【レポート】ヤフーの電子商取引サイトはなぜ元気なのか

  [2002/12/27]

ヤフー、といえば、いまや、ブロードバンドサービスが特に注目されているが、電子商取引サイトの動きも活発だ。ショッピング、オークション、それぞれの現状を聞いた。

「ヤフーショッピング」は、12月18、19日、売り上げは対前年比で200%以上になった。一般企業で、ボーナスの支給がほぼ完了した時期であるとともに、クリスマスまでに商品が発送されるぎりぎりの期日ということが好結果につながった要因のひとつだ。

売り上げの牽引車になったのは、DVDソフトとパソコンで、両者あわせて全体の4割を超えている。DVDソフトでは、ハリーポッター、スターウォーズなど、集客力の高い映画も人気が高いが、最近は特にDVDボックスが好調であるという。

DVDボックスは、複数のDVDを一つのパッケージにしている商品で、何らかの限定的な特典が付いている。価格帯は2-10万円台で、かなり高額であるにもかかわらず、30代からの支持が大きい。この背景には、プレーヤーの価格が安くなったことと、ゲーム機の覇者であるプレイステーション2にDVD再生機能があること、さらには、売れ筋のパソコンにDVDドライブがほぼ標準的に搭載されていることなどが相乗効果を呼び、ソフトの追い風になっている。

パソコンでは、ノート型で15インチ液晶を備えた機種が好評で、デスクトップを抑えている。ここでも、DVD人気が影響している。「映画のDVDソフトを、ノートパソコンの15インチ液晶画面でみると、かなり迫力があり、視野や視覚的効果はホームシアターに匹敵する」(水本慎太郎 同社ショッピング事業部・マーケティング&マーチャンダイズチーム リーダー)ことが人気を支えてている。

DVDボックスが売れているのは「付加価値の効用が大きい。まず、ソフトを1本1本買わなくてすむ、ということもあるが、今年の夏、北斗の拳のDVDボックスが人気を集めたのは、海洋堂製のフィギュアがついていたことが要因のひとつだ。そのボックスを買わなければ手に入らないような『おまけ』をつければ売り上げは上がる。そのようなプレミアム性が購買層を拡大した」(君塚裕康 同・マーケティング&マーチャンダイズチーム マーチャンダイザー)。

一方、「販売店からみて、DVDボックスは、いわば小型段ボール箱、といえる程度の容積をもつものもあり、実際の店舗に展示販売する場合、設置場所の確保を考えると、ネットでの予約販売の方が都合が良い、という側面もある」(同)。

一方、パソコンの動向をみると、「実際の店頭のように、ソニーのVAIOがやたら強い、ということはなく、富士通のBIBILO、NECのLaVie、東芝のDynabookなどが健闘している。ユーザーはインターネットを通じて、より多くの情報を得ることができるようになり、ネットでパソコンを買う層は、コストパフォーマンスを重視する傾向がある」(水本リーダー)。

ただ単に商品を置いておけば売れるという時代は終わった。使い方、スタイルの提案や、コストパフォーマンスが、電子商店街の客の背中を押している。たとえば、パソコンを売る場合も「PlayStation 2の人気ソフト『FINAL FANTASY XI』のWindows版が出たときには、最適なグラフィックボード、攻略本、PlayStation 2のコントローラーをパソコンで使用できるコンバーターを勧めてみた。価格が安いというだけでなく、さまざまな提案をしている。これだけの周辺機器などをつけると、FFがぐっと楽しくなるようなページを設けている」。そのほか、デジタルビデオカメラとパソコン、デジタルカメラとプリンタの組み合わせなど、多様な選択肢を用意している。

パソコンはそもそもスペックに差がなくなっている。「だから、何か付加価値がなければならない。一般的にいえば、ごく普通でも、FFとのセットでいえば、ゲームをやりたいユーザーからみれば、魅力的なスペックになる」(殿村英嗣・同社オークション事業部/ショッピング事業部 事業部長)FFのセットの場合、グラフィックボードのメーカーからの協力を得て、動作確認もしたという。パソコンの場合、スペックの高低で訴求するのではなく、使い方で踏み込んで、高機能を活かす方途を示す。

ネットならではの特徴というものもある。たとえば、お歳暮の時期に、実際の店舗では、お歳暮用に調えられた商品を自宅で使うために買うことはほとんどないだろうが、ヤフーショッピングでは、「自家用」にお歳暮商品を購入する層が結構ある。

ヤフーショッピングのサイトには、百貨店がかなり出店しているが、商品は現実の店舗と同じものを置いている。イチゴをくりぬいてアイスクリームを入れた菓子は、実際の店舗ではたいして売れなかったのに、ネット上では売れたという例もあった。

オンラインショッピングは変わり始めている。「インターネットを通じた買い物が成熟してきた。以前は、いわゆるEコマースは、土地、建物がなくても販売店を低コストで設けられるもの、といった位置づけだったが、ADSLを中心とした、ブロードバンドの普及が進み、接続環境が格段に良くなり、いまや、リアルの商店との境界線がなくなってきている。自分たちがみて、感じがいいものを押し付けにならないように勧める姿勢が重要だ」(水本リーダー)。

このような時代で重要なことは「普遍的な視点が必要だ。小売の基本は、ネットでも現実の店舗でも同じだ」(水本リーダー)。「ぶらりと入ってきた客が、気軽に買い物をしていく、そんなサイトであればよい。オンライン商店街としては、現実の店舗のノウハウを学び、ネットワークでの経験とあわせて、オンラインショッピングの可能性を高めていきたい」(殿村部長)

一方、オークションは、大きな転換期だった。ヤフーは2002年春、「Yahoo!オークション( http://auctions.yahoo.co.jp )」に「システム利用料」制度を導入、「出品システム利用料」、「落札システム利用料」などが必要になっている。これが吉とでるか凶と出るかが注目された。有料化から半年以上が経過、ヤフーオークションはどのように変わったのか。

「出品システム利用料」は、1商品につき10円、また、入札されたにもかかわらず、出品者がオークションを取り消した場合に、一律500円を課金される「出品取消システム利用料」もある。さらに、落札金額の3%を従量課金する「落札システム利用料」が設けられている。

ヤフーオークションの出品数は、3月には400万件に上っていた。だが、有料化後、4、5月には出品数は、以前の半数以下くらいにまで減った。「それは当初の見込みとほぼ一致していた。しかし、反面、落札率は上がり、取扱高は結局不変だった。いわば、3ヶ月ほどの周知期間があって、6月以降は、成長の段階に入った。思ったよりユーザーは減っていない。新規ユーザーも増えている」(殿村部長)という。現在、出品数は約327万件ほどになり、本人確認登録ID数総数は224万人に達している。

これは「結局、どうしようもないものや、広告まがいのものなどが消えていった。あるいは、普通の商品ではあるが、魅力に欠けるものがなくなった。それらを別にすれば、1割は他社に流れた。あるいは、出し控えがあった、というところ」(同)で、むしろ、同社にはプラスの作用となった。

2002年は、Yahoo!BBをはじめとするADSLが本格普及し始めた。「ADSLブームは追い風になっている。広帯域化によって、掲示する写真を多様化できるし、ロードが速くなり、ストスが減った。ほとんどのユーザーがADSL以上の環境になれば、動画の活用、高精細な画像の多用など、さまざまな展開が図れる。ただ、一般ユーザー同士のやりとり、ということを考えれば、動画のつくりこみには一定のの技術、ノウハウが必要なので、課題はある」。(同)

オークションには、次々初心者が参加してくる。これらの層のために、10月末頃から、ヤフーオークション利用の手引きといえるようなガイドブックを配布している。「Webだけではわかりにくいかもしれない部分を補完する。導入部をわかりやすくして、出品の仕方、注意点を列挙している。ヘビーユーザーには不要だが、超初心者から、中級一歩手前といったあたりの層が対象になる。ヤフーカフェに置いたり、雑誌の付録にしたりしている。初版で約10万部刷った。インターネットの普及が進んだとはいえ、これから入ってくる人たちも含め、オフラインの取り組みは依然有効だ」(同)。

「いったんヤフーオークションを経験すれば、ほとんどがリピーターになってくれると思う。月に1回は売買をしていれば、もうヘビーユーザーといってもよい。また、ユーザーがコンテンツをつくっているのだから、ポテンシャルはまだある」と、いっそうの成長に自信を示す。

ヤフーの競合は、「王者」の牙城を切りくずさんと虎視眈々だ。特に今年の有料化を、これら各社は千載一遇の好機、とみた。ヤフーより割安な手数料を設定したり、無料キャンペーンをはるなど、さまざまな手が打たれた。事実、出品数を5倍に増加させたサイトもあるが、未だ、ヤフーの背中はみえない。有料化は、当初こそ、出品数の減少を招いたものの、結果をみれば、好ましからざる出品の淘汰につながり、かえって基盤強化になった、といえるだろう。オークションは、いまや、同社の収益の柱のひとつになろうとしている。

(大川淳)

Yahoo! ショッピング
http://shopping.yahoo.co.jp/

Yahoo! オークション
http://auctions.yahoo.co.jp/

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