【ブリーフレビュー】ThinkPad10周年記念の最新ノートPC「モスキート」プラモを自作する

      [2002/10/16]

    IBMのノートPCシリーズ「ThinkPad」が、2002年10月で10周年を迎える。初代の「ThinkPad 700C」の発売が1992年10月のこと。その前年、日本IBMの大和事業所は「PS/55Note」を開発しているが、世界ブランドとしてThinkPadの名を冠したモデルは、700Cが初めてだった。

    2002年、10周年を記念して同社は限定モデルの「ThinkPad X30 10th Anniversary Limited Edition」を発表しているが、今回、東京ビッグサイトで開催中のWPC EXPO 2002にあわせ、新たな記念マシンが登場した。

    それがコードネーム「モスキート」、正確には「Great Mosquito Special(GMS) 2630-3MQ」と呼ばれるミニノートPCだ。大きな特徴は、液晶部分を開くと分割されたキーボードがせり出し、フルサイズのキーボードとなる「TracWrite」を搭載した点。そのギミックから、「バタフライ」という愛称でも知られた懐かしの「ThinkPad 701C」の弟分とも言える、同社の意欲作だ。

    モスキートの箱
    きちんと10th ANNIVERSARY ThinkPadのロゴが

    しかし、最大の特徴はTracWriteではない。ノートPCでありながら自作しなければならない、という点だ。ここでは、新モデル「モスキート」の作成手順を解説する。

    ○レッツ組み立て

    と、大げさに書いてみたものの、このモスキート("バタフライ"のミニ版だから"モスキート")、模型である。正確に言えば「ThinkPad 701C」の65%スケール・モデルの模型だ。だが、これがまた、非常に精巧かつ正確な出来栄えなのだ。

    それもそのはず、中心となってモスキートを開発したのが、「PS/55Note」をはじめ、長らくThinkPad開発の中心にいた面々で、図面を引き、金型を作り、そうして作り上げた渾身の一作なのだ。

    というわけでさっそく組み立ててみよう。開いてみると、細々といろいろな部品が入っており、思ったよりパーツが多い。ほとんど「バタフライ」キーボードのためのパーツと言っていい。ランナーはなく、切り離してバリを取る手間はない。

    パーツは多め。ただ説明書は詳しく、簡単に作れる……と思っていたのだが
    ThinkPadカラーのドライバー。柄が黒いだけで普通のドライバー

    まずは2つに分割されたキーボード。ThinkPadでは必須のトラックポイントを取り付ける。トラックポイントの質感はあまりよくないかもしれない……。ちなみに、キーはすべて据え置きで動かない。残念。

    真っ二つのキーボード
    裏側からトラックポイントを差し込む
    表から見るとそれっぽい

    マザーボード(?)

    続いてマザーボード(というか単なる板)に、キーボードを展開するためのピストンを装着。あまりネジは締めすぎないように。その後、マザーボードとキーボードを取り付ける。マザーボードにはキーボードの動きにあわせた溝が掘ってあり、それに沿ってキーボードが動くように、アームとギアを取り付ける。ギアはちょっと力を入れ、きちんと下まで押し込もう。アームのネジ止めは緩くするのがミソ。


    ピストン装着中
    こんな感じになる
    キーボードはこういう風につく
    アームとギアを設置していく
    まだまだ
    ギア設置中

    マザーボード+キーボードに、今度は中蓋を取り付ける。中蓋には、無色透明のクリアパーツと、輝くブラックのクリアパーツをそれぞれ装着しておく。何かと思えば、透明のものはLED、ブラックはIrDAポートだ。

    中蓋
    LED
    芸が細かくIrDA

    さらに本体受け皿を組み立てる。サイドカバーとスライドカバーを装着。サイドカバーにはI/Oポートが並ぶ……が、すべてダミー。スライドカバーもきちんと開くのだが、開いたからといって何か起きるわけではない。

    本体受け皿にサイドカバーを付ける
    スライドカバー

    さあ、完成が近づいてきた。

    次に受け皿に本体を取り付ける。4カ所をネジ止め。背面側左方のネジを締めすぎないのがコツ。受け皿裏にはきちんとバッテリーロックスイッチなどもあり、細かい。しかもこのスイッチロゴの印刷、大和事業所のThinkPad開発グループから「色が白すぎる。もっと灰色を加えて」と"ダメだし"を食らったという。本気です、この人たち。

    本体を取り付け
    ネジ止めは四隅

    いよいよモニターの取り付けだ。モニターカバーを本体にはめ込み、最後にモニター枠をカバーにはめる。モニター枠にはカバー開閉用のフックも取り付け。この開閉フック、ThinkPadとしては定番の左右2カ所取り付けるのだが、片方ずつ動かせば開けられる。これは最近のThinkPadシリーズに共通で、障害者が片手でも開けられるように、というバリアフリー設計が、きちんとモスキートでも採用されているのだ。モニター枠をきちんとネジ止めし、いよいよ完成だ。

    こうやってモニターを取り付ける
    モニター枠に取り付ける開閉フック

    ○モスキート、見参

    とうとうモスキートが、その本当の姿を現した。文章で書くとあっさりとした感じだが、これまでに要した時間は約4時間(!)。筆者はかなりプラモデルが苦手、というか小学校時代の"ガンプラ"以来のプラモデル作成だったので苦戦した、ということでご容赦いただきたい。実際、IBM側も認めているように、なかなか難易度は高い。

    というわけでようやく完成!
    本体背面。"ダメだし"を食らったバッテリーロックのプリントに注目

    ようやくキーボードも問題なく稼働するようになった

    特に難しいのが、やはりキーボードだ。これがうまく稼働しない。何度となくネジをはずし、蓋を開け、ギアやアームの調節を繰り返し、ようやく液晶部を開くとキーボードがきちんと飛び出し、液晶部を閉じるとキーボードが格納されるようになった。閉じるときは慎重に閉じれば、キーボードがスライドして格納される。非常に満足。

    完成した製品は、さすがThinkPad。素材自体、ThinkPad製造工程で出た廃棄物を利用しており、質感もなかなか。ちなみに本体サイズは約160(W)×約130(D)×約30(H)mm、340g(実測値)。さすがに質量はともかく、本体寸法は見事に約65%モデル。大きさとしては、ソニーのバイオUに近いサイズといえるだろう。

    意味もなくサイズ比較。ThinkPad s30・携帯電話と
    似たようなサイズのバイオUと

    (なぜか)秋葉原の「カレー 東洋」にて開催されたお披露目会で登場したこの新作。設計図をきちんと引き、金型を作成、ThinkPadを作り上げた面々が送り出す意欲作「モスキート」、是非手に入れて組み立てていただきたい。

    ○入手先は?

    というところで、問題はその入手方法。現時点では、お披露目会で報道関係者向けに配布されたのみだが、すぐに入手のチャンスはやってくる。

    WPC EXPOの日本IBMブースでは、「ThinkPadの強固なセキュリティーにチャレンジする」、というイベントが行われる。1時間ごとに行われ、現地の抽選で選ばれた挑戦者が、ThinkPadに搭載されたパワー・オン・パスワード、ハードディスク・パスワード、IBM Client Security Softwareのパスフレーズをすべて解き、マイドキュメント内の暗号化されたファイルを開き、その中のキーワードを読み出せば勝利。勝利者には、好きなThinkPadを1台プレゼントする、というもの。Banias搭載モデルもOKという、何とも太っ腹な企画だが、日本IBM側は「絶対に解けない」と自信満々。

    残念ながら解読ができなくても、参加賞として、挑戦者にはこの「モスキート」がもれなく提供されることになっており、いち早く模型バタフライを手に入れたい方は、ここで挑戦してみてはいかがだろう。また、11月以降は、ThinkPad購入者への特典などの企画が検討されているという。

    ちなみにこのモスキート、「Not for Sale, Not for Auction」(もちろんジョーク)である。

    モスキートの仕様
    是非チャレンジして欲しい

    実際にキーボードが開く様子
    WMV形式、185KB

    ○2630-3MQの主なスペック

    OS地球上に存在するすべてのOSを永遠にサポート
    本体サイズ兄貴分"バタフライ"の65%サイズ
    質量超軽量。月まで飛んでいくほど。
    CPU内蔵されず。ゆえにどんなCPUも選べるが、動かすのは至難
    メモリバッテリーなしで(メモリが)動く新技術を待て
    ストレージ記念写真を1枚だけ保持できる
    キーボード偉大なIBMのTracWrite技術による19mmピッチ フルキーボードの65%サイズ。ただし感触はよくない
    ディスプレイバタフライの65%サイズだが"I-Try"をサポート。True Colorとプリント写真品質対応。ただし、エプソン/キヤノンの(プリンタ)技術に依存
    I/Oダミーのレガシーポートのみ。USB2.0はなし
    素材カーボンファイバーとABS樹脂
    その他の機能進化した終日におよぶ"Peak Shift technology"
    組立用ツール特別なスクリュードライバー(ThinkPadカラー)
    * お披露目会で発表されたスペックを翻訳。意味はない

    (小山安博)

    日本IBM、ThinkPad 10周年記念モデルを計画 日本国内のみの2002台限定
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/09/10/17.html

    なつかしのThinkPadが一堂に、「IBM Design from Japan展」開催
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/12/18/05.html

    日本IBM
    http://www.ibm.com/jp/

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