【インタビュー】ユーザーニーズで製品を開発するApple - マーケティング責任者に聞く

      [2003/01/10]

    既報の通り、米Apple ComputerはPowerBook G4をはじめ、iLifeやKeynote、Safariといった新製品を発表した。ここでは、AppleのApplication部門Product Marketing Director・Joe Hayashi氏とPowerBook Product Marketing Director・Sandy Green氏に、新製品などについて話を聞いた。

    ○新しいレベルの機能を使いやすく提供する--Joe Hayashi氏

    --まず、iLifeのターゲットについて伺いたいのですが。

    基本的にはコンシューマー向けですが、非常に先進的な機能があるので、プロシューマーの方にも使っていただけると思います。例えば、iMovieでは音の編集についても優れた機能がありますので、プロシューマーの方にも喜んで使っていただけると思います。

    今回のiLifeに関しては、AppleがiPhoto、iMovie、iTunesという別々の優れたソフトウェアを持つと言うこと、そしてさらにすばらしいのが、それらがひとつに統合されている、ということで、これができるベンダーは他にはありません。Appleだけができているソリューションです。Appleはかなり先を行っていると思います。

    iLifeは、これからAppleが販売するすべてのマシンにバンドルされます。iPhoto、iMovie、iTunesは無償でダウンロードできます。iLifeは5,800円で販売され、iDVDを加えてひとつのパッケージで購入できるようになります。

    --MicrosoftはメディアセンターPCを発表していますが、そういった製品にむけた開発のイメージを持っていますか。

    我々のアプローチは少しMicrosoftとは違います。PCで編集する部分とリビングルームでできることを必ずしもブリッジする必要はないと考えています。Appleでは、例えばiPodやDVDにデジタルコンテンツを保存することが簡単にできるようになっています。PCにはPCにできることがあって、それは編集の部分であって、リビングルームのプレイヤーには、それを再生するところに強みがあるので、その2つを結びつける必要はないと考えています。

    --Appleとしては、PCは人が向かって操作するもので、家電としては考えていない、ということでしょうか。

    そうです。iLifeソリューションを説明するとしたらそうなります。

    --Keynoteについてなのですが、MicrosoftのPowerPointのシェアが高いですが、Keynoteの優位点と、PowerPointを意識した設計ポリシーについて教えてください。

    我々がまずやりたいのが、お客様に対してベストなエクスペリエンスを提供したいということです。Mac OS Xには、非常に優れたグラフィックスの技術が搭載されています。またAppleには世界でも有数のプレゼンテーションのうまいCEOがいます。そういう環境にあるので、もう一段、プレゼンテーションのレベルを上げようというのが考えです。プレゼンテーションやキーノートをすることが多い人にとって、ベストのソフトウェアがこのKeynoteだと考えています。

    KeynoteにはiDVDと同じように、非常にクオリティの高いテーマがあらかじめ搭載されています。チャート、グラフも完全にサポートし、特にグラフィックスの機能が優れています。透明度の設定もできます。トランジションもOpenGLを使っているので、高品位なスライドショーが可能です。特に3Dのトランジションについては、他のプレゼンテーションツールではまねのできない質の高いものになっています。

    使いやすさも追求しています。こういったツールはすでに成熟していて、新しい技術や機能を採用すると言うことがあまりなかったのをブレークスルーするのがこの製品です。

    起動すると、まずはテーマを選びます。他のアプリケーションだとファイルメニューとかボタンがたくさんあって使いづらいのですが、Keynoteは17個のボタンだけで操作できます。(CEOの)Steveのプレゼンテーションだとだいたい500ページぐらいあるんですが、それを簡単に管理できるようになっています。

    PowerPointやPDF、QuickTimeファイルやほとんどすべての画像データを読み込んだり、書き出したりすることも可能です。OS Xの機能をフルに使ったアプリケーションです。実際に使うと、クオリティの高さに驚くでしょう。iLifeもそうですが、ユーザーにレベルをひとつ上げるような製品だと考えています。

    --Appleでは、ソフトウェアの開発でどんなことを重視しているのでしょうか?

    使いやすいということ、エクスペリエンスがすばらしい製品であること、新しいレベルの機能を提供する--例えばこれまでだとDTPやビデオ編集といった新しい機能を提供すること、です。

    ○ユーザーのニーズに合わせた製品を開発する--Sandy Green氏

    --まず、きょう体の素材をチタニウム合金からアルミニウム合金に変更した理由はなんでしょうか?

    元々設計を始めたときに、軽く薄くしても耐久性の優れるものを探していまして、アルミニウム合金は重量を軽くしたときの耐久性がチタニウムより優れていました。特に酸化させることで、より堅くなり、傷やサビにも強くなります。Appleは他の人が試したことのないことをやるのをモットーにしていますので。

    この輝くキーボードも革新的なもののひとつだと思うんですが、270束の光ファイバがキーボードの下にあり、それを使っています。これによって均一の光源を確保することができます。また、光センサーがついているので、部屋の明るさに応じてキーボードとディスプレイの明るさが変化します。ON/OFFを手動ですることも可能です。

    --ディスプレイを17インチと大きくしたのはどうしてでしょうか?

    ノートブックコンピュータを唯一のマシンとして使っている人が多くなってきているという事実があり、そういったユーザーは大きなディスプレイを使いたいと思っています。チタニウム合金のマシンを作ったときに、大きなディスプレイを搭載することは可能だということが分かりました。競合他社には16インチのマシンもありますが、そうしたマシンは非常に重く、厚いので、我々は17インチでさらに薄く軽いものを作ろうとしたわけです。

    室内が暗くなると、自動的にキーボード下で光が点灯する

    --バックライトキーボードのアイディアは、どこから出てきたんでしょうか?

    ユーザーからのフィードバックからです。薄暗い飛行機の中とか、デザインスタジオなどでもPowerBookですべてやりたい、暗くてもキーボードを見たい、というユーザーの意見が多かったのです。

    (IBMの)ThinkPadにもキーボード・ライトがありますが、これは液晶の上から照らすのでキーボードの全領域を明るくすることはできず、キーボードの上に手を置いたらその下が影になってしまいます。それなので、キーボードの下から均等に光が出るようにしました。

    --12インチモデルにバックライトキーボードを積む予定はないんですか?

    基本的には17インチモデルだけです。12インチモデルが市場に出ると、ユーザーから「12インチモデルでも」という意見が出るかもしれません。

    --日本ではすごく小さなマシンが人気なのですが、12インチモデルよりさらに小さなPowerBookを出す計画はありますか?

    今のところは、これ以上小さなモデルというのは考えていません。12インチモデルはコンパクトにして、いつでもどこでも持ち歩けるようにしようというアイディアがあったので、日本市場ではすごく好まれると思います。

    私たちのゴールとしては、コンパクトで軽量なPowerBookを作ろうというものですが、PowerBookというのは光学式ドライブがあり、拡張性がなくてはならないのです。他のメーカーのコンパクトモデルは、小さいスクリーンで光学式ドライブは内蔵されていません。私たちはこの12インチモデルがどのように受け止められるかに期待していまして、これに対するフィードバックがあると思います。

    --PowerBookの開発において大事にしているポリシーというのはなんでしょうか?

    ユーザーにとって何が一番大事なのかを理解することが本質的に一番大事だと思っています。このPowerBook G4はユーザーからの意見やフィードバックをもとに作られたものですが、どうしても大きなスクリーンが必要とか、パフォーマンスは譲れないとか、そういったものを大事にしました。

    そしてユーザーが望むものが分かったら、それをどうやって実現するか、ということを考えて、チタニウム合金を使ったり、アルミニウム合金を使ったり、いろいろな工夫をしています。

    --Apple製品の外観については、Appleのデザインチームがユーザーをリードしていると思うのですが、デザインについてのこだわりを教えてください。

    私たちがデザインにかけているほどリソースとかエネルギーとか時間を、他のPCメーカーはかけていないと思います。このPowerBook G4を見ていただいても、私たちがどれだけデザインに力を入れているかご理解いただけると思います。

    もちろん、ユーザーが求めているのが薄くて軽いもの、という場合、それを実現するパラメーターはなんなのかを調べ、ユーザーのニーズにあったものを提供するようにしています。

    (古林高/小山安博)

    アップル、17インチ液晶搭載と12インチ液晶搭載のPowerBook G4を発表
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/01/08/13.html

    【Macworld 2003 レポート】スティーブ・ジョブズ氏基調講演(1)、高速ターボブラウザ「Safari」発表
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/01/08/19.html

    Apple Computer
    http://www.apple.com/

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

        イチオシ記事

        新着記事

        特別企画

        マイナビニュースマガジン