情報処理振興事業協会(IPA)が平成12年度より実施している「未踏ソフトウェア創造事業」、いわゆる"スーパークリエータ"発掘事業の公開シンポジウム「未踏14シンポジウム@国際フォーラム」が22日、開催された。会期は23日まで。
同事業は、独創的なソフトウェア技術や事業アイデアを広く募集、採択された案件では、その個人を対象に、資金的・技術的に支援するというもので、平成14年度は応募総数523件の中から74件が採択された。同事業の詳細については以前のレポート(
同シンポジウムは、各クリエータがそれぞれ担当のプロジェクトマネージャへ開発内容を報告する場であるほか、広く一般に採択プロジェクトを知ってもらうことも期待されている。このレポートでは、初日の内容から、いくつかについて紹介したい。
○リアルタイム自動作曲システム
岡田謙之氏の「リアルタイム自動作曲システムの開発」は、既存の曲から学習して、リアルタイムかつ自動的に作曲/編曲を行うシステムを開発するというものだ。
氏は現在のビデオゲームを例にとり、3DCGのリアルタイムレンダリングの発達やネットワークゲームの普及など、ゲームのスタイルは多種多様になってきたものの、ゲーム中で演奏されるBGMは、相変わらず事前に作られたコンテンツをユーザイベントでスイッチするだけの「切り貼り」であると指摘する。氏の構想するシステムでは、自動作曲/編曲機能により、これをプレイヤーの操作やシナリオの変化に応じ、リアルタイムにBGMの流れを変化させることが可能になるというものだ。
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| システム構成の概略図 |
このフレームワークでは、自動作曲の手順を、(1)メロディ・コード進行・演奏上の指示などからなるリード・シートを自動作成(Composer部)、(2)リード・シートに従いながらも自分なりの演奏をする(Performer部)--に分けた。自らがミュージシャンで作曲もこなすという氏は、このモデルを実際にポピュラー音楽の製作過程から倣ったという。
詳細をみると、(1)のComposerでは、元になるMIDIファイルから、コード進行・メロディを学習、その学習成果をもとに、今度は逆に、コード進行・メロディを作成する。ここで、学習成果はXMLフォーマットで保存されており、学習ロジック・作曲ロジックのコーディングにはC#を利用しているとのことだ。そして、自動編曲・演奏する(2)のPerformerでは、(1)で作成されたリード・シートをもとに、メロディ・コードバッキング・ベース・ドラムの各パートが自動演奏を行う。このプロセスでは、ユーザは各パートのテイスト(ディスコ調・カントリー調など)を選択でき、自分の好みにあった曲を自動展開できる。曲の演奏には、DirectXのDirectMusicを利用する。
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| デモ用のプログラム。各パートのテイストを変えるとだいぶ曲調が変わる |
今後は、リアルタイム処理の追加や、メロディの繰り返しパートの作成、よりインテリジェントなPerformerの実現などを目指す。
○翻訳者並みレベルの翻訳システム
武舎広幸氏の「自分と同レベルの訳文を出力する翻訳システムの探求」は、翻訳家でもある氏が、自分の翻訳プロセスをもとに、より自然な翻訳を実現するシステムを目指すものだ。最初にこのタイトルを見たとき、記者は「ユーザー自身と同レベルな翻訳?」かと思っていたが、それは勘違いだった。
前述のとおり、氏は長年翻訳の仕事に携わり、現在市販されている翻訳ソフトの開発にも従事したことがあるという。氏はその後、翻訳者養成講座のテキストの執筆にも関わり、そこで翻訳処理を分析した経験が、同システムのベースとなっている。
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現在、市販されている翻訳ソフトを利用しているユーザーも多いだろうが、まだまだ不自然な翻訳を出力するケースも多い。氏は機械翻訳臭くない訳文の作成を同システムの第1の目標にあげ、従来の「高速辞書引きプログラム」としての利用とは一線を画すレベルを目指す。システムはまだプロトタイプであるため、辞書にはまだ700語程度しかないが、それでも従来のソフトで「MusicMatchジュークボックス7.5(次の数週間でいつか予定されている)が将来のリリースによって同様に維持されるべきiPod支援を得るだろうと言った」となるところを、同システムでは「(今後数週間のうちに出る予定の)MusicMatch Jukebox 7.5がiPodをサポートするだろう、そしてそれは今後のリリースによっても変わらないはずであると語った」と、より自然な訳文を実現している。
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| システムのデモ。普段はLinuxで開発してるとのことだが、この日はデモということでMac |
(大塚実)
【レポート】今年はどんな"スーパークリエータ"が? - IPA未踏14シンポジウム(2)
へ続きます
【レポート】次代のジョブス、またはゲイツを探す!? IPAのクリエータ発掘事業発表会(1)
平成14年度 未踏ソフトウェア創造事業
情報処理振興事業協会(IPA)
http://www.ipa.go.jp/
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