【レポート】Windowsロードマップ -「.NET」を軸に開発を進めるMS-(2)

  [2002/07/17]

○XMLで実現する「.NET」

さて、これまではクライアントとしての「.NET」を見てきたがサーバー面にも目を向けてみたい。阿多氏がTech Ed 2002で行った基調講演では、「.NET」をより理解するためにと、GXA(Global XML Webservice Architecture)による拡張機能の件に触れていた。

 「.NET Visual Studio」の画面。XML Webサービスの開発が容易に行える様に設計されている

このGXAを簡単に説明すると、Webサービスにおけるメッセージ交換システムのひとつで、セキュリティ、ルーティング、信頼のおけるメッセージング、およびトランザクションなどのXML Webサービスを実用的に運用するアーキテクチャだ。ポイントは、従来のMIMEではなくDIME(Direct Internet Message Encapsulation)を使っている点で、MIMEでカプセル化するより高速に転送できることだろう。

このようなさまざまな技術が重なり合って実現される「.NET」だが、同社は「.NET」を「XML Webサービスのためのプラットフォーム」としていることからもわかるようにXMLが欠かせないキーポイントとなる。そもそも現在のWebページは、文書の構造化よりも見た目を重視したHTMLによって記述されているため、ブラウザで表示することはできても、Webページとして記述された情報から必要な部分だけを取り出し、それらをソフトウェアで自動処理するというようなことは不向きである。

これに対し.NETでは、WebページのXML化を進めると同時に、それらを情報コンポーネントとして扱えるようにするためのXML対応機能をソフトウェアに組み込む。この変更により.NETクライアントでは、Webページに記述された様々な情報をソフトウェア上で自由に加工し、必要な情報のみを入手できる機構となるわけだ。

もうひとつのポイントとして同社の「.NET」に欠かせないのが「SOAP(Simple Object Access Protocol)」の存在。これはhttpベースの分散オブジェクトプロトコルであり、分散オブジェクトのプロトコル部分にXMLを利用している点が特徴。SOAPを使うことにより、ファイヤーウォールで囲まれた環境でもアクセスできるため、セキュリティ強化を推進する同社にとっては便利なプロトコルとなっている。

これらXML Webサービスを開発するに必要なのが、既に販売されている開発環境「.NET Visual Studio」と、プラットフォームである「.NET Framework」。前者はともかく後者はWindows Updateでも配布されていることからなじみ深くも、その内容を理解している人は少ないだろう。このソフトは、クライアントやサーバー、XMLサービスとの橋渡しを行うためのランタイムと統合された一連のクラスライブラリで構成されており、WebアプリケーションやXML Webサービス用のASP.NET、スマート クライアントアプリケーション用のWindowsフォーム、および疎結合データアクセス用のADO.NETが含まれている。

では、これらの開発環境によって生み出されたものから我々が得られるメリットとはなんだろうか。それは現時点ではまだ何もないといっても過言ではない。同社はXML Webサービスにより、ユーザーエクスペリエンスが向上すると公言しているが、その一例が同社のWebページ「MSN」。バックグラウンドでは先のXML Webサービスを元に動作し、HTMLを出力しているが、我々にとっては単なるWebページとなんらかわりない。

誤解を恐れずに断言すれば、一般のクライアントユーザーにとって「XML」も「.NET」も先の話に過ぎず、さまざまなプログラムモジュールによりOSやアプリケーションのレイヤを再構築する「.NET Building Block Services」を考えても、「MSNエクスプローラ」を使わない場合はあまり関係がないだろう。結局、開発者側にとっては一大革新である「.NET」だが単なる一般ユーザーにとっては、どのようなインターフェースが生まれ出るかによってその便宜性は異なるため、現時点では評価しきれない面が多いというわけだ。

ただし、HTMLが生まれた時も同様のことが言われていたことからもわかるように、我々の使用スタイルが大きく変化する可能性は十分にある。それはMS-DOSからWindowsへとインターフェースが大きく変わった様にだ。繰り返しになるが、「Longhorn」で「.NET Framework」が標準搭載されるということは、同社がその間に「.NET」環境の構築を完成させると公言しているのと同義ともいえる。後は多くの開発者が「.NET」を支持するかどうかにかかっているのだ。

【レポート】Windowsロードマップ -「.NET」を軸に開発を進めるMS-(1)
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/07/18/11.html

(阿久津良和)

【PDCレポート】動き出した.NET、開発者との共存共栄を訴えるゲイツ会長
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/10/24/19.html

ついに「.NET」始動 - ジャンクメール拒否、指定情報のみ迅速に入手できる
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/10/09/14.html

Microsoft
http://www.microsoft.com/

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