【レポート】メモリ技術解説(3) DDR IからDDR IIへ、DDR-SDRAM

  [2002/09/06]

○DDR-SDRAM

「SDRAMをもっと高速に」という要求は当然のごとく生まれたが、半導体プロセスは急速には進歩しない。そこで考え出されたのが「DDR-SDRAM(Double Data Rate SDRAM)」である。

現状の半導体プロセスでは、DRAM内部の動作クロックは100MHz程度が限界である。SDRAMはこの内部動作クロックにインタフェースの動作クロックを併せたものであるが、データのやりとりを行なうインタフェース部分は、ラッチとバッファで構成されるだけなので高速動作が可能である。DDR-SDRAMはこの考えをもとに、内部速度はそのままでインタフェースの動作クロックを向上させたものである。

DDR-SDRAMは、すでに販売されている第一世代のDDR Iと2003年より販売が開始される第2世代のDDR IIがある。

・DDR I

DDR-SDRAMの大きな特徴として挙げられるのは、バースト転送を前提に、メモリセルとのデータのやりとりをパラレルに行なうしくみになっていることである。DDR Iでは2つのパラレルラインによりやりとりが行なわれる。

次の図はDDR Iのリード動作を示すブロック図である(ライト時は逆)。SDRAMの内部インタフェースは1本であるがDDR Iではこれを2本とし、1クロックサイクルでデータ1、2の2ワード分をラッチに取り込む(このしかけは近年のマイクロプロセッサに採用されているスーパースカラの命令フェッチと同じである)。取込まれた2つのデータは1本のインタフェースで転送されるため、内部インタフェースの倍の速度で出力される必要がある。

2ワードプリフェッチ構成

通常であればこのような場合、外部インタフェースのクロックを基準クロックとして内部インタフェースにはそれを2分周したクロックを用いた方が良いように思えるが、DDR Iでは1つのクロックの立上りと立下りに同期した1/2クロック周期(ディファレンシャル・クロック)でのデータ転送を採用している。これによりクロックを上げることによる消費電力アップ、分周回路による遅延、メモリセルのドライブ性能の低下といった問題を解決している。ちなみにSDRAMの電源電圧は3.3Vなのに対し、DDR Iでは2.5Vを実現している。なお2ワードプリフェッチ構成なので、バースト長は2/4/8の3つである。

コントローラとの信号接続

インタフェースはSDRAMとほぼ同等であるが、次のものが追加されている。

/CLK CLK(クロック信号)の反転信号。DDR Iでは外部インタフェースに必要なディファレンシャル・クロックを実現するため、CLKと/CLKの2つのクロック入力を備え、双方の信号の交点を基準にタイミングを生成する
DQS(データ・ストローブ信号) DDR Iではメモリコントローラとの間で高速なデータ転送を実現するため、DQSという信号を採用している。データを送る側はデータとともにDQSを出力し、受け取る側はその信号を受けてデータを取り込むタイミングを調整する。ノーマル時はハイインピーダンスで、データ転送が行なわれている間は1ワードごとにH/Lのトグル動作を繰り返す。

次の図はバースト長4のときのDDR Iのリード/ライトにおけるタイミングチャートである。ここでのCL(CASレイテンシ)は2.5で、DDR Iの場合のCLは2または2.5である。ライト時の各ワードデータはDQSのトグルエッジタイミングより前に転送されているが、これはDDR IではクロックではなくDQSのエッジでデータをラッチしてメモリに書き込むためである。

DDR Iのリード/ライト・タイミング

DDR IではDQSと入出力ライン(DQ)が高速動作を実現するために非常に重要であり、そのため内部にDLL(Delay Locked Loop)回路が採用されている。DLL回路とは配線負荷などにより発生する外部インタフェースの遅延時間を制御し、内部クロックとの同期を調整する回路である。

複数のSDRAMで構成されるパソコン用のメモリモジュールはDIMMと呼ばれ、現在DDR I採用のDIMMとして次のものが提供されている。

モジュール規格 チップ規格 モジュール帯域幅 動作クロック
PC1600 DDR-200 1.6GB/s 100MHz
PC2100 DDR-266 2.1GB/s 133MHz
PC2700 DDR-333 2.7GB/s 166MHz

・DDR II

DDR IIは2003年より量産が開始される第2世代のDDR-SDRAMで、チップ規格としてはDDR-400が、モジュール規格としてはPC3200がこれに該当する。DDR Iとの主な違いは次の表のとおりで、コマンドインタフェースについてはDDR Iと互換性をもつ。

項目 DDR II DDR I
動作クロック 200/266/333MHz 100/133/166MHz
伝送レート 400/533/667Mbps 200/266/333Mbps
プリフェッチ 4ワード 2ワード
バースト長 4/8 2/4/8
電源電圧 1.8V 2.5V
消費電力 304mW(266MHz時) 418mW(133MHz時)
パッケージ FBGA TSOP

大きな特徴はプリフェッチで、DDR Iで2ライン用意された内部インタフェースが倍の4本に拡張された構造となっている。そのためDDR IIの外部インタフェースは内部インタフェースの4倍の速度でデータ転送を行なう必要があるが、DDR Iのディファレンシャル・クロックだけでは2倍の速度しか実現できないため、DDR IIでは2倍の周波数のクロックを採用し、内部に分周回路を設けた。つまり、DDR Iの2倍の周波数をクロック入力として外部インタフェースに用い、内部インタフェースにはこれを2分周したクロックを用いるという方法である。

DDR IIの4ワードプリフェッチ構成

DDR IIのリード/ライト・タイミング

この方法とそれに伴うDLL回路の強化により、内部動作はそのままで、伝送速度をDDR Iの2倍に向上させるとともに、1.8V動作も実現している。なお4ワードプリフェッチ構造のため、バースト長は4/8の2種類のみである。

DDR II採用のメモリモジュールとしては、次のものが予定されている。

モジュール規格 チップ規格 モジュール帯域幅 動作クロック
PC3200 DDR-400 3.2GB/s 200MHz
PC4300 DDR-533 4.3GB/s 266MHz
PC5400 DDR-667 5.4GB/s 333MHz

DDR-SDRAMはそのコントローラが多くのマザーボードに搭載され、またAMDのHammerなどプロセッサ内部にも組み込まれる傾向にあることから、今後のメモリモジュールの標準デバイスとされている。

(藤広哲也)

【レポート】メモリ技術解説(4) パケット方式を採用、Direct RDRAM
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/09/06/19.html
へ続きます

【COMPUTEX TAIPEI 2002レポート】RDRAMのPC1066や、DDRのDDR400など高速メモリの動向を担当者に聞く
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/06/07/11.html

【IDFレポート】メモリ動向に大きな影響力を持つ3社の見解は? DDR IIIは?
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/04/19/16.html



IT製品 "比較/検討" 情報

転職ノウハウ

あなたが本領発揮できる仕事を診断
あなたの仕事適性診断

シゴト性格・弱点が20の質問でサクッと分かる!

「仕事辞めたい……」その理由は?
「仕事辞めたい……」その理由は?

71%の人が仕事を辞めたいと思った経験あり。その理由と対処法は?

3年後の年収どうなる? 年収予報
3年後の年収どうなる? 年収予報

今の年収は適正? 3年後は? あなたの年収をデータに基づき予報します。

激務な職場を辞めたいが、美女が邪魔して辞められない
激務な職場を辞めたいが、美女が邪魔して辞められない

美人上司と可愛い過ぎる後輩に挟まれるエンジニアの悩み

特別企画 PR

人気記事

一覧

イチオシ記事

新着記事

[菜々緒]スタッフのミスに“鉄拳制裁” 強烈ビンタは否定も…
[12:25 5/28] エンタメ
[山崎賢人]初めての相手は菜々緒 強烈ビンタに「気持ちよかった」
[12:02 5/28] エンタメ
「ポーの一族」新作や萩尾望都×山岸凉子の対談がflowersに、穂積の新連載も
[12:00 5/28] ホビー
くりぃむ上田がご満悦… ダメージジーンズ作りに「最高の出来」
[12:00 5/28] エンタメ
[とと姉ちゃん]“朝ドラ女優”ブレークの秘密 「森田屋」秋野暢子&ピエール瀧が語る
[12:00 5/28] エンタメ

特別企画 PR

求人情報