【IDFレポート】錯綜するメモリロードマップ

IDF2日目となる9月10日、Technical SessionでIntelの現時点でのメモリロードマップが明らかにされたので、簡単にご紹介したい。

○PC1066、DDR400、DDR-II 400

DDR266に加え、まもなくDDR333プラットフォームがリリースされるが、これに引き続きサポートされるメモリプラットフォームが説明された。

春のIDFから比べ、PC1066とDDR333が正式にサポートに加わったのがロードマップ上の大きな違い

まず今年のおさらいをすると、RDRAMに関してはPC1066が、DDRに関してはDDR333がそれぞれリリースされるが、これに引き続きDDR400が現在検証中であり、さらに2004年を目処にDDR-IIも検証が行われている事が確認された。

まずDDR333に関しては、すでに検証フェーズも完全に終了しており、プラットフォームも準備されていることがアナウンス。まぁ、Intel845PE/GEというプラットフォームはアナウンス直前の状態だから、これは不思議な話ではない。

またPC1066に関しても検証は完了しており、「プラットフォームの準備が整った」というアナウンスがなされた。ただ、これに関しては新規プラットフォームというよりも、既存のIntel850EでPC1066を追加サポートいう事になると思われる。

準備万端といった状態のDDR333サポート。来月にはサポートチップセットが登場すると言われている
あまり詳細な記述の無いプレゼンテーション。「準備OKだ」とスピーカーは語っていたが……

ただ、今年6月の時点でIntelは850Eの開発部隊をすでに解散させており、今後のサポートはないとOEMに話しているそうで、現実問題としてどの程度真面目にPC1066をサポートするのか、図りかねる部分ではある。すでにASUSTeKを始め何社かがPC1066 RIMMあるいはPC4200 RIMMのモジュールをサポートした製品をリリース、あるいは準備しており、この数社でサポートは終わることになりそうだ。

これからといった状態のDDR400。"2.5Vコア"と明記したことで、Samsungの2.6Vコアのサポートは考えていないことが明確にされた

続いてDDR400である。既報の通り、JEDECではDDR400をロードマップに含めていないため、何のスタンダードも無い状態が続く。モジュールの出荷を開始したSamsungにしても、ガーバーはPC2700のものをそのまま流用しており、また消費電力の向上に伴い電圧を2.6Vに上げた、いわば独自仕様のDDR400という扱いになっており、Intelはあくまでもコンサバティブなアプローチを考えているようだ。

すなわち、まだDDR400はフィジビリティ(要求仕様をまとめる段階)にあり、Intelとしても標準化の動きが見えるまでは製品プランは立案しない、という立場だ。また、Samsungの2.6Vコアに関しては無視、というよりもあくまで2.5Vコアでのサポートを考えているようで、その意味ではまるっきりNo Planということになる。むしろ標準化の動きが無いことを口実に、それ以上踏み込むことを避けているというのが正直なところだろうか。

DDRIIははるかに話が進んでいる。現時点では、2004年に明確に立ち上げることを計画している

一方DDRIIに関しては、現在プロトタイプのフェーズにあり、まだ残作業が多いほか、歩留まりの向上や1.8Vプロセスの大量生産などに問題は残っているものの、2004年の立ち上がりにあわせて順調に作業が進んでいることが報告された。

ところで、Intelの将来のDRAMに関するメッセージはやや印象深いものであった。ご存知の通り、Commodity DRAMはEDO DRAM→PC100 SDRAM→PC133 SDRAM→DDR266 SDRAMという流れになっているが、その間にDirect RDRAMが挟まったり、DDR SDRAMに関しても強烈な値崩れによって国内ベンダーや韓国Hynixが事実上撤退したり、というわけでCommodity DRAMのマーケットを狙うのは以前よりリスクが高くなりつつある。

"One DRAM Technology Core"にこだわるIntel。「差別化はDRAMコア以外の部分で」と言うのはIntelからすれば至極真っ当な意見だが、DRAMベンダーからすれば困ったことであろう

その結果、メモリ各社はより付加価値の高い製品展開(DDR333~DDR400)を行うか、ニッチ市場を狙っての独自のメモリを作ってゆくか(FCRAMやMobileRAMなどがこの代表)といった選択肢になってゆく訳だが、IntelとしてはあくまでCommodity DRAMにのみフォーカスすることを改めて宣言した。これは要するに、もはやDirect RDRAMの路線に回帰することはありえず、もっともCommodityに近いJEDECのスタンダードを今後も遵守する、という事を事実上宣言したと考えても間違いではなさそうだ。


○Micron Roadmap

Intelに引き続き、Micron Technologyによるメモリロードマップの説明が行われた。まず、大雑把なメモリのロードマップが示され、今後の製品は加速度的にデータレートが上がることが示された。また、消費電力の観点から言えば、通常の動作時の消費電力は徐々に下がっているが、最大消費電力はむしろ上昇傾向にあることが改めて確認された。

気になるのは、DDRII 533からDDRIII 800までの間に、やや間隔があること。とりあえず直近の2003年一杯はDDR333で凌ぐことになりそうだが、同じ事が2006年にも繰り返されそうだ
最悪値がどんどん上がってゆくのは、SDRAM→DDR→DDRII→DDRIIIと進化する過程で、同時に動作するメモリバンクの数が倍に増えてゆくのが一因としている

さて、気になるDDR400であるが、現時点では大きく3つの問題があるという。

  • メモリコアの周波数が200MHzに達するため、JEDECによる標準化もなく、またこれを生産できるベンダーの数は限られるし、歩留まりも上げられない。
  • 標準のターミネータを利用すると、(周波数特性の関係で)信号の送受信が難しい上、タイミング的なゆとりがない。
  • DDR333と比較して消費電力が20%以上増える上、システムによっては接合部温度が100℃の限界を超えてしまう。

といったもので、この結果コストがどうしても大きく上がってしまうことは避けられないとしている。

いろいろと問題の多いDDR400。スピーカーの口調も、「積極的にこれを克服する」というほど熱の入ったものではなかった

この「コアの周波数」というものが、今後もバンド幅の上限を定めることになる、というのがMicronの見方である。つまり、

コア周波数DDRDDRIIDDRIII
100MHzDDR200DDRII 400DDRIII 800
133MHzDDR266DDRII 533DDRIII 1066
166MHzDDR333DDRII 667DDRIII 1333
(200MHz)(DDR400)(DDRII 800)?

という関係だ。ここで、コア周波数が200MHzとなるDDR400やDDRII 800は、メモリトレンドから明らかに外れると同社では予測している。ただしDDRIIIの世代になると、プロセスはかなり微細化されており、あるいは400MHz近くまでコアの速度を上げられる可能性も残っているが、すくなくともDDRII世代ではそれは無い、というのが同社の意見だ。

DDRIII世代に関しては、8nのバンク構成にするか、4nのバンク構成のままスピードを上げるか、まだはっきりとは決まっていないようだ
DDR400に対するDDRII 400のアドバンテージの1つが消費電力。DDRII 400は、DDR400の半分とは言わないまでも、大幅に消費電力を減らすことが可能になっている

ちなみにDDRII世代では、大幅に消費電力を下げることを目標としているほか、平均2年間隔でメモリ密度があがっているため、現在主流になりつつある256Mbitメモリは2005年頃には512Mbitsメモリに取って代わられ、その後2007年あたりには1Gbitsが主流になる、という見通しが立てられている。これに伴い、容量あたりの単価はどんどん低価格化してゆくという目処も語られた。

今のところはムーアの法則がDRAMの世界でも適用できている
2006年には、1Mbitあたりの単価が0.006$とかまで落ちると予測されている。1GBのメモリを実装しても50$ほど。ホーム向けPCもGBメモリの時代になりそうだ

○結論

以前は、DRAM2大メーカーであるSamsungとMicronが相次いでDDR400の生産を開始することで、なし崩し的にDDR400のマーケットが(ハイエンドデスクトップを中心に)発生し、これをIntelも後追いでサポートしてゆくといった見通しが語られてきたが、Micronは今のところ積極的にDDR400の生産を行う、という動きにはならなそうだ。

また200MHzのDRAMコアを製造できるベンダーが極めて少ないがゆえに、製造方法を一般化するのは難しい状態で、更に消費電力や発熱の問題もり、JEDECでの標準化の目処は全くたっていない。VIAがKT400やP4X400で公式サポートをDDR333までに留めているのも、ひとつはこのあたりが理由である。加えて言うならば、今のところMicronはSamsungの2.6Vコアの方式に追従する計画を表明しておらず、このままだとDDR400と呼ばれるメモリが2種類登場することになりかねない。

こうした状況では、どちらかを公式にサポートするか選ぶか、あるいは両方をサポートするといった厄介な手間をかけることになりかねず、それを嫌ったというのもあるだろう。今回のIntelとMicronの講演を聴いた限り、DDR400マーケットが立ち上がる可能性は少ない(か、ごく小規模で終わる)という感想を抱いた。

(大原雄介)

【News Special】IDFレポート
http://pcweb.mycom.co.jp/news/special/2002/09/10/01.html

【Platform Conferenceレポート】DDR空白の2003年にとまどうチップセットベンダー
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/07/22/21.html

Intel
http://www.intel.com/



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