【レポート】組織改革で揺れるICANNの現状が報告 - 国際化ドメインも間近

 

インターネットのドメイン名やルートDNSなどの管理を行う国際組織であるICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)の組織改革の問題が、今年に入って何度となくメディアを賑わしている。つい最近も、「.jp」や「.uk」などの国別ドメイン(ccTLD)の管理を担当する各国のレジストラがICANNからの独立を画策しているといった報道があったばかりだ。そんなICANNの現状について、JPNIC(社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)、財団法人インターネット協会の共催で「第5回ICANN報告会」が行われたので、本稿ではその模様をお伝えしていきたい。

○組織改革の大枠が決定、移行手順を12月の総会で検討に

今回の報告会の主な話題は、先月行われたICANN上海会議での議題に関するものがメイン。冒頭に報告に立ったJPNICの入交尚子氏によれば、その上海会議では問題となっていたICANN組織改革の大枠が正式に決定され、12月14~15日にアムステルダムで行われるICANN年次総会での議決を経て、正式に新組織に移行することが内定した。

その中身だが、理事会について1名のリエゾン(議決権のないメンバー)が追加され、指名委員会のメンバー構成に「At-Large諮問委員会」のメンバーが加えられた。また、GAC(政府諮問委員会)の代表が議決権を持つ委員からリエゾンに格下げになった点などの細かい変更はあったものの、大筋で6月のICANNブカレスト会議にて採択された青写真そのままとなった。

ちなみにAt-Large諮問委員会とは、今回の上海会議で新たに追加された組織で、五大陸それぞれに設置される予定の「自主At-Large組織」から各2名ずつ、それと指名委員会からの5名が加わり、計15名で構成される委員会だ。これは従来のICANNでは一般会員(At-Large Member)が直接選挙で理事を選んでいたのに対し、今回の改革では一般会員の関与が大幅に薄められていることに対する反発が思いのほか強かったことを受けて設置されたもの。ただこの「自主At-Large組織」というのがどのようなものになるのかはこれから議論されることになっている。

なお、実際にこの新組織に移行するとなるとその移行手順を定める必要があるが、その手順は具体的にはまだ未定ということで、12月の年次総会でそのあたりの話題が議論されることになっている。また指名委員会の委員選出方法など、組織運営に関してまだ決まっていない事項も多いため、そのあたりは順次整備を行っていく予定とのことだ。

○ccTLDはRIRsのような「緩やかな独立」を目指す

さて、冒頭でも述べた「ccTLDのICANNからの独立」問題だが、具体的に何が原因でそのような問題が起きてしまっているのか、またなぜccTLDは独立を望んでいるのか、といった点についても今回の会合では説明があった。

説明に立ったJPRS(日本レジストリサービス)の大橋由美氏によれば、今回の問題の発端は、ccTLDを管理する各国のレジストラに対し、ICANNサイドから「ICANNが管理するIANAデータベースの更新を行う条件として、各国レジストラの持つccTLDゾーンファイルへのアクセス権を与えるように」という要求が出されたことが原因だという。ここで言う「IANAデータベース」とは、各国の国別ドメインを管理する組織や、各ドメインに対応するDNSのIPアドレスなどの情報が格納されたデータベースのことを指すが、技術的にはこれを更新するからといってccTLDゾーンファイルを操作する必要性は全くなく、事実従来そのようなことは行われてこなかった。それなのに今回唐突にICANNからそのような要求が出されたため、ccTLDレジストラからは「ICANNによる不当な干渉だ」という反発を招き、脱退騒ぎにまで発展したという。

現状としては、同じくICANNの管理下にありながらも事実上独立した形で運営されているRIRs(Regional Internet Registry)の形態を見習い、ccTLDも同様の形態で運営を進めていく、という動きが進んでいるとのこと。IPアドレスの割り当てを管理する組織であるRIRは現在世界に4つ(APNIC、ARIN、RIPE NCC、LACNIC)存在し、形の上では一応、ICANNが各組織にアドレスブロックを割り当てる権限を持つことになっているが、実際にはRIR間で独自にアドレスブロックなどの調整が行われ、ICANNは特段問題が発生しない限りRIR間での調整結果を追認する状態になっている。これと同じようにccTLDレジストラが独自にIANAデータベースの管理を行い、ICANNは何か問題が起きたときだけ調整を行うようにできないか、というのがccTLDレジストラサイドの思惑だ。

ただこの問題については、主にヨーロッパの参加者から強硬な独立論が聞かれる一方で、他地域ではむしろ独立に消極的な動きも見られるようで、必ずしもccTLDレジストラが一枚岩になっているわけではない。ICANNサイドからの独立を阻む巻き返し工作も今後予想され、いろいろな思惑をはらみつつ今後も議論が続くことになりそうだ。

○いよいよ国際化ドメインの本格導入が間近へ

今回のICANN報告会では、ICANNの組織改革とは別にもう一つ大きな話題があった。それはいわゆる「国際化ドメイン」の問題に関する話題だ。ドメイン名にアルファベット以外の文字の使用を可能にする国際化ドメインについては既に登録受付が開始されてから2年以上が経過しているが、国際化ドメインの技術的な仕様がこの程ようやく固まり、RFC化の目処が立ったということで、今回の上海会議では本格的な運用に向けた議論が行われ、その模様がJPNICの丸山直昌氏より報告された。

まず国際化ドメインでは、日本語や韓国語・中国語などの言語のドメインをアプリケーション内部で一旦「bq--」(RACE方式の場合)などの接頭語を付けたアルファベット文字列に変換して使用することが定められているが(例:「セガ.jp」→「bq--gc52y.jp」)、ここで問題になるのが、既に変換後のドメイン名が登録されている場合。実際国際化ドメインの登録受付開始時には、大量に「bq--」で始まるドメイン名を登録して優先権を主張する業者も現れたくらいだ。そのため現在ドメインの登録業務を扱う主要なレジストラでは、混乱防止のために「??--」(??は任意のアルファベット2文字)で始まるドメイン名の登録を拒否するようになっているのだが、これをccTLDやgTLDのレジストラ全てに義務付けるといったことが議題に上ったとのこと。

また実際に国際化ドメインの使用を開始するためには、ドメイン名の文字の正規化や異体字のチェックなどを行う仕組みを登録管理システムの中に組み込まなければならないのだが、海外のレジストラからは「そのためにはシステム改修に多額の費用がかかり、とてもペイしない」といった声が多く聞かれているという。あるレジストラからは「改修には60万ドル必要になる」という話も出ているとのことで、今後こういった費用面の問題が話題に上ってきそうだ。

【コラム】ハイテクウォーカー 第35回 執筆=佐藤晃洋 ICANN改革の行方
http://pcweb.mycom.co.jp/column/hitech/hitech035.html

【連載】最新IT用語解説 第11回 執筆=佐藤晃洋 日本語ドメイン(Japanese Domain Name)
http://pcweb.mycom.co.jp/career/ityougo/2001/011.html

ICANN
http://www.icann.org/



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