【Macworld 2003 レポート】スティーブ・ジョブズ氏基調講演(1)、高速ターボブラウザ「Safari」発表

      [2003/01/08]

    Macworldの会場に向かう車の中で聞いていたラジオのモーニングショーで「2002年にうっとうしかったことトップ100」というのを発表していた。その76位にAppleのリアルピープル・キャンペーンが食い込んでいたのだ。「76位ならずいぶんと下じゃないか……」と思うかもしれないが、カテゴリー無しのトップ100なので、順位に関係なく全てが思わずうなずいてしまうようなうっとうしいことばかり。ちなみリアルピープル・キャンペーンは、「あまりにもフェイクで見るに耐えなかった」という理由で選ばれたプロレスのWWEよりも上なのだ。

    冗談半分のランキングなので、それだけ認知度がある宣伝だったという風にも受け止められる。しかし、冗談でも「うっとうしい」と言われ始めたら、そろそろ次の手を講じる時期なのかもしれない。

    さて、7日からサンフランシスコで始まったMacworld Conference & Expo。オープニングはSteve Jobs氏の基調講演である。まずはAppleの動向をアップデートした。何かと話題のリアルピープル・キャンペーンは、キャンペーン・サイトに780万人が訪れ、そのうちの68%がWindowsユーザーだったそうだ。うっとうしいと言われても、まだまだ続きそうな勢いである。

    直販店Apple Storeは、全店舗の周囲15マイルの地域を総計すると、8,500万人分の住宅をカバーできるぐらいに、全米的に店舗が増えている。昨年10-12月の売り上げは1億4,800万ドルで、その半分がWindowsからのスイッチャーだったと見られている。

    家中のPCをすべてMacに変えてしまったスイッチャーもいたそうだ

    好調なiPodは、14カ月で60万台を出荷。数字のベースが明らかではないが、日本では42%の市場シェアを獲得しているとJobs氏。iPodに関しては、スノーボード関連製品メーカーのBurtonと提携して、iPod対応スノーボード・ジャケット「Burton Amp」を発売することが発表された。Burton Ampは、防水加工したポケットにiPodを収めて、左袖につけられたコントロールパッドで操作できるようになっている。この冬限定で、価格の方は499ドルとちょっと高めである。

    AppleとBurtonが共同で製作したスノボ・ジャケット「Burton Amp」 
    iPodは3層ラミネートの防水ポケットの中に収納
    左袖のコントロールパッド。手袋をはめながらでも操作できそうな大きなデザイン

    ○「i」アプリを組み合わせてiLife

    続いてはOS X Jaguarだ。OS Xユーザーは、昨年10月に380万人を突破。この調子を維持すれば、2003年には900~1,000万人を達成できると見ている。その原動力として期待しているのが「i」アプリだ。今回、「iPhoto2」「iMovie3」「iDVD3」を発表すると共に「iLife」というコンセプトを明らかにした。iLifeのキーワードは「i」アプリの"統合"である。これまで独立したソフトウエアとして提供されてきた「i」アプリのコンテンツや機能を結びつけて、Macのデジタルハブとしての機能をさらに高めようとしている。例えば、iMovie3のツールバーには音楽と写真のボタンが用意されており、音楽ボタンを押すと、iTunesに収められた楽曲を呼び出してバックグラウンド・ミュージックとして利用できる。ジョブズ氏は、「MicrosoftがOfficeスーツでビジネスの生産性を向上させたのと同じような効果を、iLifeは私たちの生活にもたらしくれるだろう」と説明していた。

    着実増えるOS Xユーザー。現時点では約500万人と予想 
    4つの「i」アプリの連携。デジタルハブ戦略から生まれたiLife
    iPhoto2に新たに搭載された「One Click Enhance」という画像修正機能のボタンをクリックすると→
    ワンクリックで、このようにコントラストや色合いが調整される

    また、OS X対応のソフトウエアも着実に増えており、現在約5,000のOS X対応アプリケーションが存在するそうだ。本来、Macはデザイナーやミュージシャンなど、アーティスト・ユーザーが多かったが、OS X対応ではプロフェッショナル向けのアプリケーションに遅れが目立っていた。今回、OS X対応ソフトウエアでは「QuickBooks」「VirtualPC 6」「Director MX」が紹介され、さらに音楽ソフト「PRO TOOLS」のデモが行われた。PRO TOOLSのようなソフトウエアが出てきたことで、アーティストのWindowsへの乗り換えにも歯止めがかけられそうだ。これで重要なソフトウエアで残されているのは、デザインソフトの定番QuarkXpressぐらいである。

    PRO TOOLSのデモの後、Jobs氏はこれからの製品ではMac OS 9からの起動をサポートしないことを明らかにした。会場からは不満の声が漏れていたが、Mac OS 9でサポートされていない技術がハードウエアに組み込まれ始めたことを考えると自然な流れだと思う。

    OS X対応ソフトウエアも順調に増えている 
    Mac OS 9のBoot、OS XのBoot、Classic。これまで3つあった選択肢から、ついにMac OS 9が消える

    ○シンプルでも多機能なブラウザ「Safari」

    ソフトウエアに関しては「i」アプリ以外に3つの大きな発表があった。まずは高速ブラウザ「Safari」である。レンダリングエンジンにはKHTMLを採用。Operaのように「世界最速」とは言わないが、最速のMacブラウザであると宣言している。ベンチマーク結果によると、Internet Explorerに比べて、HTMLの読み込みで約3倍、JavaScriptの実行で倍以上のスピードとなっており、起動時間も約40%短い。

    見た目はシンプルな新ウエブブラウザ「Safari」 
    HTMLの読み込みスピードの比較

    スピードと共にSafariの特長となっているのがシンプルな操作性である。ツールバーのボタンを減らして、ウエブページ画面を広くしている。ボタンが少なすぎるとメニューバーに行く回数が増えて、逆に操作が面倒になりそうな感じがするが、スタート画面にクリック一つで戻れる「SnapBack」やBookmarks Library機能との併用で、マウスクリックだけでスムーズにウエブ間を移動できる。SafariにはGoogleが統合されており、ツールバーから直接検索できるのも便利。また、最近何かと問題となるポップアップ広告を防ぐ機能も備えている。

    オレンジの矢印ボタンがSnapBack。この場合、Googleの検索結果のページにワンクリックで戻れる 

    新しいブラウザで気になるのは、正確な表示ができるのかという点だ。Safariは主なウエブ標準仕様をサポートしているが、さらにGoogle検索の隣にバグ印のフィードバック・ボタンが用意されている。もし正確にページが表示されなかった場合、フィードバック・ボタンを押してAppleに通知すれば対策を講じてくれるそうだ。

    二つ目は、Final Cut Proのエッセンスを抽出したビデオ編集ソフト「Final Cut Express」である。Proで定評のあるインタフェースを使ったビデオ編集が可能で、価格はなんと299ドルである。

    プロフェッショナルなビデオ編集力を手頃な価格で提供してくれるFinal Cut Express

    最後は「Keynote」というプレゼンテーション用ソフトウエアだ。Mac版PowerPointと言ってしまった方が分かりやすいかもしれない。が、表現力という点でMac OS Xの特長が存分に生かされており、その差はプレゼンテーションの"結果"に現れること間違いない。ちなみに2002年にJobs氏がMacworldで行った基調講演はすべてKeynoteを使っていたそうだ。つまり、Steve Jobs氏自身がベータユーザーなのだ。PowerPoint、PDF、QuickTimeなどのファイルをサポート。「i」アプリを使うように、テーマを選んで、ファイルをドラッグ&ドロップで落とすだけで表現力豊かなスライドを作成できる。価格は99ドル。ちなみに今回の基調講演では、入場者全員にKeynoteがおみやげとして配布された。

    (Yoichi Yamashita)

    アップル、17インチ液晶搭載と12インチ液晶搭載のPowerBook G4を発表
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/01/08/13.html

    Apple Computer
    http://www.apple.com/

    Macworld Expo
    http://www.macworldexpo.com/

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