中国のインターネット言論統制 - その厳しさは世界一の実態が明らかに

      [2002/12/05]

    ハーバード大学法学大学院(Harvard Law School)のBerkman Center for Internet and Societyは、中国におけるインターネットフィルタリングの状況を実地調査によって明らかにした最新レポート「Empirical Analysis of Internet Filtering in China」を発表した。世界でもトップレベルとされる中国の厳しい言論統制の実態が紹介されている。

    同レポートの発表にあたって、今年5月-11月にかけて、国際電話で中国においてサービスを提供しているISPのダイヤルアップアカウントへアクセスする方法、または、実際に中国国内のさまざまな地点からオープンプロキシサーバへ接続する方法を用いて、インターネット利用の実地調査が行われた。米国内で同時間に普通に利用できるWebサイトが、中国の2カ所以上の地点で、2回以上アクセスできない状況が確認されれば、フィルタリングによってアクセスが拒否されたと判断するテスト基準が採用されている。

    この基準に従って、異なる約204,012のWebサイトへのアクセスを試みた結果、ブロックされたWebサイト数は19,032。ポルノ・アダルト情報が含まれるWebサイトのみならず、政治、宗教、経済、医療、エンターテインメントの分野、さらにはニュースサイトなど、実に広い範囲でインターネット利用に統制が敷かれている。

    例えば、民主主義や人権保護、自由化を促進する情報入手を阻むために、Amnesty International、Human Rights Watch、the Hong Kong Voice of Democracyといった団体に加えて、米国の連邦裁判所が提供する全情報、英国のCourt ServiceなどのWebサイトへアクセスすることはできなくなっている。台湾やチベット関連の情報統制が最も厳しく、公式サイトだけでなく、ビジネス、医療、エンターテインメント分野の一般企業サイトも大半は見ることができない。

    同様の理由で、BBC News、CNN、Time Magazine、Miami Heraldといったニュースサイトへは、ほぼ完全にアクセスが拒否される。フィルタリング技術の精度も高く、ReutersやWahington Postなどのサイトは、リアルタイムに記事を分析することで、部分的なアクセスが許可されているという。また、検索エンジンに不適切とされる用語を入力してサーチしようとすると、しばらくはインターネット利用を全くできない状況に追い込まれるとの報告もなされている。

    一方、言論統制の偏りも見られており、今回の調査リストに登録された、性的に露骨な画像を含む752のWebサイトのうち、ブロックされたのは101サイトのみ。同じリストでサウジアラビアの状況を調査すると、86.2%となる695サイトの閲覧ができなかった。一般的に使用されているフィルタリングソフトウェアでも、70-90%がブロックされることが証明されており、中国のインターネット言論統制は、どのような基準を設けているのかとの疑問も投げかけられている。

    とはいえ、暗号化ソフトウェアなどのツールやフィルタリング解除につながる技術情報の入手を防ぐため、マサチューセッツ工科大学(MIT)のWebサイトへ完全にアクセスできないようにするといった、かなり厳格な基準が適用されていることも明らかになっている。同調査に携わったBen Edelman氏は、中国のインターネット統制について「米国内の図書館や公立学校の採用基準はいうまでもなく、サウジアラビアよりはるかに厳しい」と結論している。

    なお、インターネットの統制基準やアクセス拒否サイトの登録リストなどの情報は、中国政府から一切明らかにされていない。同レポートは、今後も調査を継続する意向を示しており、場所や時間に応じたアクセス状況の変化なども観測されていくという。

    プロバイダ責任法に伴うプロバイダの行動指針案をテレサ協が公表
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/04/15/17.html

    ついに北朝鮮でもインターネット・電子メールの利用を一部許可へ
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/11/05/17.html

    【コラム】ニューヨーク通信 インターネットの監視で米同時多発テロは防げたのか?
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/09/13/03.html

    【レポート】それでも前進する「中国のネット社会化」
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2000/10/25/09.html

    Empirical Analysis of Internet Filtering in China
    http://cyber.law.harvard.edu/filtering/china/

    Berkman Center for Internet and Society
    http://cyber.law.harvard.edu/

    Harvard Law School
    http://www.law.harvard.edu/

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

        イチオシ記事

        新着記事

        特別企画

        マイナビニュースマガジン