【Comdex Fall 2002 レポート】Baniasのライバル登場!? 存在は確認されたTransmetaの「ASTRO」

      [2002/11/22]

    来年のモバイル向けCPUは、Intelの「Banias」一色で染まりそうな雰囲気がある。だが、そこに「待った」をかける存在が出てきた。Transmetaの次世代Crusoe「ASTRO(開発コードネーム)」である。同社は、Comdex期間中に顧客や報道関係者を対象にASTROの動作デモを行い、その順調な開発状況をアピールした(ASTROは「TM8000」としてロードマップに記載されているが、Transmetaのスタッフの説明がASTROという名称で統一されていたため、今回はASTROと表記する)。

    ASTROの動作デモは、Crusoe搭載製品を展示していた会議室のさらに奥にある薄暗い小部屋の中で行われた。デモ・システムは黒いケースの中に収められていたため、ASTROの存在は確認できなかったが、説明のスライドに映されていたASTROを見る限りでは、ダイサイズがTM5800よりもかなり大きくなっている。デモは、動画の再生、アプリケーションの起動など簡単なものにとどめられたが、印象的なパフォーマンスを示している。例えば232ページと長いWord文書がASTROではストレスなく開いてしまう。Windows XPになって、特に遅くなったと言われる「ヘルプとサポート」もスンナリと起ち上がる。現行のCrusoe搭載機と比べると、違いは顕著である。さらに、「同じコンフィギュレーションではないので正確には比べられないが、アイディアは分かってもらえると思う」と前置きした上で、1.8GHzのPentium 4-Mを搭載したVAIO GRXと「ヘルプとサポート」を同時に起動してみせた。すると、ASTROの方が7秒速く作業を終了したのだ。

    しかし、残念ながら報道関係者向けのデモはここまで。「スニーク・プレビュー」ということで詳細については一切明らかにしない。ただし、年内のサンプル提供が可能という状態になっているそうで、顧客向けにはじっくりと時間をかけてデモを行っていた。

    では、以下はTransmetaのシニア・アプリケーション・エンジニアTom Jones氏によるASTROの説明である。

    --まず、TM5800とASTROの違いを説明してください。

    ASTROで、私たちは演算効率を完全に定義し直しました。CPUを完全に最初から作り直したと言えます。これまでの7年間の経験で私たちも色々と考えさせられました。その第1世代から得たすべてを注ぎ込んだのがASTROです。今は、スピードを重視するか、それとも省電力性を中心に考えるかという選択が求められますが、そのような選択を不要にするアプローチを私たちはとったのです。具体的には、現在のプロセッサでは4つのインストラクション・セットを一度に処理していますが、ASTROではそれを2倍にしました。8つを処理できるのはASTROだけです。これがデモンストレーションのような効率的なコンピューティングを可能にしているのです。

    --VAIO GRXと比較したデモもありましたが、これまでCrusoeの対象ではなかったフルサイズのノートPCもターゲットにするのでしょうか?

    ASTROのパフォーマンスを評価した結果では、すべてのセグメントを対象にできると考えています。

    --製品の展示室にはCrusoe搭載のデスクノートもありましたが、ASTROが登場すればデスクトップCPUの代替として使われることもありそうですね。

    可能性としてあります。コンピューティングの効率性を向上させることで、可能性は大きく広がります。それが私たちがASTROでとったアプローチなのです。

    --逆にCrusoeの持ち味である省電力性が損なわれるのではと感じるのですが?

    今、Crusoeに期待されているような、もしくはそれ以上に効率的な省電力性をASTROでは実現します。

    --CMSはどのように変わるのでしょう?

    もちろん、CMSも最初から書き直しています。詳細については今は話せませんが、コアの性能面での優位性を十分に生かせるものになります。

    --ASTROを搭載した製品はいつ頃登場するのでしょうか?

    私たちは2003年の第3四半期をターゲットとしています。

    --Baniasとぶつかりますね?

    それが私たちのターゲットなのです。Intel製品についてはコメントできませんが、私たちは優れたソリューションを適切なタイミングで提供できるとだけ言っておきます。

    --Transmetaの技術よりも、製造が大丈夫なのかと心配になるのですが?

    今は順調です。一時は、スケジュールの遅れや言い訳の積み重ねでフラストレーションがたまりましたが、今は良好な関係を保っています。

    (Yoichi Yamashita)

    フルスペックの機能を手のひらサイズにつめこんだUltra Personal Computerの開発サンプル
    TM5800のデモに使われていたFujitsuのLoox
    ECSのデスクノート A907。デスクノートにCrusoeが採用されたのは意外ではあったが、新たな可能性を再確認できたとJones氏

    【NewsSpecial】Comdex Fall 2002 レポート
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/special/2002/11/18/01.html

    Transmeta
    http://www.transmeta.com/

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