭萬成(Robert Chang)氏。

     従来の「SUMICOM S-300」の発展形、静音PC「SUMICOM S-310」
     筐体全体もヒートシンク化することで、ファンレス稼動の静音PCを実現した

    この記事を読むまで「SUMICOM」のことをご存知でなかった方は、過去記事を見ていただくことにして、この製品のレポートを書くに至ったいきさつについて、簡単にふれておきたい。

    直接のきっかけは、King Youngの徐凱文(Kevin Hsu)氏から、いつものようにメールで連絡が入り、超低電圧版Celeronを使ったファンレス動作の新製品「S-310」の試作品が完成したので、見に来てほしいと言われたから。ただ今回は、さらに私の好奇心を刺激する言葉が、メールに書かれていたことが大きい。彼のメールに曰く「内部テスト段階で、VIAのC3 800MHzのパフォーマンスを上回った……」とあったのだ。というわけで、本当に400MHz動作のCeleronが、800MHz動作のC3のパフォーマンスを上回るのかを確認したいこともあって、台北市の内湖區にあるKing Youngに向かった。

    King Youngで、事前の要求通り、テストの準備を整えて私を待っていてくれたのは、一連の「SUMICOM」シリーズの開発者の鄭氏。まずは、実験を始めようとして、鄭氏が取り出した「SUMICOM S-310」を見て驚いたのは、その外観。フロントとリアパネル以外を除く四面をすべてヒートシンクのような形に整形したその外観は、一昔前の真空管式高級オーディオアンプに取り付けられていたヒートシンクを連想させ、ブラックの塗装とも相まって高級感が漂っている。ちなみに、マザーボード自体は、ファンレス動作となっても、「SUMICOM S-300」とまったく同じものだとのこと。

     C3 800MHzのベンチマーク結果

    まずは、C3 800MHzから実験を開始。テスト用に走らせたプログラムは、PCのパフォーマンスを計測するのにたびたび用いられる3DMark 2001。ケースの内部温度と外部温度を計測するための温度センサー、そして消費電力を測るための電力計が取り付けられた状態での実験となった。

    3D Mark 2001は、様々な動画を描かせながら、パフォーマンスを計測するソフトなのを、多くの読者の方はご存知だろう。事前に予測していたことだが、結果から言えば、C3でははコマ落ちがはげしく、カクカクした動きとなり、スコアは288。動作直後の筐体の内部温度は44.2℃、外部温度が26.3℃、消費電力は17W(※3D Mark 2001動作中の最大消費電力は30W)となった。

    C3 800MHzテスト直後の筐体内部温度(右)・外部温度(左)と消費電力(奥)
    開発者の鄭氏自ら、今回の比較テストをしてくれた

    C3のベンチマークを終えた段階で、鄭氏がCPUをCeleronと交換するために、筐体を開けたたところで、筐体の四面をヒートシンクのように加工した謎か解けた。今までの「SUMICOM」シリーズでは、CPUの下に取り付けれた金属片が、筐体の下部と接触し、CPUの発熱を筐体に逃がすようになっていたのだが、それに加え、今度は、CPUに取り付けられたヒートシンク自体も、筐体上部に直接接触し、熱を逃がすような設計がなされていたのだ(いわば、筐体全体もヒートシンク化することで、ファンレス稼動の静音PCを実現したということになる)。

     CPUに取り付けられたヒートシンク自体も、筐体上部に直接接触し、熱を逃がすような設計がなされているのが、この写真からわかるだろうか

     

    400MHz動作の超低電圧版Celeronを表面から見たところ
    400MHz動作の超低電圧版Celeronを裏面から見たところ。BGA(Ball Grid Array)であることがわかる
    これが変換ゲタ。非常に薄いので、手でつかみやすいよう、四面に滑り止めのギザギザがつけられている
    ソケット370変換用のゲタを、裏面から見たところ

    また、この段階で、取り替えようとしていたCeleronを見せてもらい、私の第二の疑問も解けた。第二の疑問とは、組み込み用途向けのCeleronであれば、BGA(Ball Grid Array)なはず…ということなのだが、これはKing Young内部で、いわゆるCPU用の変換ゲタを作り、ソケット370に直接取り付けられるようになっていたのだ。

    さて、こうして交換した400MHz動作のCeleronは、C3よりも明らかに滑らかな動きとなり、3D Mark 2001のスコアが459、動作直後の筐体の内部温度は28.0℃、外部温度が24.4℃、消費電力は17W(※3D Mark 2001動作中の最大消費電力は24W)となった。

    Celeron 400MHzのベンチマーク結果
    テスト直後の筐体内部温度(右)・外部温度(左)と消費電力(奥)

    この結果が示す通り、メールに書かれていた「400MHz動作のCeleronが、800MHz動作のC3のパフォーマンスを上回る…」が私の目の前でと実証されたわけだ(あくまで、ラフな計測結果であり、この結果がすべてではないことは、お断りしておきます)。

    となれば読者の方にとっても、この試作品がいつ製品化されるのか、あるいはどんな用途を想定して開発されたのかが気になるところだろう。私も同じ気持ちであったので、実験後、そのまま鄭氏への質問を続けることとなった。

    (吉井孝史)

    【インタビュー】あのSUMICOMにCeleron搭載のファンレスモデル 開発者に聞く(2)
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/01/24/20.html
    に続きます

    あの小型PC SUMICOMにPentium 4対応タイプ「SUMICOM S600」が登場
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/10/15/49.html

    【インタビュー】Pentium 4も搭載した小型PC「SUMICOM S600」開発者に聞く(1)
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/10/21/18.html

    【レビュー】まるでCD-ROMドライブ! 超小型PC「SUMICOM」の実力やいかに?(1)
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/08/01/11.html

    慶揚通訊(King Young Technology Co., Ltd.)
    http://www.kingyoung.com.tw/

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