各チームには、競技に先立って5分間のプレゼンテーションが課せられている。ここでは、現実のレスキュー活動の中でロボットには何が求められるのか、各チームの考えを述べ、それに従ってどういった点に気を配ってロボットを制作したかを説明しなければならない。アームの部分にスポンジ状のクッションを装備するなど、救助される側に立った設計をしているチームも多く見られた。競技の点数だけでなく、レスキューに対する考え方も重要な評価対象となっているのだ。
ロボットの構成に関する考え方も各チームで異なっていた。カメラによる状況把握、ガレキの除去、ダミーの救出、救出したダミーの搬送など、レスキューロボットには様々な機能が必要となってくる。これらの機能を別々のロボットに分散させれば、それぞれの機能に特化した身軽で高性能なロボットが制作できるが、どれか1台が故障したらその時点でレスキュー活動を続けることはできなくなってしまう。逆に、全ての機能を搭載したロボットを複数用意すれば、故障時のリスクは低減できるが、サイズが大きくなるため高速移動ができなかったり、操縦が複雑になって誤動作が増えたりといったデメリットが生まれる。将来、現実にレスキューロボットが活躍することとなったときにはどんな構成が有効なのか、興味深いところである。
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| 機能分散型か汎用型か。各チームにより考え方は異なっており、今回の競技会ではどちらかの構成が目立って有利ということはなかった | |
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| 今回唯一の高校生チーム「都工機械電気科」は、ファイナルミッションでは最も短時間に救助活動を完了した |
得点評価で最も高いポイントを獲得し、総合優勝を獲得した高松工業高等専門学校のチーム「高救会」は、ガレキ除去とダミー救助のためのアームと、ダミー搬送のためのベッドを備えた汎用型ロボット3台で救助にあたった。フィールドとベースの間に移動専用の台座型ロボットを用意し、移動が低速な汎用型ロボットの弱点を補っていた。一方、競技だけでなくレスキュー工学の観点から選定され、コンテストで最も上位の賞である「レスキュー工学大賞」に輝いた明石工業高等専門学校のチーム「ガーディアンズ」は、アーム型ロボット2台とダミー搬送専用ロボット1台で役割分担していた。
また、競技中に思わぬアクシデントが発生するのは現実のレスキューと同じ。最終競技で、京都大学・高知工科大学・徳島大学・社会人の混成チーム「OPCT-graduates'R」が2体目のダミーを救出し、あとはベースまで搬送するだけというとき、ダミーを乗せたロボットがガレキに乗り上げて動けなくなってしまった。操縦不能になったロボットは、一旦ベースまで戻す"リスタート"を宣言することもできるが、タイムリミットが迫り、リスタートで間に合うか微妙な状況。そこでオペレータが機転を利かし、別のロボットを回り込ませて後ろから押し出すことで、ガレキを乗り越えて無事制限時間内に救助活動を終了した。このときのとっさの判断には観客席からも大きな拍手が起こった。
○登場したロボットの一部を動画で紹介(形式はWindows Media Video 8です)![]() |
| コンテスト実行委員長を務める京都大学助教授の大須賀公一氏 |
コンテスト実行委員長を務める京都大学の大須賀公一助教授は「阪神・淡路大震災から時間が経ち、震災に対する気持ちも次第に小さくなってきているが、そうあってはいけないという思いでレスキューコンテストをやっている部分もある。その意味では、第1回に比べて今回はよりレスキューのことを考えてくれたチームが多く、コンテストは役割をうまく果たしていると思う」と話し、今後も毎年コンテストを続けていきたいとしている。一方では人間型(ヒューマノイド)ロボットの研究も行っている大須賀氏だが「ヒューマノイドなども"夢"としては作りたいが、せっかくロボット技術を向上させているのに、それを社会的なものに使わないというのは良くない。日本は災害国で、しかもロボット技術は高いものを持っているのだから、率先してレスキューロボットを研究すべき」と、未来のロボットに夢を抱くだけでなく、ロボット技術は現実社会に貢献しなければならないと述べた。
この日は、日本レスキュー協会によるレスキュー犬のデモンストレーションも行われた。ステージ上に2つ置かれた箱の中の片方に客席から選ばれた男性が入り、レスキュー犬に捜索を命令すると、男性が隠れているほうの箱の前で迷わず鳴き声を上げた。阪神・淡路大震災の際も、生存者捜索のためスイスやフランスから災害救助犬が駆けつけたが、倒壊家屋内の食物や衣類に誤認反応を繰り返したため、消防関係者に不信を抱かれてしまったという。同協会では訓練の褒美に食物を使用しないようにして誤認反応を防止しているほか、1000回以上の実践訓練を受けた犬でないと災害救助犬として認定しないなど、レスキュー犬の信頼回復に務めている。
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いつ起こるか分からない自然災害に対し、ロボットや動物などによる救命救助技術の向上には大いに期待したいものだが、レスキューは何も専門家だけのものではない。私たち誰もが、ある日突然レスキューする側・される側となる可能性を持っているのであり、救命救助への関心や知識を高めていく必要は全ての人々にとって同じである。レスキューは専門家やロボットまかせにするのではなく、全ての人々がそれぞれ力を発揮できる部分で協力するのが理想であることは、言うまでもない。
(日高彰)
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